2002年度 レポート第8回 回答集

熊本大学・遺伝子実験施設
熊本市本荘2ー2ー1
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2003年 1月 4日

2002年度 生命科学G レポ−ト第8回(2002年11月27日実施)回答集

[ テーマ ]オーダーメイド医療への期待

[ 回答 ](21人)

・レディメイド医療方式の薬の処方方式では患者を死に至らしめる可能性がある以上、この方式を使うべきではないと思います。その点、オーダメイド医療では的確にその人に合った処方がなされ、患者の遺伝子情報から投与量もある程度明らかになるので薬の処方ミスもなくなるのではないでしょうか。したがって私はテーラーメイド医療に賛成です。(工学部)

・オーダーメイド医療に期待することは、一般の人がみずからの薬剤適応性を知ることによって、自分が飲む薬を自分で選抜できるようになることです。風邪薬などのOTCはもちろんのこと、医療ミスや投薬ミスを避け、インフォームドコンセントを推進する為にも、医師が指示して処方される薬も患者本人が選べるようになって欲しいものです。この先、オーダーメイド医療の概念が、どんどん普及して行って欲しいと思いました。(薬学部)

・オーダーメイド医療については以前から興味があった。まったく副作用が無くなるということはないと無いとは思うけれど治療を受ける人に対して少しでも害の少ないものが提供されるようになることはいいことだと思う。ただしいくら害が少なくなったとしても薬は人間の体にとって基本的には異物であることを忘れてはいけないと思う。(工学部)

・こないだのレポートで僕はPCRの利用法は医療だと書いたんですが、実際どのようにいかせるかよくわかりませんでした。それがまさかオーダーメイド医療という方法があるなんて思いもしませんでした!というよりも、これまでのレディメイド医療に慣れすぎて、どんな医療も必ず副作用はあるのは暗黙の了解と思っていたのでびっくりしました!だからこのオーダーメイド医療は夢のような医療だと思います。ただプリントにもあったように、遺伝子には個人のすべての情報が書き込まれているのでそのプライバシーの保護が一番の問題点だと思います。(理学部)

・今までに薬が効いたという実感をもったことのないわたしはこのオーダーメイド医療に期待したいと思っている。確かに同じ病気というだけで同じ薬がだれにでも効くはずがない。その人にあった薬が処方されるならそれに越したことはないと思う。ただ、遺伝子と医療の関係についてまったくの素人のわたしが思うことは、遺伝子がすべてなのか?という疑問である。ゲノム解析の結果この遺伝子型の人にはどの薬も効かないということがわかったらもう何もしないのか?ということを思う。けれどそんなことはめったにないのだろうとも思うけれど・・・。(教育学部)

・私はオーダーメイド医療に賛成です。人間の体は化学反応によって維持されていますが、その反応は一様ではありません。オーダーメイド医療なら安全性、有効性ともに有益です。しかし、全体的な医療費は削減できても、個人の負担は本当に減るのかが疑問です。 以前からオーダーメイド医療という言葉は知っていましたが、少し誤解がありました。遺伝子を調べてから、それから....では時間がかかってしょうがないのでは、と思っていたのですが、ICカードなら速そうです。しかし、オーダーメイド医療が百発百中なら、これまでの医療は数打ちゃ当たるということになるみたいなことが今回の講義でありましたが、そのようには思いません。逆に、遺伝子がこうだからこうなのです、と言われたとして、その信頼性は今日の医師の診察よりも大きいのでしょうか。特にお年寄りなどは機械の診断に疎外感を感じるなどと言われますが、オーダーメイド医療の場合はどうなのでしょうか。医師のやり方次第というところでしょうか。しかし、やはり、オーダーメイド医療には期待しています。医療を施す側としても、これが普及するとやりやすくなるのではないでしょうか。しかし、薬剤師の需要は減るでしょうか??(薬学部)

・私はオーダーメイド医療に関しては大いに期待できると思います。全ての人に対して副作用のない薬をつくることは不可能でしょうが、オーダーメイド医療は個々人のためにリスクの少ない治療が可能になります。しかし、こういった方法は実行した後でいろいろな問題があがることが多いような気がします。しかもその問題はケースによって様々なので、やはり中村祐輔さんのいうように法律による事細かな規制が必要であると思います。(薬学部)

