レポート第12回 回答集

熊本大学・遺伝子実験施設
熊本市本荘2ー2ー1
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2002年 3月19日

平成13年度 生命科学G レポ−ト 第12回(2002年1月30日実施) 問題2 回答集

[ 質問 ]

アイスランド政府(国民)は、全国民の遺伝子を収集し、データベースを作成する権利を1民間企業に与 える「国民健康データベース法」を制定しました。その結果、遺伝病だけでなく、様々な病気の研究が飛躍 的に進むと期待されます。一方で自分の遺伝情報が、予想もしなかった目的で公的機関や民間企業に利用さ れる危険性もあります。さて、もしあなたがアイスランド国民だったら、この法律に賛成ですか? 反対です か? その理由も書いて下さい。

[ 回答 ](26人)

[ 賛成 ](3人)


・自分の遺伝情報が悪用されることは嫌であるが、自分の遺伝情報を利用することにより後世の人々が助かるのであれば、私は公的機関や民間企業に利用されることも仕方ないと思います。(工学部)

   ・私は、「国民健康データベース法」には賛成です。しかし、そのデータベースを作成する権利を1年間でも民間企業に与えたというのは大きな間違いだと思います。それを除けば、国家の人口のことも考慮し、国民の健康を守っていくという点においては大変良いことだと思います。(工学部)

    ・この法律のデメリットは、個人の遺伝情報が勝手に利用される危険性があるという事であるから、そうしないように法律に定める。個人主義は、遺伝子レベルまで達するという驚きはあるがかまわない。(教育学部)

[反対] (23人)


・遺伝子治療を行うためにデータベースは必要だと思うが、一民間企業にその権利を与えることは非常に不安である。また、遺伝情報の利用の仕方について細則がなさそうなので、積極的に賛成することはできない。企業や遺伝情報利用に対する制限がある程度なされている状態ならば賛成するが、自分は不参加の表明をするだろう。しかし、情報の利用方法がはっきりしない場合には、賛成しかねる。(薬学部)

・遺伝子の解析が医療に役立つということは事実だと思うが、自分の遺伝情報を分かるのは自分を除いて必要最小限であって欲しいと思うからである。私は、人の性格や気質といったようなものは本人の生まれつきの資質ではなく、環境によるものが大きいと思っているし、DNAの情報から人を犯罪者扱いするようなことは信じられない。それからこれは俗な感想になるが、人の情報を売り買いして利益をあげるような人々がいるかと思うと何か腹が立ってしまう。もっとも、民間企業に利用されるといったことがないのが確実ならば、賛成出来ると思う。というより、事前にはそのような問題が起こると気づかないだろうから、賛成してしまうかもしれない。(理学部)

・遺伝子をあつめて病気の研究をすることは、国民にとって益になると思いますが、自分の情報を自分の知らないところへ勝手に持っていかれるのは、いろいろと不利になることもあると思います。日本におけるプライバシーの権利のような考え方で、情報は政府の責任できちんと守られるべきだと思います。(薬学部)

・遺伝病の研究を進めるのは良いことだろうが、現実に偏見や差別が生じる可能性がかなり高いので時期尚早である。ただし、将来遺伝子に基づく個人の差別が克服されるのならば、こうした法律が有効に活用されるだろう。(文学部)

・資料によると、「国民データベース法」は、「国民の健康管理のために」行われるそうだが、個人情報としては、住所、氏名、血液型等よりもはるかにその人の「いのち」にかかわるものだと思う。したがって、個人の権利を守るという点からも、個人の情報をそこまで国に委ねる必要はないと思われる。「健康を守るため」には、個人の意志が尊重されるべきであり、個人と医師等との相談によって遺伝子診断等も行われるべきだと考える。(教育学部)

・難しいですが、反対です。すでに法制化してしまっていることは大きな問題であると感じます。民間企業は、利益を追求するものであり、必ずどこかで国民個人個人と企業との間に利害の不一致が起こると思います。また、遺伝子情報をデータベースにしてしまうことで、その情報が流失し悪用されることは必然的であると思うからです。けれど一方で、アイスランドという国の単一的であるという特質からも、純粋な研究対象として、このデータベースに大きな意味と価値があることは間違いない。(薬学部)

