2002年度 レポート第1回 回答集

熊本大学・遺伝子実験施設
熊本市本荘2ー2ー1
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2002年10月15日

2002年度 生命科学G レポ−ト第1回(2002年10月9日実施)回答集

[ テーマ ]現代社会における遺伝子組換え技術の必要性について

[ 回答 ](全15人)

<必要> (7人)

・遺伝子組換え技術の必要性と言うことですが、僕が思うに遺伝子…は今まさに必要だと思います。なぜなら今、世界には貧困、伝染病などありとあらゆる問題が山積みです。それの大きな解決策が遺伝子…だと思うのです。しかしその技術の一番の問題点は安全性だと思います。だから安全性が確かに証明されるように努力して欲しいです。と同時にむやみに遺伝子…を恐れてもダメだと思います。(理学部)

・現代社会において遺伝子組換え技術は、もはや、なくてはならないものだと思います。
 その理由は、現在遺伝子組換え食品の危険性などのマイナス面が指摘されている事実もありますが、それらの問題を解決できるのもおそらくこの技術であり、医療をはじめ多くの分野で、新しい技術による救済を求めている人びとのことを無視できないと考えたからです。安全性を第一に考えられた技術である限りは、これからさらに社会へ応用されていくべきではないでしょうか。(法学部)

・現代社会では「遺伝子組換え技術」という言葉は疎遠されがちである。なぜならば、遺伝子組換え食品を例にとると、消費者自身が「遺伝子組換え」というものに危険を覚えているからというのは言うまでもない。
 実際、この「遺伝子組換え技術」という研究はまだ浅く、危険性も安全性も立証されていないので、疑いを持たれても当然だ。
 しかし、これから科学技術が進歩する中で、良い作物をより多くの消費者に受け入れてもらうためには、この「遺伝子組換え技術」を使う必要性は極めて高い。必ずしも危険ではなく、必ずしも安全ではない「遺伝子組換え技術」が現代社会に浸透するには、さらに研究を重ねるにほかないのではないか。(理学部)

・中国をはじめとする発展途上国における人口の増加と産業の発展により、今まで農業国で食料輸出国であった国が食糧の輸入を行うようになれば世界的な食糧不足に陥る恐れがある。この問題を解決する手段の一つとして遺伝子組換え技術は必要になると考えられる。現在存在する農作物にサボテンのような乾燥に強い植物やマングローブを構成するような塩分に強い植物の遺伝子を組み込みことで砂漠でも生育できるような農作物を作ることができれば問題の解決の一助となると考えられる。ただし、より確かな安全性の確立が求められることは疑いないことであると思う。(工学部)

・遺伝子組換え技術が必要となる場合について、(1)遺伝死病治療や薬の開発、(2)食料難や飢餓を解消するための食物の増産、の二点について考えられると思いました。(法学部)

・“B型肝炎”というものがどういうものかさえよく分かっていなかった私にとって、今回の授業内容は正直つらかった。しかし、“遺伝子組換え”がそのような重い病気の治療に役立ったということを知り、現代社会における遺伝子組換え技術の必要性はおおいにあると思った。私はそれまで唯一知っていた“遺伝子組換え食品”という言葉に対して茫然としたマイナスのイメージをいだいていた。しかし、ただやみくもに新しいものを否定したり恐れたりしないで、それについてよく知ることが大切なんだと思った。(教育学部)

・私は遺伝子組換え技術は必要だと思います。倫理上の問題等が言われていますが、遺伝子組換え技術が役立つ場面は多く存在し、実際にこの技術によって救われる人々がいるからです。(法学部)

<ある程度必要> (5人)

