2006年度 レポート第2回 回答集

熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2007年 9月06日更新

2006年度 最前線の生命科学C レポ−ト第2回(2006年10月11日実施)回答集

[ テーマ ]「『被ばく治療83日間の記録 〜東海村臨界事故〜』を見て考えたこと」

[ 回答 ](全26人)

・今回このビデオを見てまず思ったことは「酷いな…」です。染色体が放射線によって破壊され助かる見込みもない治療を受けること(治療と言うよりは延命ですが)癌などの病気ならクオリティーオブライフという考え方もあるが、この事故の被害者にはそのようなことを言っている余裕も無い。こういう状況になったら、僕なら苦しまずに死ねることを願うかもしれない。
 医学の進歩の裏に、このような酷い光景があることは知っているつもりであったが、それを目の当たりにすると、言いようの無い衝撃を受けた。医学の進歩に犠牲がつきものなのはわかっている。医学がまだ発展途上である以上、これからも進歩のために犠牲がでることもわかる。犠牲の上に成り立つ医学にどうこう言うつもりも無い。しかし、それでも自分たち人間の限界のようなものを感じずにはいられない内容だった。犠牲なしではたいした進歩もできない自分たちはなんて小さいのだろう、と。
 ゲノム科学が完成すれば放射線に破壊されたDNAを修復したりすることで被爆患者を救うこともできるのだろうか。それが現実可能なことならば、一刻も早く完成させてほしいものだ。 (薬学部)

・私は放射線に被爆することによりどのようなメカニズムで体に異変が起こるかわかりませんでした。今回のビデオでそれを知ることができ、また、どれだけ恐ろしいかを理解することが出来ました。染色体の異常という大きな問題にこれからの医学はどう進歩していくのか、自分も将来医療人となるのでしっかり考えていきたいと思います。 (薬学部)

・正直、最初に「放射能による染色体の破壊」と聞いても、いまいちよく分からなかった。“染色体”について私が知っている事と言えば、生殖時における設計図になるということくらいで、恥ずかしい話だが人間が“完成”した後の体にも影響を与えるとは知らなかった。
 放射能を浴びた時の、人体への影響。その“症状”は聞きかじっていてもその“原理”まで知らなかった。…というより、私は「知ろうとする努力」をしていなかったのだと痛烈に感じた。
 DVDを観て、私の“放射能”への考えは全く変わってしまった。月並みだけれど、こんなに怖く、悲しく、痛々しいものだとは思っていなかった。想像を絶する“事実”に改めて恐怖を認識するとともに、このDVDを観ることが出来て本当に良かったとも思う。
 「知らない」というのは、本当に怖いことだ。『文系だから』じゃ済まされない。此れからの講義をしっかり聞いて、自分で考え、理解して、私の「知らない」を少しでも埋めていきたいと思う。 (文学部)

・今回ビデオを見て素直に驚きました。被爆治療の現場は、私の想像をはるかにこえていました。放射能が人体にどのような影響を及ぼすか初めて詳しく学べました。ゲノム科学の進歩がさらに進んでいれば、もしかしたら助かったかもしれません。しかし、あのような悲惨な事故が二度と起きないように努めるのが先ではないかと思いました。 (教育学部)

・このビデオを見る前は、核兵器が初めて使用されてから約60年経ち、被ばく患者に対する治療法もある程度は確立されているのではないか、と思っていました。しかし、重傷の患者に対しては現在でもあまり有効な手段がないと言うことを思い知らされました。
 そして、尊厳死の問題です。医者や家族が良かれと思ってやっていることが、当人にとってもありがたいことだとは限らないですし、倫理的・社会的・宗教的な問題もあります。脳死と臓器移植の件については既に法制化されていますが、尊厳死を行えるようになるのはもっと先のことになると思います。 (工学部)

・まず僕が驚いたのはバケツを使ってウランを扱っていたということ。僕は全くと言っていいほどウランについて知らないがバケツなどで本当に扱える物なのかと思った。
 感想を言ったときに人間の無力さを感じたと言った人がいたが僕は逆にこのビデオを見て、現代の医学のすごさを感じた。僕には全くと言っていいほど医学の知識はないが、放射能の恐ろしさは少しはわかっているつもりだ。放射能をあび、染色体が壊れてしまった人間が八十三日間も生きれることは本当にすごいことだと思う。しかしもう一つ思ったのは、医学の恐ろしさだ。もし自分が大内さんなら、苦しい思いをして八十三日も生きるより、早く死んでしまいたい。医学の進歩のすごさとともに、延命治療の恐ろしさも感じた。 (教育学部)

