レポート第1回 回答集

熊本大学・遺伝子実験施設
熊本市本荘2ー2ー1
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2002年 3月19日

平成13年度 生命科学G レポ−ト 第1回(2001年10月10日実施) 回答集

[ 質問 ]

あなたは、遺伝子組換え食品の研究・開発に賛成ですか?反対ですか?その理由も書いて下さい。

[ 回答 ](全21人)


<賛成> (10人)


・私は遺伝子組換食品の研究・開発に賛成です。世間で、『遺伝子組換食品は、危険だから反対だ。』という意見をよく聞きます。でも私は、遺伝子組換食品が実際に人体にどんな影響を及ぼすのかを、まだまったく知りません。そういう危険性を発見するために研究するべきだと思います。人体だけではなくて、その遺伝子が組換えられた作物が、環境にどんな影響があるのかをきちんと研究して、それが生態系に対して悪影響がないということを明らかにして欲しいです。(理学部)

・私は遺伝子組換食品の開発には基本的には賛成です。強い品種を作れば農薬を撒く量が減るので環境に良いし、たくさん収穫できる品種を作れば食糧不足の問題も解決できていいと思う。また、作物が取れない地域などにも栽培できるようになればいいと思う。でも、そうやって本来その作物が存在しない地域に存在することになって、その土地の生態系を崩すことにならないかが心配だ。(理学部)

・私は遺伝子組み替え食品の開発・研究に対して賛成の意見をもっています。現在、人口増加による食糧危機が問題になっています。そのためにも、農作物の収穫の増加が期待できる遺伝子組み替えは積極的に行うべきだと考えています。科学の進歩によって人口増加が深刻化したのならばその解決法も科学の中に見出せるはずです。ただ、遺伝子組み替えで作られたものによって生態系が崩れるようなことがあってはいけません。そのためにも研究を重ね、きちんと安全性が確認できてから世間に流通させるべきだと思います。(薬学部)

・私は遺伝子組換え食品の開発、研究に賛成です。なぜなら、日本は外国から作物を大量に輸入しており、依存率が非常に高いからです。そのため、もし外国からの輸入がなくなったら日本人は餓死するかも知れません。それを防ぐ為に、遺伝子組換え食品が役に立つと思います。日本や自給率の低い国にとってはたいへん貴重な技術だと思います。(工学部)

・遺伝子組み替え食品の安全性を完全に証明したりするためにも、遺伝子組み替え食品の開発研究をすすめるべきだと思います。また、遺伝子組み替えによって、品質改良をし、害虫からの被害を防ぐこともできるし、そのことによって、食糧生産量を、効率よく増加させることできると思います。だから、私は、遺伝子組み替え食品の開発研究に賛成である。(工学部)

・現在、世界の人口増加とともに、食糧不足、特に先進国と発展途上国の格差が問題視されている。この問題に対して、先進各国が、発展途上国からの食糧輸入を抑制したり、食糧援助を行うなど、できることは多いだろう。また、遺伝子組み替え等による品種改良によって、食糧の生産量そのものを増加させることも可能なのではないだろうか。もちろん、安全性などについては厳しくチェックされるべきであり、普段の飽食ぶりも正していかねばならないと思う。ヒトのDNAの配列には、莫大なロイヤリティがかかっているということを、過去に文献で読んだことがある。遺伝子組み替え作物にも同様に、特許の問題などが発生しているかどうかは知らないが、両者とも、人類共通の財産であり、金銭的な面で研究を抑制すべきものではないと考える。私は、遺伝子組み替え作物の研究・開発には賛成である。なぜならその研究は世界が抱える食糧問題に対して、大きな解決策となり得る可能性を秘めていると考えるからである。ただ、その研究は広く解放されるべきものであると考える。(教育学部)

・さまざまな議論がなされているとは思うが、私は賛成である。理由は、遺伝子研究は、医学、生物学などの多くの分野で行われていることである。行われているということは、必要であるからということであり、それを何も知らない私は反対できないからである。(教育学部)

