******** GTC On Line News No.696*******
2006年 4月26日
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 腫瘍医学講座の荒木令江先生から、プロテオミクスセミナーの案内が
ありましたのでお知らせします。
 なお、このようにGTC以外が主催するセミナーの案内に関しても、
施設利用者に有用と考えられる情報をこのメーリングリストに載せることは
問題ありません。何かありましたら、GTCスタッフまで御連絡下さい。

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プロテオミクスセミナー

演者:        武 内 桂 吾 先生
          独立行政法人理化学研究所
           基礎科学特別研究員

演題:二次元電気泳動とマススペクトロメトリーを用いた枯草菌及
びマウスミトコンドリア膜タンパク質のプロテオミクス

日時:      2006年4月27日(木) 17:00〜18:30

場所:       遺伝子実験施設6階講義室

セミナー要旨
膜タンパク質は界面で二つの異なる環境(細菌であれば外界と細胞内、オルガネラであ
れば、オルガネラ内と細胞質)を調節する場及び因子として重要である。しかし、膜タ
ンパク質では不溶性膜貫通ドメインが生化学的解析を困難にしているため、膜タンパ
ク質構成因子のプロテオームの解析は他の可溶性タンパク質のものより遅れている。
本研究で、通常の二次元電気泳動法(IEF)に加えユニークな二次元電気泳動
法(16BAC-PAGE及びMCN-PAGE)を用いて、枯草菌膜タンパク質を分離することに成功し
た。また、膜タンパク質をPVDF膜へ転写し、80%アセトニトリル溶媒中において消化酵
素で処理することが、通常のゲル内消化法では回収の困難な膜タンパク質ペプチド回
収作業を簡素化し、マススペクトロメトリーのためのペプチド回収効率を上昇させる
こと見いだした。本方法によって、枯草菌が構成する、機能未知のものを含む637種類
の可溶性と不溶性の膜関連タンパク質が同定された。次に、可溶性鞭毛タンパク
質(Hag )をマーカータンパク質としてin vivo安定同位体パルスラベル法とマススペク
トロメトリーを組み合わせた方法が枯草菌タンパク質のde novo合成を追跡できること
を見いだした。この方法を、枯草菌分泌タンパク質輸送因子であるSecAの温度感受性
変異株を用いて、上記で述べた膜タンパク質プロテオミクスへ応用することで、膜関
連タンパク質の膜への輸送のSecA依存性を解析した。その結果、リポタンパク質及び
一部の膜タンパク質の膜への輸送がSecA欠損に急速に影響を受ける一方、多くの膜タ
ンパク質がSecA欠損に遅延的な影響を受けることを見いだした。また、僅かなが
らSecA欠損に全く影響を受けない膜タンパク質も見いだされた。これらの結果は、同
時に本方法が、膜タンパク質合成メカニズムの網羅的解析に応用できることを示して
いる。本発表では、これらの結果に加え、本研究で確立した方法のマウスミトコンド
リア膜タンパク質への応用についても合わせて紹介する。

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武内先生は筑波大学大学院生物科学山根研のご出身で現在理化学研究所の
今本細胞核機能研究室の研究員として活躍されています。
  
多数のご来聴をお待ちしております。   腫瘍医学講座(内線5323)
                       荒 木 令 江
主催:拠点研究Bグループ
「次世代生命科学におけるプロテオミクス教育研究システムの構築」



<GTC On Line News>

<GTC On Line News-551-600>


熊本大学・遺伝子実験施設; E-mail:www@gtc.gtca.kumamoto-u.ac.jp