・放射線によってヒトの遺伝子が破壊され、ヒトの命がつきてしまうという点では、ヒトは脆く弱い存在かもしれません。けれどこの悲惨な事件をただ悲しい事件とするのではなく、助かることを願う家族の強い気持ちや、治療につとめる医療チーム、これを期に被ばく治療に力を注ごうとした医師や、テレビ番組にして多くの人に伝えようとする姿勢など、そういう意味においては、人間も強いなぁと感じました!!
 私もこのビデオをみて何か役に立てないかと思いました。そのためにまず大学で学べることを頑張ろうと思います。 (薬学部)

・体の基本構造である細胞から破壊される放射能の怖さをあらためて知った。広島や長崎に落とされた原爆による被害はこれよりすさまじいものかと思うと、いかに原爆が恐ろしいものかがわかる。83日間血を吐き苦しみ続けた大内さん痛みは並大抵ではなかったと思う。現代の医学の進歩がかえって大内さんを苦しめたのは皮肉だなと思った。私達が何気なく使っている電気の発電にこれほど尊い犠牲があると考えると、私達は発電方法に関して無関心になってはいけないと思う。 (教育学部)

・今までにニュースでしか聞いたことが無かった事故でしたが、今回このビデオを見ることで今までの放射能に対する認識が甘かったことに気がつかされました。放射能被害についての怖さについてはこれまでに何度も平和授業などの形で学習してきましたが、皮肉にも北朝鮮が核実験を行うというニュースと同時期にこのビデオを見ることになり、あの国がこれからどうなっていくのか、また、日本も核兵器保有を致し方ないとの風潮になってしまうのではないかとさまざまなことを考えさせられました。 (工学部)

・私は東海村で臨界事故が起きたことは知っていたが、実際に被ばくした人がどのような闘病生活を送っていたかを詳しく知る機会はありませんでした。しかし、このビデオを見て被ばく者がどのよう苦しんで死んでいくのかを知り、放射性物質の管理の重要性を感じました。また、現在北朝鮮が核実験を行ったという報道がなされているが、核を使用した場合どのような被害が出るかを考えると許される事ではないと思った。 (工学部)

・染色体が破壊され、医者がどんな治療を行っても回復しないという状況の中で、生きていくことがどれほど苦しいものか想像もできません。私としては生きていくことがあまりにも苦しいなら死んだ方が良いと考えるかも知れません。どんな治療を行ってでも延命を行うべきか、尊厳死を選ぶべきかの判断は難しいところですが、私は患者や家族の気持ちが一番重要であると思います。 (工学部)

・このビデオを見るまで、放射能を浴びた人間がどのようになるのか、見たことは無かった。遺伝子が破壊されたことで、皮膚が再生されずにぼろぼろになっている映像を見て、自分の身体を維持するためにも必要になる遺伝子の重要性を再認識した。また、二度と放射能によって傷つく人を出してはいけないと思った。 (工学部)

・今回のビデオを見て、人が内側から壊されていく恐ろしさを知った。“被ばく”とは言葉だけでどのようになるのか知らなかったから衝撃だった。また被ばく者のために必死の治療を続ける医療スタッフ、医療技術はすばらしいと思った。でも医療技術の進歩のためには何かしらの犠牲も伴っていることが皮肉だと感じた。それでも自分は医療の更なる進歩に期待している。 (教育学部)

・以前ニュースで、世界の中で最も原爆の恐ろしさを知っているはずの日本人が、意外と安易に原子力資源を作っているのに、びっくりして見ていました。日本は平和で、原子力も有効利用されているので、あまり危機感を感じていなかったのですが、この事故で怖さを知りました。しかし、その後被爆された方の壮絶な戦いがあった事は知りませんでした。
 以前テレビでアメリカ人が核の恐ろしさ、放射能汚染の危機感等、学生から大人まで真剣に熱く語っていましたが、日本人は案外よそ事のように見ている気がしました。ニュースで流れても10日もすれば、話題にならなくなってしまいます。
 この記録のビデオを見て思ったのは、被爆された方の痛みや苦しみはとても想像できるものではありませんが、それに携わった医師やスタッフの戦いと苦悩もすごいものですね。そして、びっくりしたのは、医療の技術がこれほど進んでいるとは思いませんでした。細胞が破壊されていくのを阻止しようと、高度な医療を施していくのをみて、医療開始から60日位の時「もしかして、助かるのでは?」と思ったくらい技術が進んでいるのに驚きました。
 近い将来、バイオ技術で自分の心臓をコピーしておけば、万一の事が起きても体を再生出来るようになるのかな、と思いました。
 しかし、そうなって、簡単に戦争が起こるようになっては、困りものです。 (生涯学習)

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 「日本人は核の恐ろしさを知らない。」と世界から言われる様では情けないと思います。広島、長崎だけでなく、日本が第2次世界大戦で負けたことさえ認識していない若者が増えています。とても危険な感じがします。(コメント by 荒木)

