2006年度 レポート第8回 回答集

熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2007年 9月06日更新

2006年度 最前線の生命科学C レポ−ト第8回(2006年11月29日実施)回答集

[ テーマ ]「オーダーメイド医療について」

[ 回答 ](全15人)

・「良いじゃん。何の問題があるの?」
 恥ずかしながら、無知な私の『オーダーメイド医療』についての感想は、こんな底の浅い考えだった。私が考えたのは、『私が病気になったら一番良い治療を受けられる。』『私のもつ遺伝子が分かるなんて凄い』と、尽く『私』が主語だった。
 しかし、この授業を受けて思った。『私だけの問題じゃないんだ…』
 当たり前のこと。でも、今まで私はこのオーダーメイド医療が、様々な差別を生むなんてこと、考えもしなかったのだ。私は健常で、障害のある方々が差別を受ける可能性があることに思い至らなかった。『遺伝子』という如何にもし難い要素による差別は、単純な差別等とは比較にならないくらい…深い。そうなる可能性が、とてもとても高いと思う。少なくとも職の適正検査や保険加入検査は避けられない。
 だがしかし、私がこれまで受講してきた中で一貫して思うのは、『遺伝子は必ずしも絶対ではない。』ということ。障害があっても、それを補って余りあるだけの才能や綺麗な心を持って生まれてくる人が沢山いる。それがどうして、“遺伝子”なんかで計れるだろうか?
 オーダーメイド医療には、様々な問題があるのと同時に、多くの可能性がある。たくさんの命が、身体機能が、助かるかもしれない。その意味で、私は賛成だ。しかし、それは遺伝子情報を“個人の所有物”として扱う為の完璧な法整備が出来てからの話だ。綺麗事かもしれないが、科学は“人を助ける”ものではあっても、“人を苦しめる”ものであってはならない。そう、強く思うからだ。(文学部)

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 立派なレポートだと思います。『遺伝子は必ずしも絶対ではない。』というのは重要なポイントです。 (コメント by 荒木)

・僕はオーダメード医療についてはぜひとも早急に実現化してほしいと思う。今も抗がん剤などで苦しんでいる人はたくさんいると思うのでそういう人のためにも国が主導でオーダメード医療を推進していくべきだと思う。 (教育学部)

・オーダーメイド医療が可能ならば早く実現して欲しいと思います。病院で治療を受け、薬をもらっても効果がほとんど見られなかったり、逆に副作用でさらに苦しむことになるようなことはなるべく避けたいからです。
 ただ、オーダーメイド医療が当り前になったときに医者がデータベースに頼りきりになってしまい。医者の能力等が下がってしまうようなことにはならないで欲しいと思います。もしデータベースを見ても治療法が決定しないような患者が現れても十分に対応できるようにしておいてもらいたいです。 (工学部)

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 とってもおもしろいレポートだと思います。IT技術が進歩すると、逆に医者個人の能力が落ちるかも知れないという視点は、確かに忘れてはならないポイントであると思います。 (コメント by 荒木)

・このまえ、乳癌を発生確率が高い遺伝子を持っている人への治療というのをニュースで聞きました。ある遺伝子をもっている人は乳癌の発癌率が高いということでしたが、このことをしっていれば事前に治療ができ、最悪の場合の乳房摘出を免れるかもしれないというものでした。このような事例はオーダーメイド医療の目指すものでもあると思いますし、この医療方法で救われる人が多く存在することがいるのに反対する理由はないと思います。 (工学部)

・オーダーメイド医療が普及することによってその人にあった治療を行うことが出来るようになるため、今までよりも副作用を抑えつつ、効果的に病気の治療が出来るようになると期待しています。ただ、医療ミスによって自分とは異る遺伝子を持った人に適した治療法が施されてしまった場合、副作用が強く出る危険性があるため、少し心配です。 (工学部)

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 医療ミスによる情報の取り違えというのも、確かにありそうですね。対策をきちんと考える必要があると思います。(コメント by 荒木)