・反対です。個人情報が完全に分かってしまうことは、悪用されば本当にひどい事態をまねくからです。しかし、様々な病気の解決法が見いだされていることは、確かに魅力的ではあります。(工学部)

・私は、反対です。アイスランドのように単一民族で同質性の遺伝子が高い場合、病気に関与する遺伝子パターンを容易に追跡できる点は良いと思いますし、これから必要とされると思います。しかし、それを1民間企業に任せること、民間企業でなくても他人に営利目的で使用される危険性が高いというのは考えものだと思います。病気の解明、予防においては、大いに利用されるべきだと思いますが、その情報を他人にもらすのはプライバシーの侵害になると思います。病院においては必要だと思います。何も分からずに間違った薬を投与したり治療をして危険になるよりはいいと思います。(理学部)

・私はこの法律に反対です。たったひとつの企業が12年間も個人の遺伝子情報を所有するとなると、絶対に悪用すると思うからです。最初はしっかりとした目的を持っていたとしても、長い間そういった力を持っていると、次第に営利を求めてしまうと思います。個人の遺伝情報が一般の企業に漏れてしまうと、本当はないはずの差別や偏見も生まれてくるだろうし、どう悪用されるか分からないので、それならば初めから無い方が良いと思います。(教育学部)

・私は、反対です。研究が進むという点も理解できるが、自分の遺伝情報が研究のみに使われるわけではないでしょう。そのことがとても恐ろしく、また、それにより新たな差別問題をも生み出しうると思います。(工学部)

・反対です。遺伝情報を半ば義務としてデータベース化されてしまうのは、話が大きすぎて、リスクも高すぎる。私は、遺伝子の医療面における応用に関しては、ある程度までは容認できる。だが、それは、基本的な倫理面での対応がちゃんと為されている場合に限る。そんな倫理問題を、一足飛びに無視してしまっているように思う。(文学部)

・様々な病気の研究が進むことは、良いことだと思いますが、そのために自分の個人情報が多くの知らない人達に公開され、勝手に利用されることには抵抗があります。(法学部)

・国民健康データベース法には反対である。自己情報の最たる遺伝子情報を各自でコントロールできない仕組みになっているのが非常に不快に感じられるためである。最低でも不参加の意思を示した人だけではなく、参加の意思を示していない人の遺伝子情報も利用してはいけない。患者のように参加、不参加の意思を表明できない人は、完全に自己情報に関するプライバシーが守られないといえるし、また重要なサンプル(都合がいいとも言える)であるからこそ、利用価値は大きいだろうと憤る。(法学部)

・反対である。自分の遺伝子について自分が知ることにも抵抗があるのに、他人に知られてしまう。そしてその事によって可能性が限られてしまう。自分が自分の遺伝子によって制限されてしまう。人間は、自分の可能性は無限に広がっていると思い努力をする。しかし、知性や病気についてあらかじめ分かってしまうと生の意味が分からなくなりそうだから。(文学部)

・確かにこの法律の結果、様々な病気の研究は進むと思うが、もし悪用された時のリスクが大きすぎると思う。私には、そこまでして研究する必要はあるかと疑問に思う。(理学部)

・病気の研究だけに使用されるなら賛成だが、悪用される可能性もあるので反対する。現在、裏で個人情報が売買されているように、遺伝子の情報も売買されるようになると思う。こうなれば、自分の遺伝子の中に欠陥が見つかった場合、外見は健常者なのに差別されるようになると思う。(工学部)

・反対です。理由としては、自分の遺伝子情報によって自分の中身を自分の知らない人にまで知られるとなると、気持ち悪い気がするからです。それと、これでは人権が侵されるのは当たり前だろうと思います。人権が守られないとなると、それは私達の人間としての尊厳が傷つけられることになり、「人らしさ」を失うことになると思うからです。(教育学部)