・私は、現代の社会において、遺伝子組換え技術はある程度必要だと思います。今日地球の人口はまだまだ増え続けており、この先、食糧難もますます深刻になってゆくであろうことは想像に難くありません。そんなときに、100パーセントとまで行かなくともある程度安全性の確かめられた遺伝子組換え食品を大量に生産することができるなら、飢えながら死んでいく人が減るかもしれません。また、先天的に遺伝子に何らかの問題があり、そのために病気や障害を抱えて生まれた人々の治療法も発見できるかもしれません。私は今現在の遺伝子操作や遺伝子組換えの技術がどこまで発展しているのかをよく知らず、また何が可能なのかもよくわかりませんが、苦しんでいる人々を救うことができるのなら、遺伝子に関する研究は大切なことだと思います。
 しかし、一方で遺伝子組換え技術が倫理的に好ましくない方向に発展しているのではないかとも思います。数ヶ月前に、イタリアの医師を中心とするグループがクローン人間を誕生させるという会見をしていましたが、正直、私はクローン人間を作ることに全面的に反対です。不妊に悩む夫婦には朗報だという意見もあるようですが、基本的に人が技術でもって人間を作り出すことは自然ではなく、生まれてくる罪もない子供をも巻き込んでとんでもない事態を引き起こすのではないかと思います。映画『ジュラシックパーク』の中では恐竜を人工的に作り出し繁殖させたことでバイオハザードとも呼べるような事態を招きました。完璧に管理することが難しいという点では、人間も恐竜も大差ないのではないでしょうか。言葉が通じ、感情が理解できる分人間のほうがやっかいかもしれません。
 こう考えると、『人間を作ることはだめでも食料を作ることはよいのか』『人間も植物や動物も同じ命ではないのか』などといった疑問がわいてくることになり、科学の問題は倫理や哲学と深く関わっていることがよくわかります。私は産まれてくる子供を遺伝的に操作して、遺伝性の病気を防ぐことには反対ですが、病気を抱えて生まれてきた人を救うことは否定できません。しかし事実はどちらも大差ないような気がします。事実が大切なのか、考え方が大切なのかも難しいところです。
 ですが、少なくとも、クローン人間を作ることには反対です。作った人間はもちろんのこと、何より、罪のない生まれてくる人間をくるしませたくありません。世界初のクローン人間をキリスト教圏の人間が作るということも驚きでした。キリスト教の根本は『神が人間を作った』ということだったはずです。とすれば、あの医者は自分が神にでもなったつもりなのかもしれません。倫理観が欠落していくような気がします。
 現代にとって、遺伝子組換えの技術は大変重要なものだと思います。しかし、それを上手く利用するには、人間が理性と自制心、倫理観にはかっていくことが大切だろうと思います。
 メールによるレポートの提出が初めてのため、方法や形式などに失礼がありましたらお許しください。(文学部)

・よく言われていることですが、遺伝子組換え技術が必要とされる理由は、(1)食糧難を救うことができる、(2)実験動物をクローン化することで研究開発が進む、(3)いわゆる不治の病に対抗することが可能になるかもしれない、(4)個人の体質に合った薬を使用できる、(5)牛肉などのよい血統を守ることができる、などが挙げられると思います。しかし、これらは同時に問題点でもあるので、そのよいところばかりを見ていてはいけません。
 私事ですが、高校のときの先生の知り合いが、C型肝炎で治療を受けているが、治療費が高額なため、新薬を待ち望んでいるという話を聞きました。その新薬がどのようなものかは知りませんが、遺伝子組換えの技術が何らかの力になるのではないかと思います。(薬学部)

・遺伝子組換え技術というと、食品など悪いイメージがありました。実際にはB型肝炎のワクチンなど、医療現場でも活躍していることを初めて知りました。遺伝子組換え技術により、純度の高い、安全なワクチンが手にいれられるなら、遺伝子組換え技術は一概には悪いものとは言えない気がしました。そういった違った一面でお世話になっているのに、悪い情報ばかりが目立つのは問題だと思いました。もちろん、問題点もあるでしょうから、できるだけ多くの欠点、長所を知ってから遺伝子組換え技術を利用する必要があると思います。(薬学部)

<どちらとも言えない> (2人)

・現代社会における遺伝子組換え技術の必要性は、あるともないとも言えないと考えます。操作するにあたり、確かに試験管で済む実験があります。それでもやはり、他の生物を利用した方が良い場合もあると思います。したがって、必要性が無いとは言えません。しかしながら、試験管で済むものがある以上、必要性があるとも言えません。
 私は必要性とかいうものに拘るのでなく、その都度利用法を考えれば良いと思います。(法学部)

・私は遺伝子組換えについてあまり知りませんが、やはり自然に逆らって人工的にいじくることでいいことはないと思う。よく大豆やとうもろこしを使った食品に遺伝子組換えは使用しておりませんと書いてあるが、私達の身体にどんな害を及ぼすのか私は知らない。でもそう書いてあるということは危険ということだから必要ないと言えるかもしれない。私には必要性を語るにはあまりにも知識がなさすぎるので、これからの授業で遺伝子組換えのことを知り学んでいこうと思っている。(教育学部)

<不必要> (1人)

・自分はよく遺伝子組換え技術のことはわかんないんですけど・・・。例えるなら、品種改良みたいなもんでしょうか? まぁ、遺伝子組換え技術というからには遺伝子を組換えて新しい生物を誕生させるってとこでしょうか? そうだとしたら現代はおろか未来にも必要ないかと思いました。そうしたら自然界の生態系が崩れてしまうのではと思ったからです。人間はいろんな技術を自然を犠牲にしてまで獲得してきました。だから、自分的には新しい技術は人間にとっては進化かもしれませんが自然にとっては退化だと思います!
 この意見は自分があまりに遺伝子組換え技術について無知であり、進化について上記のように考えているからです。何か失礼な点があったらお詫び申し上げます。(理学部)
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