2002年度 レポート第10回 回答集

熊本大学・遺伝子実験施設
熊本市本荘2ー2ー1
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2003年 2月 6日

2002年度 生命科学G レポ−ト第10回(2002年12月18日実施)回答集

[ テーマ ]遺伝子組換え食品の開発・研究に賛成か反対か

[ 回答 ](20人)

賛成 13人

・講義では反対の立場だったけど実は賛成だったりします・・・。ただ、企業が利益を求めるための開発は反対である。ディベートということで反対の立場から発言したが普段とは違う側面が見えて面白かった。遺伝子組換え技術というものが存在する以上必ず誰かがこれからもこの研究していくだろう。その結果、この技術がきちんと確立されそして研究結果を貧困に苦しむ人など多くの人に還元してほしいと思う。(工学部)

・私は今回の授業の段階では、反対する理由もなかったので、強く賛成でした。その理由は食糧の増加でした。しかし、この時点では、生態系の破壊については深く考えていませんでした。しかしやはり、遺伝子組み換え食品には賛成したいと思います。食糧の増加のほかに、砂漠の緑化などもその理由と考えます。砂漠というのはある程度生態系は破壊されてしまっているので、問題はないように思います。また、牛肉などの血統が重視されるものでは、高品質のものを作り続けることができるかもしれません。反対理由の中に、研究者がよく分かっているというだけで、一般市民には浸透していないので、推し進めるべきではないというのがありましたが、それは少し甘いと思います。国やマスコミがしっかり機能するように、これから変わっていこうとしている段階ではないでしょうか。(薬学部)

・わたしは遺伝子組換え食品については賛成です。それはこの前のディベートにあったように食糧不足を改善でき、その分野の研究には大きな期待ができると考えたからです。いままでは遺伝子組換え食品の何が問題なのか疑問に思っていましたが、この前の授業ではそれが理解できました。どの問題も確かに重要なものだと思いました。ですからその点については法律によって厳しく規制されないといけないと思います。そうすればある程度の問題点は改善されるのではないでしょうか。(例えば先生のおっしゃっていた企業の独占なども免れるのではないでしょうか。)研究についてはやはりわたしは賛成ですが、研究者以外は詳しい知識をもっていないので何の規制もなしに安易に一般人の生活に関わる範囲にもっていくべきではないのかもしれません。(薬学部)

・私は賛成です。今まで私たちが口にしてきた野菜なども品種改良をしてきて生まれたものだし、遺伝子組み替え食品も一種の品種改良とみてよいのではないでしょうか。(いままでの品種改良とは次元が違うかもしれないが)それに、市場に遺伝子組み替え食品がでまわることになれば、それはきっと安全性を考慮したものであるでしょう。と信頼してよいものと思います。(工学部)

・私は遺伝子組み替え食品の開発・研究には賛成です。 というのは、いまや人口は60億人を超えました。これだけの人を養っていくのは現段階の作物生産状況では到底無理です。だからといって森林を農地に開墾するとか、作物に成長促進剤等を投薬するのでは森林破壊や生体に悪影響を与える可能性が大いにあります。また食物と体内に取り入れるとき、DNA自体をそのまま栄養源とするわけではないので、遺伝子組換えのDNAがそのまま生体に悪影響を及ぼすとは考えにくいと思われます。したがって、遺伝子組み替え食品の開発・研究は危険因子をもつ可能性はあるけれども、事前の対策を充分に取り、事故につながらないように努める事でこれからの食糧危機を打破していく最善の方法であると思います。(工学部)

・僕は賛成です。これは、食料難を救える一番の早道だと思うし、食品の質もかなり向上出来ると思うんです。しかし授業では、他の安全な方法で克服できるではないか!という反対意見がありましたが、やっぱり食料難などの問題を確実かつ迅速に解決するにはこの方法しかないと思うんです。また、先生は遺伝子組換え技術を企業が利益のために使うのは良くないとおっしゃいましたが、やはり遺伝子技術は大きなビジネスチャンスだと思うんです。そして企業が競い合う結果として安全性や技術力が高まるのでは無いでしょうか…(理学部)

・私は賛成です。食べることには抵抗がありますが、研究することに反対はしません。やはりそれによる進歩は大切です。しかしそれで地球環境に何かしらの悪影響が出るのはどうにかしなくてはいけないと思います。環境を保全しつつ進歩出来る技術ができたら良いなぁと思います。(法学部)

・私は賛成です。もちろん自分が食べるかどうかは別にしての考えですが…。遺伝子組み替え技術の食品への応用はその予期せぬ危険性から、極力避けるべきであるとは思います。しかし私たちが食品添加物を摂取する場合のようにやむを得ない状況下では反対しきれるかどうか疑問です。(法学部)