・資料に書いてあったように、自分の遺伝子が疾患原因を持っているということで生命保険差別を受けるのは許しがたいと思います。また、「あなたの病気にはこの薬が効果的です。」と偽って全く効きもしない薬を送ってくる、というような詐欺的商売も出てくると思います。現代見られる物や食品に関わることよりもっと命に関わることなので、恐ろしく感じられます。(教育学部)

・この法律によって自分の遺伝情報が濫用される恐れがあるからです。遺伝子解析により得られた情報が本人の非でないとしても、差別を受ける原因になりかねないからです。(工学部)

・研究が進むことは良いことですが、自分の遺伝情報が利用される可能性が高いところに情報提供しようとは思いません。ただ、この法律には、不参加を表明すれば遺伝子を提供しなくても良いらしいので、その免除規定を活用することが大事だと思います。(教育学部)

・確かに様々な病気の解明が進むことは魅力的ではあるが、資料に書いてあるように、目に見えない遺伝子というもので、まだ発病もしていない段階で差別などが起こる可能性があるうちは反対である。またその企業が他人の遺伝子で利益をあげすぎているのではないかと思う。(理学部)

・自分の遺伝情報が営利目的などで利用されないならば少しは考えるが、それでもやはりいい気はしない。遺伝情報はその人そのものでもあるので、研究のためとはいえ、あまり人に知られたくない。(工学部)

・もし私がアイスランド国民だったら、この法律に反対です。その理由は、「国民データベース法」は、アイスランド国民の遺伝子は解析する学術的な価値が高いため、遺伝病などの研究に非常に役立つと思うが、全国民の遺伝子情報を1民間企業に託すというのは、その情報が悪用される可能性があるため、やはりリスクが高い感じがする。(工学部)

平成13年度 生命科学G レポ−ト 第12回(2001年1月30日実施) 問題3 回答集

[ 質問 ]

ディベートにおける他の人の意見も参考にして、問題2の質問の答えをあらためて書いて下さい。(カッコ内は問題2での答え)

[ 回答 ](26人)

[ 賛成 ](4人)


・(賛)個人情報が単に遺伝子レベルまでおりてきたというだけである。大学病院においては、前例のない患者は研究の対象とされているし、その対象が全国民になったというだけである。自分の個人情報で他人が利益を上げることに抵抗があるというのは、資本主義社会の利潤追求に矛盾する。この社会は、結局誰かが得をしているのである。(教育学部)

・(賛)国家が個人情報を管理しているようにセキュリティーを守っていくことが大事だと思う。いかにその国が、個人情報に厳しい国であるか、厳しい法律の制定を行うことができるかによると思う。(工学部)

・(賛)個人情報というものは、自分でちゃんと管理していかなければいけないものであると思う。使えそうな技術を使わないでいるのは、もったいないと思う。(工学部)

・(反)データベースを作ることで様々な病気の研究が進み、また自分達のような閉ざされた民族でなければならないならば、他の企業にデータベースを利用させるとき、完全な暗号化など、個人が特定できないような配慮をした上でなら、医学の進歩のためにも、あまり好きではないが賛成したいと思う。(理学部)

[反対] (21人)

・(反)個人情報として自分の遺伝子はやはりプライバシーだと思うので、どう利用されるのか。また、個人を特定されたりしないのかという不安はつきまとう。自分の遺伝情報を提供することで遺伝子治療がなされる様になるのであれば、協力したいという思いもないわけではない。しかし、民間企業が行う以上、営利目的でどのように利用されるのか…という不安がどうしてもぬぐいきれないので反対である。[細則まで決められていて、それに納得できれば賛成するかもしれないが、不参加の表明をすると思う。](薬学部)

・(反)自分のDNA情報を提供することで(何万分の一の割合であっても)苦しむ誰かの助けにはなるかもしれない。そういう考えで賛成するのは、とても立派なことだと思うが、自分は心が狭いので、その間で利益をあげている人々の存在がどうにも気にくわない。それに先生がおしゃったように、保険に入りづらくなったり、周囲から差別されるというような問題があるので反対すると思う。しかし、後者の問題は、人の心が狭いために起りうるということも重要ではないかと思う。やはりまだまだ議論を重ねたうえで、それぞれの答えを出してゆくべきことだと思う。(理学部)