・今回の講義でオーダーメイド医療の内容を知ってから、従来のレディメイド医療に対して、不安すら感じました。もうこれはできるだけ早く、患者一人一人に最適なオーダーメイド医療を普及させるべきだと思います。しかし当然ながら、遺伝子情報などの個人情報を保護するシステムを確立しないままの導入は、緊急を除いて避けるべきです。遺伝子情報は命に関わることですから、他のどんな個人情報よりも厳戒に保護されるようにしなければ、将来何かとても恐ろしいことが起こってしまうような気がしてなりません。(法学部)

・私はオーダーメイド医療が早く実用化されてほしいと思う。自分に合っているかどうかよくわからずに色んな治療を受けて副作用に怯えるのも嫌だし、それ以上に、ちょっとした遺伝病でも早く確実に治るのに越したことはないからだ。社会的な問題や倫理的な問題があり、恐い感じがするけれども、自分のことをもっと知りたいという思いのほうが私は強い。(教育学部)

・オーダーメイド医療は必要だと思う。個人に合った治療をするのは当たり前のことだと思っていたのだがそれに遺伝子が関係しているとは思わなかった。遺伝子情報を個人が知れるようになった今、オーダーメイド医療がもっと広く普及してほしいものである。確かに遺伝子レベルの個人情報が漏れるのは危険だと思うがそれが差別や偏見につながるかどうかはこれからのオーダーメイド医療のさらなる普及と個人情報の安全性の保護の強化によるだろう。 (理学部)

・オーダーメイド医療は「遺伝情報を引き出して、副作用のない薬をつくる」といったようなことである。となれば、個人的には、そのような技術を駆使し、医療技術に貢献すると考え、大歓迎だと思う。外部に遺伝情報が漏れるという恐れはあり、確かに恐ろしいが、その恐怖を上回る成果が存在すると信じたい。(理学部)

・オーダーメイド医療には安全性・コストなど実用までにはたくさんの課題がありますが、実用化されれば医療は急変するでしょう。薬品などでアレルギー反応のでないものもできますし、治療期間もかなり短くなるはずです。やはり今以上に高年齢まで生きられるようになるでしょう。一部の技術も持っている先進国の人と持ってない発展途上国との寿命の差や死亡率の差も一段とつくのではないか、と思います。(当然現行と同じく資本による医療技術を受けられる程度の差ができてしまう)(工学部)

・一人ひとりの遺伝情報には違いがあり、働き方にも差がある。酒に強い人と弱い人がいるように、同じ薬でも効き目は違ってくる。遺伝子を調べて副作用や効果の有無がわかれば、体の寸法を測って服を仕立てるように、その人にぴったりの薬を選べる。ここ数年、解析技術が急速に進歩し、21世紀の医療と期待されている。 (理学部)

・オーダーメイド医療が実用化されれば、完全な医療に大幅に近づく事が出来るだろう。しかし人に病気を与える遺伝子が解明し、それにあわせた薬が造れたとしても、クリアしなければならない問題は山積みだ。法律を整備しないといけないし、差別なんかもある。患者に対するカウンセリングも必要だろう。そんなこんなでけっこう時間がかかりそうだ。ていうか、じっくりと時間をかけて準備をして欲しい。少しでもミスがあれば、取り返しのつかないことになりそうな気がする。その時間だけ苦しむ人が増えることになるかもしれないが。(理学部)

・ネットで調べて見ると。。。 文部科学省は来年度から、30万人規模で遺伝子のタイプと薬剤の効き具合、副作用の有無などとの関連を調べ、データベース化する方針を建てたらしい。 これはもうオーダーメイド医療が実現に向かっているという証拠だろう。 確かに患者のSNPを診断しておけば、効果的で副作用も無い薬&量が選べるだろうけど。。。 もし自分に合った薬を作ろうとしても、量ぐらいならどうにでもなるけど、薬自体を変えようとした時に本当に造れるのでしょうか? 薬を作るには時間もお金もかかる。。。 庶民には受けることの出来ない医療になりそうだ。。。(理学部)