・賛成です。理由はまず第一に、人間にとってよりよい栄養を含んだ食品を作ることが可能だからです。また、これから予想される食料不足に対しても効果的な手段になり得ると考えるからです。(工学部)

・遺伝子組換え食品については賛成です。これほど遺伝子についてもてはやされている時代なので、その技術があるのならば、それを最大限に利用してもいいと思います。ただし、遺伝子組換えによる人体への影響や、遺伝子組換え食品を食べた家畜を人が食べたときにどのような影響が出るかということを十分に調べた上でその技術はりようされるべきだとおもいます。(薬学部)

・遺伝子組換え食品の開発研究を進めることには基本的に賛成です。なぜならば、遺伝子組換えの技術によって、作物を育てることの難しい国で農業が営めるようになったなら、多くの人を深刻な飢餓から救うことが可能になり、今後の発展途上国における爆発的な人口増加にも対応しうるかもしれないからです。基本的には、と言ったのは、現段階では遺伝子組換え作物の生態系やその作物の子孫へ与える影響のデータが、安全と言い切れるほどないだろうから、純粋な研究開発には賛成だけれど、商業ベースに乗せるのは時期尚早で危険だと思ったからです。こういったことは長い連続的な研究とデータの積み重ねが必要なことだと思います。安全でなくとも、お金が儲かればいいという考えに流れることがないように、しっかりとした市民団体やその他の公共機関の監視の元に研究開発を進めることは、科学や人類にとって、決してマイナスになることではないと思います。(薬学部)

<反対> (10人)

・私は遺伝子組み替え食品には反対です。理由は体に実害があるかもしれない…と考えるといざ口には…と、首を傾げざるを得ないからです。私は開発と食事とを割り切れることはできません。きれいごとに聞こえるかもしれませんが…。近頃の話題は狂牛病です。実際に風評被害で牛肉の売上は約3割減です。一家の食事を担う主婦の倫理感とは、人間として当然の行為と言えるし、それが他人に対する思いやりなのです。(薬学部)

・私は遺伝子組換え食品の開発、研究に反対だ。理由は、遺伝子は、長年をかけて今の状態に至ったであろうものであり、人間が短期間でそれをいじることは、自然の流れに逆らうことになる、と思うからだ。(工学部)

・私は遺伝子組換え食品の開発、研究に反対です。自然につくることができるものを人間が食品であれその生命を作り出すことは異常で不自然なことだと思います。どれほど科学が進歩しても人間が踏み込むべきでない領域があると思います。(法学部)

・僕は遺伝子組み替え食品の研究は反対です。人間は、人間の都合のいいようにすべてをかえます。しかしそれでは、いけないと思います。遺伝子組み替えを行えば確かに生産効率があがったりし、人にとって様々な利点があります。でもそれをつくることによって未知なる問題が出てくると思います。例えば、いままでその作物を餌にしていた虫たちはいなくなりそこの生態系がかわってしまいます。いわゆる環境破壊につながるかもしれません。それに生き物は機械じゃありません。不完全なものだと思います。その不完全な物に手を加えれば、何がおこるかわかりません。思わぬ作用が出て人に危害が加わるかもしれません。だから遺伝子組み替え食品の研究は、僕は、反対です。(工学部)

・遺伝子組換食品の開発の研究に対して、私は反対である。遺伝子組換の食品は本来あるべき物、別の表現でいえば生態系を保つ食品とはいえない。生態系は一度崩すと容易には戻らないことは環境破壊からも見て取れる。遺伝子組換をする目的は害虫、病気、天候に強い食品を作る事にある。ならば、いったん遺伝子を組み換えて強化した食品が自然界に出ればその食品は本来あった食品をしのいで増殖し続けるだろう。それは生態系の一端を担っていた食品を絶滅させる可能性を持っている。たとえ遺伝子を組み換えて強化させた食品を外界に出さないようにとどめる施設を増やしたとしても、生命の生き延びる力はつよく、花粉1つ外に出て外界に影響を与えることは当然考えられる。遺伝子を組換えた食品が外界で成長し過ぎても人間がくい止めれるように一つだけ弱点を組み込む話を読んだことがあるが、外界に出て環境に応じて変化していずれは人も止められない食品へと進化してしまうだろう。完全に生態系への影響は防げないと考える。よって、遺伝子組換食品の研究は反対である。(法学部)