・(反)個人情報が取引されることで、利益を生む人間が存在するから嫌だ、ではなくて、例えば経済原理によって、人間の命の尊厳、権利が侵害されるという点こそ問題であると思った。人間にとって、病気がなくなることはすばらしいことだと思う。しかし、病気を治し、予防することのみに執心することで、「人間としての患者」という視点を見失うことにならないだろうか?現代医療は、その視点から「人間性」すなわち「個体性」を排除し、患者を「モノ」と見ることで発展を遂げてきた。遺伝子の持つ「個体性」も、「人間性」を内包してはいないだろう。「バランス」こそが大事だと思う。(教育学部)

・(反)今の段階では、どちらかというと反対です。賛成側の人が「自分の遺伝子が遺伝病や様々な病気の研究に役立つなら使って欲しい」と言われたのを聞いて、自分の気持ちが少し変わりました。しかし、差別や保険に入れないなどの問題を考えると、まだ賛成は出来ません。情報が漏れるという可能性の方が強いような気がするからです。(教育学部)

・(反)情報を公開してもメリットはあまりないと思う。それに、デコード社がいくら完璧に情報を守っていたとしても、情報が外に流出するのは時間の問題だと思う。(工学部)

・(反)このディベートにより遺伝情報が外部に漏れないことを知ったが、100%漏れないということを自分の目で見ないかぎり安心はできない。極端な話ではあるが、病気が治ったとしても、差別などで心の病になってしまうことは許すべきことではない。(理学部)

・(反)情報の管理はしっかりしてあると聞いたが、年月が流れるにつれて漏れていくと思う。そして、資料に書かれているような差別的な事態につながると思う。遺伝子で判断される時代はきてほしくないと思う。(文学部)

・(反)「自分の個人情報を知られて、何が困るのか?」と聞かれたら、正直な話ちょっと戸惑う。しかし、遺伝子診断の結果によっては、そこに差別が生じる。「優性人間」と「劣性人間」が出現してしまうかもしれないのだ。それだけは避けなければならないし、許されることでもないだろう。(文学部)

・(反)科学技術はそれ自体で善悪を決められず、個別の事例で判断しなければならない。その判断基準は技術的に問題がないか? 社会的に受け入れられるか? その結果が必要とされるか? である。今回の例は、社会的に受け入れられないものだ。従って、反対する。(文学部)

・(反)遺伝子から個人にたどり着けないようにされた上で遺伝子を利用することが完全にできるならば、賛成するかもしれません。しかし。現段階で完全に管理されるとは思えないし、企業が悪用しないと言っても信用できない。(工学部)

・(反)個人情報が匿名化されれば、それは個人情報ではなく、ただの調査報告書になるかもしれませんが、人間が行うことですから完全なる匿名化は無理だと思います。また、この法律の大きな問題点は、営利目的団体である民間企業に国民の情報を委託してしまっている点だと思います。国民の健康を守る方法としては、もっと良い方法があるのではないかと思います。(法学部)

・(反)改めて反対です。先生が最後に差別につながることを一番恐れているとおしゃっていたことから、私は、「個人情報が外部に漏れる可能性はある。」という風に捉えました。人が人らしく生きていけてこそ「幸せ」と呼べると思います。(教育学部)

・(反)100%個人情報が流出しないというのであれば、強くは反対しません。しかし、製薬会社などに個人名なしで送った遺伝情報から、何らかの形で個人名が明らかになってしまったら、などと考えると簡単に賛成とは言えません。(教育学部)

・(反)現在、この法律が施行されたとしたら、利益よりもリスクの方が大きいと思う。個人情報がどんなに管理されようとも、健康管理のためだけに利用されるかが疑問であるし、自分自身でも知りえない情報を他人に知られるところにも抵抗がある。(工学部)

・(反)個人の遺伝子情報の重さを考えるとこの法律には反対です。どんなに万全なシステムで情報を管理していてもミスなどが起る可能性は否定できないし、悪用されてしまう可能性もあります。この法律の利点は充分わかりますが、リスクの高さが気になります。(工学部)

