******** GTC On Line News No.397*******
2003年 5月27日
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発生医学研究センター 再建医学部門 器官制御分野から、下記セミナーの案内が
ありましたのでお知らせします。
=====第 65 回発生研セミナー=====
日時:5月30日(金)午後4時から5時まで
演者: 横地 智貴 博士(NCI/ NIH, 米国)
演題:Mammalian DNA methyltransferases: kinetics, epigenetics, and apoptosis
場所: 遺伝子実験施設・6階・セミナー室
要旨:
真核生物におけるDNAのメチル化は、遺伝子発現制御・クロマチン高次構造の安定
化等に必須のプロセスである。メチル化は主にCGジヌクレオチド内のシトシン残基に
見出され、特にプロモーター領域のメチル化・脱メチル化を通して、発生・がん化・
ホメオスタシス等多様な細胞活動に関与している。
酵素活性を持つシトシンDNAメチラーゼとして、哺乳類では三種類(DNMT1、3a、
3b)が同定されている。DNMT1は、基質としてヘミメチル化DNAを優先的に認識するた
め、メンテナンスメチラーゼとしてよく知られている。対照的に、DNMT1に比べて活
性が極めて低いDnmt3aは、その生化学的解析がこれまで困難であった。そこで我々
は、従来の方法に比べて再現性の高いアッセイ系を確立してDnmt3aの基質特異性を解
析した。DNMT1の酵素活性と比較すると、Dnmt3aはヘミメチル化二重鎖DNAよりもメチ
ル化されていない二重鎖DNAを優先的にメチル化した。この結果は、細胞内での
Dnmt3aの役割が、ゲノムDNAの新規メチル化パターンを確立すること(DNAのde
novoメチル化)にあり、すでに存在するメチル化DNAのパターンを維持すること(ヘ
ミメチル化DNAのメンテナンス)ではないというモデルを強く支持する。加えて、二
基質反応速度論的解析及び基質・生成物反応阻害実験によって、Dnmt3aの酵素反応形
式は、DNAと結合することから開始される秩序型bi-bi機構であることが明らかになっ
た。
更に、DNAメチラーゼの酵素活性を詳しく調べるために、我々はDNAメチラーゼのメ
チル化活性を阻害または促進する因子をin vitroでスクリーニングした。その結果、
例えば、基質・生成物のアナログが予想通り酵素活性を著しく阻害したのに対し、マ
グネシウムイオンは濃度によって阻害と促進の相反する性質を持つことがわかった。
また、安定な有機溶媒として広く用いられているジメチルスルフォキシド(DMSO)
が、 高濃度でDNAメチラーゼ活性を促進すること等が見出された。とりわけ我々の興
味を引いたのは、酵素と直接結合するのではなく、基質と結合することによって酵素
反応を制御する因子群である。今回は、これらの因子のうちDNAメチラーゼ活性をin
vitro、in vivoいずれでも阻害した物質を紹介したい。培養細胞を用いた実験によ
り、これらの因子がDNAメチラーゼ依存的にアポトーシスを誘導するメカニズムを議
論する。
連絡先:発生医学研究センタ−器官制御分野
斉藤典子 (内線6802)
皆様のご来聴をお待ちしています。
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熊本大学・遺伝子実験施設; E-mail:www@gtc.gtca.kumamoto-u.ac.jp