・とてもいい考え・治療法だと思う。人はそれぞれ遺伝子から全て一緒なわけないから、同じ薬が誰にでも効くことはない。だからそれぞれその人にあった薬や、治療を行うことが必要だと思う。けれどこれには経費や、時間といった問題もあるだろうから簡単なことではないと思う。でも将来的に、医療技術の進歩によりオーダーメイド医療が誰にでも低コストですぐ行われるようになってほしい。 (教育学部)

・オーダーメイド医療は副作用を大幅に抑えながら効果的な治療ができるというただ一点だけでも導入する価値はあると思う。詳細や実際は知らないけれども、副作用で苦しむ人も少なくないという話を聞いたことがあるからだ。全国的に導入するとなれば当然初期における設備投資はかなりかかるだろうが、講義での話によれば、導入によって医療保険としての支出は随分減らせるようだから、将来的には黒字に転化するのではないだろうか。また患者にしてみても、医療への不審が高まる昨今において科学的な根拠が明確にあるということは安心を得られるのではないだろうか。また内科的なものに限られるが、全国に普及すれば都市部と田舎の医療格差を埋められるかもしれない。 (教育学部)

・オーダーメイド医療とは薬学の分野においてもかなり重要な問題となるものだと自分は思う。そこでやはり重要なのが個人情報の流出で、今世間でもよく報道されているいじめ問題にもかかわるし、要するに差別の原因になるのではと自分は感じた。 (薬学部)

・各個人に合った薬を処方することで、より効果的な治療が出来るのは良いと思う。日常の食生活でも自分に合った食事を摂ることが出来るだろう。 (薬学部)

・確かにオーダーメイド医療は効果が高いと思う。しかしこれにはいくつか問題点もあると思う。映画やドラマで話題になった「タイヨウのうた」を観て知ったのだが、XPという病気は患者の数だけ症例があるらしく、しっかりとした治療法が確立していないらしい。オーダーメイド医療は過去の症例を基にその人に合った治療法を探すが、過去にない症例が出た場合の対応が難しいのではないだろうか。またオーダーメイド医療は、過去の症例の点検や医療法の検討とともに、より時間とお金がかかる可能性がある。しかし多くの病気に対し旧来の治療法より効果が高いのは間違いないので、可能であれば実施していくべきだと思う。 (教育学部)

・私は、オーダーメイド医療は実現して欲しいと思っています。なぜなら、オーダーメイド医療が実現することによって、自分にあった薬を使用することができ、副作用が起きる可能性を低くすることができるからです。また、これから高齢化が進み増えていくであろう医療費を削減することにもつながると思います。しかし、遺伝子の情報は大切な個人情報なので、それをどのように守っていくかや、新たに差別が起きないようにすることは、重要な課題だと思います。 (工学部)

・自分の親戚が癌だったんですけどその治療などを見ててオーダーメイド医療って全然できてないなと思いました。ある程度同じ病気の人を集めてはいるけど患者の人数も多いためなかなか個人別での医療ができてなかったです。親戚は副作用がなく免疫がつく治療を探したんですがその薬はまだ国が認めていないため保険がきかないのでとても高額でした。一人一人に対して適した治療を行うのはまだ困難ではないでしょうか。 (工学部)

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   オーダーメイド医療は始まったばかりです。臨床の現場まで進んでいる例は、まだまだ少ないと思います。しかしながら、しばらく前まで不可能だったことが可能になりつつあるのも事実です。(コメント by 荒木)

・オーダーメイド医療は本当に当たり前だと思っていたけど、当たり前がすごく大切で、とても難しいんだなと思いました。 (教育学部)

・オーダーメイド医療はいい取り組みだと思います。個人にあった治療方法で治りが早くなるのならもっと普及してほしいです。 (教育学部)

・オーダーメイド医療はすばらしいシステムだと思う。多額のお金がかかるイメージがあるので個人でも診察をうけられるように国の援助が必要になると思う。日本はまず国の財政をなんとかしないといけないので、一般に普及するのはかなり先のことになると思うが実現してほしいと思う。 (教育学部)


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