・私は賛成します。なぜなら 細菌や植物などの生物から遺伝子を切り取って、その遺伝子の構成要素(アデニン、グアニン、シトシン、チミン)の並び方を変えて、もとの生物の遺伝子に戻したり、別の種類の生物の遺伝子の中に挿入したりする技術をいいます。たとえば、果物が熟するのをストップさせる遺伝子を植物の遺伝子に挿入することで、日持ちのするトマトをつくり出すことができます。 今まで、植物の品種改良は花粉をめしべにつける交配によって行われてきました。そのため、めざす性質を持った品種を得るためには何度も交配を繰り返さなければならず、長い時間がかかりました。 一方、めざす性質を持った遺伝子のみを細胞の中に挿入し、細胞を培養して目的の植物を作り出すのが遺伝子組換えによる品種改良です。遺伝子組換えによる品種改良の特徴として、通常の交配よりはるかに短い時間でめざす性質を持った品種を得ることが出来ます。また種の壁を越えて、異る生物の間でも遺伝子を挿入することができるため、農産物などの改良の範囲を大幅に拡大できます。 (理学部)

・私自身はあまり食べたく無いが、開発していったほうが良いのではないかというのが私の出した答えです。農薬を使わない遺伝子組み換え野菜を食べるか、農薬を使った遺伝子組み換えで無い野菜を食べるかといったような問題は食べ物を選択出来る人が議論する話で、食べる物が無い人にはあまり価値のある問題であるとはいえませんが、作物の一定面積あたりの収量を増やすことができれば、それらの人々は救われるかもしれません。未来云々ではなく、現在の状況を打破するために遺伝子組み換え食品は必要ではないかと思います。(薬学部)

・私は遺伝子組み替え食品に賛成である。確かに身体や自然界にどのような影響があるのかとか、突然変異とかして地球を恐怖に陥れたりとか考えると怖い。しかし食糧不足が叫ばれる昨今、遺伝子組み替え食品が研究されつづけ、いつの日かはそれを受け入れなければならないという日が必ず来ると思う。その日のために技術を磨き、検査をし、万全の体制を今のうちから考えておくべきだと思う。(工学部)

・前回の授業は、なかなか意見が出て良かったんじゃないでしょうか? 私の意見は『賛成』なんですが、反対の意見にも同意できる点もいくらかあり、YesかNoと2つに分けるのは難しいです。取りあえず、なぜ賛成かというと『品質の向上』これにつきるでしょう。生態系がくずれるなどの反対意見がありましたが、それはきちんと管理すればすむことではないでしょうか?企業が私利欲に走る可能性もあるので市場への参入を厳しく制限し、チェック項目を増やすことで、可能性を低くすることが出来るんじゃないかと思います。他にもいくつか問題があるかも知れませんが、反対することにより、組換えの研究が遅れるのは悲しいことであり、避けなくてはなりません。(理学部)

。僕は遺伝子組換え食品の研究に賛成だ。現在地球上の人口は爆発的に増えており、食料不足の問題がさしせまっている。それを打破する1つの手段として、遺伝子組換え食品の利用があると思うからだ。そして今現在、アメリカなどでは遺伝子組換え食品が利用されている。しかし、その安全性に疑問の声も上がっている。でも、もっと研究を重ねることによって、何が危険で何が安全かも分かると思う。遺伝子組換え食品はその性質上、生産率の向上が一番問題にされていると思うし、問題にするべきだと思う。しかし、それと同じくらい安全性も重要視するべきだと思う。(理学部)

反対 6人

・私は遺伝子組み変え食品の研究については、研究する事自体は何かに役立つかもしれないという事で反対する必要がないので賛成でした。遺伝子組み変え食品が市場に出回っても、それを買うかどうかは個人の判断によるので、問題無いと思っていました。しかし、今日の授業で、遺伝子組み変え食品の研究は「科学技術の研究」というよりむしろ「産業」として行われているという事を知りました。遺伝子組み変え食品の実際の生産・販売だけを目的とした研究なら科学の発展への貢献はあまり期待できないのかもしれません。また、遺伝子組み変え食品が生産が楽できれいだからといって、そればかり生産・販売されると、非組み変え食品の生産者がほとんどいなくなって、消費者の選択の余地がなくなってしまいます。その場合、遺伝子組み変え食品に不安を抱いている人さえも遺伝子組み変え食品を買うしかなくなってしまうのです。私自身、遺伝子組み変え食品については、何が起こるか解らないということで不安を抱いています。自然界への悪影響も指摘されています。これらのことを考えると、私は、遺伝子組み変え食品の研究・開発に反対です。(法学部)

・今回のディベートはなかなか面白いものでした。学部によって意見が異なるのが興味深かったです。  遺伝子組換食品には反対です。現在の遺伝子組換技術というのは、かなり適当(?)らしくて、バーティクルガン方式とかで、遺伝子をランダムに組み込んでいくらしいんですが、そんな事をして、予想していない生成物(=タンパク質)ができてしまったら非常に危険であると思います。また、その生成物が実験の段階で発見されるならいいのですが、組み換えたものが市場に出回った後で始めて人、環境に影響を与える生成物が発見された場合は、とり返しのつかない事態になると思います。
 結論として、自分は研究に関してはむしろ賛成ですが、遺伝子の働きすら全て解明されていない状態で、それらが市場に出回ることに関しては、反対です。ちなみに、遺伝子組換食品でも、組み換えたDNAや、それによって生成されたタンパク質が含まれていないものは、「遺伝子組換」と表示しないでもいいようです。初めて知りました・・・(薬学部)