・(反)賛成の人達の意見の中にも「もっともだ」と思える部分もあったが、そのリスクを考えると、やはり賛成はできない。自分=自分の遺伝情報と考えるので、よほどのことがない限り、簡単に自分を売り渡す(言葉が悪いですけど)ことは出来ないと思う。(工学部)

・(反)私は、このディベートで賛成意見の方がおしゃっることも分からない訳ではありませんが、私達のように生物に携わっている人には理解できたとしても、携わっていない人には理解不能な部分もあると思います。遺伝情報は、塩基の並びです。ただのアルファベットの並びと見ることも出来ます。しかし、この情報が漏れるとなると考えものです。人に託す以上、その危険は避けられないと思います。(理学部)

・(反)情報が漏れるのが恐ろしい、という点が一番の理由だ。法律制定にあたって、急病などの時にどのような薬を使えばよいか分かると言われたが、記号化していてなかなか情報はつかめないのではないか。それとも、そういった所には抜け穴があるのだろうか。情報管理という点で、その箇所に矛盾を感じた。また、自分がどの遺伝病保因者か分かるということについても、それを完全に治療できないのであれば、人によっては「飼い殺し」だと感じる人もいるだろう。(工学部)

・(反)遺伝子情報を使われることがなぜ嫌かと問われれば、自分自身、自己の遺伝子情報を知りたくないからである。何らかの異常遺伝子の保因者ではあるが、その予防のためとかに知りたいとは思わない。自分の知りたくない情報を人が利益として利用できることは、ある意味いいことなのかもしれないが、個人名のない遺伝子情報を多数の中の一つとして記号化して扱うことは、逆に自分の身体が単なるデータの一つでしかないことを実感させ、情報が漏れるか漏れないかに関係なく、個人情報のデータ化は非常に不愉快なものである。(法学部)

・(反)先生が、製薬会社の話を例に出して、データや家系が薬の開発に必要なだけで、個人名は別に必要ではない、という様なことを言われていました。確かに製薬会社に関して言えば必要奈のはそれだけなのかも知れません。かれど、保険会社の場合や個人情報が近所にばれた場合など、幅広く考えてみると、そんな危険なリスクを持ちながら、個人の情報をある会社に預ける必要があるのかと思います。確実に情報が漏れないという保証がない限り、私は賛成出来ません。(教育学部)

・(反)資料にも書いてあったが、保険会社による差別だけではなく、犯罪を起こす性質を持つパターンの遺伝子所有者への差別、性格などに対する差別などが起ると思う。それぞれの立場の人や組織が各々の利益となるように動くことは避けられない。例えば、国民の健康維持のためにアイスランド政府はデータベース化を認め、国家としての繁栄のために企業に頼り、企業は企業の繁栄のためにデータベースを活用する、というように。ただ、そうなるとアイスランド政府が国の不利益を減らすために、国に不利益な行動をする(反社会的な行動をする)可能性が高いと判断した人々を差別したり、排除しようとしたり、権利を奪おうとしたりしないとは言えないだろう。可能性として、十分考えられるシナリオではないだろうか。そう考えると、国が法としてデータベース化を進め、それを一企業が所有しているという現状は危険であるとも言えると思う。(薬学部)

[どちらとも言えない] (1人)


・(反)賛成の側としては、事故などの緊急の場合やそうでないにしても、その個人の遺伝情報があれば、その人に最も適した治療が出来るし、情報の暗号化などできちんとした管理がなされるとしたら、病気の研究など、大きく国民に役立つことが出来るかもしれません。反対側の意見では、もし情報が漏れたとしたら、もし利益のために何か悪い方向に向かうとしたら、その時に生じる遺伝差別による被害は大きいということでした。だから、それぞれの意見の重要性を比較するとどうなるかということになりますが、ここでアイスランドのように質の高い情報を与えることが出来る国で行うのであれば、賛成側の意見の方が大事かもしれません。しかし、自分の問題として考えるとなると、未知のことに対する恐怖のようなものがあるので、どちらかの側につくということは難しいです。(薬学部)

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