・今回臨界事故被害者のビデオを見た感想は、まず、人間が作ったものなのに、一歩間違うとこんなに大変なことになってしまうんだということだ。放射線については漠然と”危険なもの”という認識しかしていなかったのですが、今回の授業で想像以上に恐ろしいものということがわかった。また、症状が体内に残った放射線の影響でどんどん進行していくということも聞いて驚いた。今回ビデオをみて、知らなかった大事なことを知ることが出来てよかった。 (教育学部)

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 「一歩間違うとこんなに大変なことになってしまう」と実感することは、とても大切なことだと思います。私も含めて、自分が今行っていることはどんな意味があるのか、問題は無いのか、時々立ち止まって考えても良いと思います。 (コメント by 荒木)

・放射線が人体に与える影響、また現代の医学ではどうすることも出来ない実態を目の当たりにして、改めて原子力発電所での事故で被ばくすることはあってはならない事だと思いました。被ばくした方の実態を見れば、あのようなずさんな管理で原子力を取り扱う事が信じられません。 (工学部)

・今回の東海村の臨界事故のビデオを見て思ったことは、まず被爆事故の恐ろしさと、どれだけ人の技術が進歩してもそれが逆に人の無力さを露呈しているように感じたことです。このような事故がもう起こらないようにしてほしいと思うと同時に、技術の進歩に伴った人間の慢心を無くし、常に危険の意識をもつことが大切だと思いました。また、染色体が破壊されれば新たな細胞が作られないということは考えれば簡単にイメージ出来ますが、実際に目の当たりしてこれほどに悲惨で恐ろしいことはないと思いました。 (薬学部)

・放射能というものが恐いとか危険とか言うことは知っていたけれど、どうしてなのかとか何がなのかとかを考えてみていなかったということがよくわかった。放射線治療とかそういう医療の分野における放射線の役割というものを考えて知りたいと思った。 (薬学部)

・今回『被ばく治療83日間の記録〜東海村臨界事故〜』を見て考えたことは、私は今まで「被ばく」というものがどんなものなのか全く知らなくて実際に被ばくとはどんなものなのかを学習してみて人間の弱さだとかを被爆者そしてそれを治療しようとする医者から考えさせられた。人間の生活をより一層快適なものにするために人間の手によって生み出された発電技術が、ちょっとした操作ミスによって大惨事が起きてしまうという事実を突き付けられたんだなと思う。原発は今や日本にとって必要不可欠なので今後このような事故を繰り返さないためにももう一度安全性の見直しと原発についての理解を周辺住民だけでなく広く人々の理解を得るべきだと考える。 (教育学部)

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 このビデオを、ひとりでも多くの人に見てもらいたいと思っていますが、同時に、まだ長崎・広島の原爆関連施設を見たことが無い人は、是非見に行くべきだと思います。 (コメント by 荒木)

・核は恐ろしいというのは誰もが思っているだろうが、その中で実際に被爆の害を知っている人がどのくらいいるのだろうか。言葉では言い表わせないくらいひどい状態で、最後にはただ生かされている、という感じしかしなかった。染色体が破壊され、もう新しい細胞が作られないのだから治る望みはないのに治療を続けなければいけないなんて、誰にとっても辛さしか生み出さないと思う。 (薬学部)

・放射能に侵されるということが具体的に体がどうなることか知らなかったので驚きました。原発は事故を起こさないように細心の注意をはらってほしいと思います。 (教育学部)

・わたしは長崎出身なのですが、放射能が染色体に及ぼす影響については初めて知りました。小学生の頃に読んだ原爆についての絵本に、なぜか頭が2つあるとかげや四つ葉のクローバーがいっぱいあったという記述があったのですが、当時分からなかったその答えが分かりました。 (文学部)

・被曝治療のビデオを見て、人間が内部から破壊されていくこと、放射線に恐ろしさを感じた。人間の設計図である染色体がいかに大事であるか痛感した。生物が放射線を浴びてしまったら助かる手段はないのでしょうか? (文学部)

・今まで知らなかった放射能の現状を間のあたりにし、核の恐ろしさを実感した。体の内部から破壊する放射能は、現代医学をもってしても対応しきれない事は、これからの大きな課題となるのではないか。こうした危険なものを作り出す事に力を費やす意義は本当にあるのだろうか。 (文学部)

・ビデオを見て、一番感じたことは、放射線の怖さである。放射線によって細胞の中の遺伝子が壊されることによって血液や皮膚や消化器など人体のあらゆる部分が破壊されてしまうのは衝撃だった。細胞が人体を形作っているということを思い知らされた。原子力を発電に利用し続けるのは仕方のないことなので、施設の取扱いや安全性をしっかりしなければならないと思う。 (文学部)

・私は10月11日の講義で改めて科学者の倫理観を見つめ直さなければならないと考えた。仮に私が研究者となった場合、ただ便利なだけではなく、環境、人体への影響を考慮したうえでの研究をしていくよう心がけていこうと思う。 (工学部)


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