2004年度 レポート第5回 回答集

熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2004年12月17日作成

2004年度 最前線の生命科学C レポ−ト第5回(2004年11月17日実施)回答集

[ 回答 ](全15人)

 この講義も、ようやく「PCRの原理」まで来ました。テキストを見ながら、以下の質問に答えて下さい。選択肢があるものに関しては、適当なものを○で囲んで下さい。

1)DNAは5’→→→→→3’という方向性を持った鎖が、逆向きに2本結合して、2重らせんを形成し ています。この2本の鎖の結合は水素結合に基づいており、相補的塩基対と呼ばれています。2本鎖D NAを94℃に加熱すると、水素結合が切れて1本鎖になります。ここは理解できますか?

[よく分かる6人・少し分かる7人・よく分からない0人・全く分からない0人

2)プライマ−と呼ばれる短い1本鎖DNAは、温度を55℃に下げると、変性して1本鎖になった鋳型の 相補的な部分に結合(アニ−リング)します。増幅したい部分の外側(両端)にセンスプライマ−とア ンチセンスプライマ−を設定します。ここは理解できますか?

[よく分かる5人・少し分かる8人・よく分からない2人・全く分からない0人

3)温度72℃の条件で、DNAポリメラ−ゼは、2本の1本鎖DNAを鋳型として、それぞれ5’→3’ の方向へ新しいDNA鎖を合成していきます。その結果、プライマ−の位置から始まる部分的2本鎖D NAが2本出来ます。ここは理解できますか?

[よく分かる7人・少し分かる6人・よく分からない1人・全く分からない0人

4)再び94℃に加熱すると、2本鎖DNA2本は1本鎖DNA4本になります。ここは理解できますか?

[よく分かる9人・少し分かる5人・よく分からない1人・全く分からない0人

5)さらに55℃、72℃と温度を変化させると、1サイクル目に合成された鎖が鋳型になった場合は、センスプライマ−からアンチセンスプライマ−までの長さだけ、新たな鎖が合成されます。つまり、2サイクル目に新たに合成された鎖の中には、目的とするDNA断片が出来たことになります。ここは理解できますか? 

[よく分かる7人・少し分かる6人・よく分からない2人・全く分からない0人

6)このサイクルをN回繰り返すと2N倍に増幅されることになります。つまり、2サイクルで4倍、3サイクルで8倍、10サイクルで約千倍、20サイクルで約百万倍に増えます。ここは理解できますか?

[よく分かる8人・少し分かる6人・よく分からない1人・全く分からない0人

7)あなたは、この講義で、PCRの原理を理解できたと思いますか?

[理解できた5人・少し判った様な気がする9人・よく判らない2人・全く判らない2人

8)PCR法の普及によって、ごく微量のDNAからもDNA増幅が可能になったので、従来は考えられなかった「生物遺体」からDNA試料を得て解析できる様になりました。このような試料をその古さにかかわらず「古代DNA(ancient DNA)」と呼びます。さて、もしあなたが生物学者(あるいは、考古学者、人類学者、天文学者、文学者、経済学者、・・・)だったら、何を試料にしたいですか?

・シーラカンス、どの程度魚より両生類に近づいていたのかを知りたいから。(医学部)

・化石、昔の恐竜などのことが今より詳しく分かるようになるだろうから。(工学部)

・恐竜についての真実をその観点から洞然していきたい。(医学部)

・隕石中に含まれる有機体のDNAを解析する。(医学部)

・化石からもできるなる、始祖鳥を試料にしてみたいです。鳥類最古の祖先だと言われているからです。鳥類であるのに爬虫類に似た点が多くて、ずっと不思議だと思っています。(文学部)

・化石から恐竜のクローン等作ってみたい。見たこともない物だし、子供の頃大好きだったから、医学の道の叶わなかった物をもっと叶えてもらいたい。例えば、不老不死だなんてつまらないものではなく、障害をもった人を早目に防ぐだとかそういうものでいいと思います。(教育学部)

・ツタンカーメンなどのシイラ、古代生物などの化石、まだ情報の少ない古代の歴史において新しい扉を開きたいから。(教育学部)

・北極や南極、海底等のいわゆる極限の環境で生きている生物のDNA 普通の生物(地上で生活している生物)がもつタンパク質と、どこらへんが違うか、また同じかを調べてみたいから。(医学部)

・コハク、氷中遺体などから採取出来るDNAから生物の進化の歴史を見てみたい。単なる興味。過去の先人達のDNAも覗いてみたいといえば覗いてみたいけれど、これは、生物遺体じゃないか? DNAって自然にどの程度残っているものなんだろう?(どの程度、自然条件によってDNAが保存できるか)(医学部)

・日本の各地にある伝説の生物のミイラ(人魚、カッパなど)のDHAを採取し、本当に新種の生物であるのか断定するのも面白いかもしれない。(偽りであるのを暴く) 絶滅種のはく製より、クローンを作り出す。(リョコウバト、ドードーetc)人類の乱獲などによって現代より消えた生物の姿を見てみたく、また、その頃には知られていないような生態を調査したい。(理学部)

・恐竜のDNAを試料にして、出来ることならジュラシックパークを建設する。もしくは、DNA試料を解析して、恐竜の身体能力は実際にどれ位なのか調べる。(医学部)

・木乃伊(ミイラ)など面白いかも。その他、昔の人々を調べることによって、何かと分かれる可能性は多い。昔の物は失われ、少ない。だから、PCRはまさに待望の技術であると思う。(医学部)

・コハクの中に閉じこめられていた、という、古代昆虫が含んでいた血液?の遺伝子。火星に存在していた? といわれる微生物に遺伝子があるなら、そしてPCR処理ができたら、面白いと思う。理由:前者は単にジュラシックパークのうけうりですが、後者は興味本位です。(医学部)

・昔に生きていた有名人…アインシュタイン・ヒトラー・宮本武蔵・etcのDNAを復元し、特徴を発見したり、ジュラシックパークをopenしてみる。人間として彼らが何故、ああも、何かしらの突出した能力を持っていたか知りたいから。(理学部)

・既に絶滅してしまった古代の生物など…。(理学部)

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