・私は遺伝子組み替え食品に反対である。これからの人口増加による食糧問題において必要不可欠なものかもしれない。しかし、この技術が開発され使用され始めたのもごく最近のことであり、理論上では人体に対する悪影響はないとはいわれても、これから人々が遺伝子組み替え食品を食べ続けることで少しずつ人間の遺伝子を書き換えていき、人類が絶滅することもありえるのではないだろうか。人体に安全と言われているのは今現在の人間に対する影響のことだろうから、あえてこれからどの様になるか分らない危険な道を歩むより、これまで通り自然による食料生産のほうが無難なのではないかと思う。(工学部)

・遺伝子組換食品の開発は、今現在反対です。理由の一つは、アメリカのモンサント社の例にもあるように試験で安全が確認されたジャガイモでも、一般に栽培されるようになってアメリカ北部かカナダの方で異常なジャガイモが大量発生したということ。試験では安全をどこまで確認できるのかという問題と、試験場と実際の農家レベルでの栽培とではギャップがあると思われます。もう一つは、今までの品種改良などでは何年もかかって改良を重ねその結果、徐々に導入されたものとは異なり、遺伝子組換により品種改良を行われ広まったものでは、何か変化が起こった場合にも急には対処できないと思われます。また、遺伝子を組換えた植物を栽培したところ、周囲の植物からも遺伝子の組換え作業を行っていないにもかかわらず組込んだ遺伝子が発見された例があります。そのため、どのような影響がでるのか想像できない部分もあります。またアレルギー体質の人が口にした場合、非情に危険となります。それらの例から考えて、現段階で遺伝子組換食品の開発には反対です。(薬学部)

・私は遺伝子組替え食品の研究に反対です。でも食糧問題や害虫の問題など解決すべき問題はあるので研究することが解決の糸口になるならやってもいいと思うのですが、いろいろ安全性の問題が残されていて実際に不安を持っている人もたくさんいます。だからその作物が市場に出回るのはまだ早いと思うのです。でも研究されると利益のためにも売り出されることになります。だから結果的に不安が残されたままこういった食品がでまわるという点で反対です。(薬学部)

・私は、遺伝子組換え食品の開発・研究には反対です。アメリカの検査機関の行った虫での検査では、死亡率は通常の10倍程度だったそうです。また、「トリプトファン事件」という死者を38人も出す事件が起こったそうです。安全性についてまだ確立されていないので、今のところは賛成できません。(教育学部)

・私は、反対です。確かに人口増加に伴う食糧危機の対応策となったり、農薬、害虫に強い食品となり得るも知れません。しかし、アレルギーを引き起こしたり、死者を出したりしている事件が実際に起きています。安全と言い切れていない今は遺伝子組換食品には賛成できません。(教育学部)

<どちらとも言えない> (1人)


・私は、今の段階では遺伝子組換食品の研究・開発には賛成とも反対とも言いきれません。なぜなら、生産者に生産しやすく、害のない農作物を研究して開発することは、いいことだと思います。しかし、それに伴う危険性がいかなる程度であるかわからないうちは商品化は避けるべきだと思います。それに研究して生産されたものは、あくまでも人間の手により作られたものであるから、すべてが安全とは言い切れないことです。遺伝子組換により生じた作物内に存在する遺伝子は、自然には存在しないため、それが自然に与える影響を研究することが必要だと思います。(理学部)

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