・オーダーメイドならば、自分の体に投薬ミスもなくなるだろうし低料金での医療代が 期待できるであろうが、事前の自分の体の検査=下調べにたくさんの手間がかかり、 その分のお金もかかるのではないかもしれないというとこに不安を感じる。(工学部)

・SNPを調べる事で、その薬がどの程度効く、もしくは効かないが判断できる様になると、副作用による影響が大きく改善されたり、効かない確率の方が高いと言われる抗ガン剤の選択などがとてもしやすくなる事でしょう。しかしながら、その情報管理がとても重要な問題になります。もしも、その情報が漏れ出すと、結婚などでいろいろと問題が出てくる可能性があるからです。私は、オーダーメイド医療については賛成ですが、早期に情報の管理ついて考えていく必要が有るのではないかと考えています。(薬学部)

・私はオーダーメイド医療が早く定着すればいいと思う。人のゲノムが解析されたことで、同じ病気でも、その病気を引き起こす遺伝子の種類の違いが明らかになった今、その人に必要な薬剤だけを投与することができ、今以上に患者個人個人に最適の医療を提供することができるようになり、病院でそれなりの治療をしているにもかかわらず、突然死を招くという事態が減る事を期待する。一人一人、最善の治療を受けることが出来る日が早く来ることを期待する。(教育学部)

・オーダーメイド医療は良い面と危険な面を持っていると考えます。まず前者ですが、患者それぞれに適した医療を行えるというのは医療にとって最高のことです。必要量以上の薬投与や副作用の防止などができれば患者の体をより安全に治療することができるでしょう。しかし後者になりますが、情報の流出が起こると患者に悪いことが起きてしまいます。実際、出生と同時にDNAを採取して情報を得るというシステムを取ったところでは、保険会社がその情報を入手して保険者選出の材料としてしまいました。その結果遺伝病などを始め、病気になる可能性がある人の加入を拒否し、その人達は診察料を自己負担しなくてはならない状態になりました。こうしたことが起こると本末転倒といえるでしょう。患者を守るならば情報の管理はきっちりと行わなくてはなりません。私はこうしたことが起こらないならば、オーダーメイド医療は是非取り入れていってほしいと思います。(法学部)

・遺伝子診断によるオーダーメイド医療はすごく効率的だし、効かない薬をわざわざ試さなくて良いので、患者の負担が減るという点でも良いと思う。ただ、遺伝子診断を大義名分に薬が投与されることだけはあってはならないと思う。文章の中にもあったように患者へのインフォームドコンセントを充実させなければならないのではないだろうか。あくまでも薬は体にとっては異物だという前提にたってその投与に関しては患者の自由を尊重しなければならないと思う。(法学部)

・今回、初めてレディメイド医療とオーダーメイド医療という言葉を聞いた。今までは医療というものはオーダーメイドで当たり前だと思っていたので、抗癌剤治療がレディメイド医療だったということには驚いた。というより抗癌剤治療とは誰にでも同じように効くものだと思っていた・・・  もし、治療法や薬が自分にぴったり合ったものだと、副作用に苦しんだりせずに、もっと楽に早く病気を治せるだろうから、早くそうなって欲しいものだ。そのために、自分の情報をカードか何かで持っておくのは仕方ないかなと思う。もちろん、カードをなくしたり、とられたり、何かのせいで自分の情報が流れ出し、悪用されたりする危険性もある。しかし、より快適な医療を受けるためである。カードに登録される情報は、どんなものだろうと思った。(工学部)

===== レポートについてのコメント (by ARAKI) =====

・みずからの薬剤適応性を知ることによって、患者本人が薬を選べるシステムを造るというアイデアは、大変面白いと思います。

・『遺伝子がすべてなのか?という疑問』は、忘れないで下さい。非常に重要なキーワードだと思います。

・全てについて言えることですが、オーダーメイド医療の場合も医師(病院)がどう使うかが重要だと思います。
  目次に戻る
  教育活動
  MASA Home Page
  遺伝子実験施設ホームページ
熊本大学・遺伝子実験施設, E-mail:WWW@gtc.gtca.kumamoto-u.ac.jp