・難しい質問ですが、あえてどちらかに決めるとするなら反対ということにします。新しいものを開発することには夢があるし私自身も新しくできたものを知りたいという気持ちがあるけれど、その一方で今あるもので何とかしようということを考えなくなってしまうのはとても恐ろしいことだと思います。たくさんの人が餓死している一方でたくさんの食べ物が捨てられているということも考えなくてはいけないと思うのです。
 それにしても、ディベートをするにはもっと知識が必要だとつくずく思いました。(教育学部)

・遺伝子組換え食品の是非については今まで考えることが何度かあったが、その研究自体についての是非を考えたことがなかったので、「え?研究することは当たり前のことじゃないの?」と考えていた。今回のディベートで反対意見を聞くことができて、偏った考え方を振り出しに戻せた気がする。
 遺伝子組換え食品の研究は、全部を否定することはないと思う。配布されたプリントに書いてあったように、ハワイのパパイア産業は復活した。けれどもディベートで「ハワイのパパイヤ産業に関わっていた人たちは、研究がなかったら生活できなかったかもしれません!」と言ったら、反対意見の人から「研究の費用を使って別の仕事を始めればいい」と言われただろう。
 結局、研究される食品を食べるかどうかにつながるので意見はそれをもとに分かれる。それを考えると私は反対の立場だ。たとえば日本食を見直してバランスのとれた食事にすれば、栄養価などの品質の向上したものを食べなくてもよい。食糧問題も反対意見に出たように、他にも解決法があるはずだ。あれこれ未知のものに手を出すよりも、今あるもので協力して問題に立ち向かうほうが豊かな未来を造ることができると思う。 (教育学部)

・自分は、遺伝子組換え食品は必要でないと考える。理由は、ディベートでも言った通り、遺伝子組換え“食品”というのは、消費者に食べてもらうというビジネス的な要素に目的があり、遺伝子組換えの研究目的とは多少違うのでは、と思うからである。それに、かなり研究が進んでいるとはいえ、安全の確実性はまだまだ証明されていないのではないか。
 ディベートの中で、「食糧自給のためには少なからず力になる」とあったが、それは確かに正しいと思う。もう少し食品以外の試料で研究し、安全性が示せてから、遺伝子組換えを食品に「役立てる」というような形をとればよいと思う。
 だから、個人的には、厚生省が、遺伝子組換え食品を認可したのは早すぎたのではないか、と感じている。 (理学部)

・自分は遺伝子組換食品の実用化には反対です。なぜなら現在ただでさえ人間の手によって生態系が崩されているにもかかわらず、また遺伝子を操作した人工物を自然に投与しようとしているからである。確かにいろんな実験によって安全性は確かめられてるかもしれないがそれは所詮人間が予想することのできる範囲においてである。自然は人が予想することができるようなものではないのだ。後々の地球のことを考えると遺伝子を操作するなんてことはやらないほうがいいと思う。しかもそれが自然に出るなんて考えがたい。(理学部)

どちらとも言えない 1人

・個人的には、例え安全性が実証されていたとしても遺伝子組換え食品は食べたくない。なぜなら、合成保存料や着色料も、直ちに人体に影響を及ぼすことはないが、体内に蓄積されることで発がん性があると指摘されているように、食べ続ける事によって生じる害は、ずっと後になるまで分からないからである。それに、「遺伝子組換え」という言葉にまだ抵抗がある。しかし、食べ物に困っている発展途上国などのことを考えると、遺伝子組換え食品の開発に対し直ちに反対であると言うことは出来ない。開発によって不毛の土地から作物が穫れて、貧困の解消に少しでも役立つのであれば、それはすばらしいことだと思う。この先、世界的に人口が急増することは免れないから、どちらにせよ安全性について言っていられる場合ではないのではないだろうか。(法学部)

===== レポートについてのコメント (by ARAKI) =====

・私自信は、講義中にも言いましたが、一言で遺伝子組換え食品と言っても全て○とか×とかではなく、ケースバイケースだと思っています。従って、個々のケースについて、政府及び社会の監視が重要だと思います。そのためには、専門家だけではなく、ごく普通の人達も判断出来る様な工夫(システム)が必要だと思います。

・確かに、今回のディベートは、今まで行ってきた中では一番充実していたのではないかと思いました。賛成・反対それぞれのポイントをホワイトボードに自分で書いてもらうことで、これまでより多くの人が積極的に参加したのではないかと思います。また意見をまとめるのにも役立ったのではないでしょうか。
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