2007年度 レポート第12回 回答集

熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2008年 7月26日更新

2007年度 最前線の生命科学C レポ−ト第12回(2008年1月 31日実施)回答集

[ テーマ ]ES細胞樹立を目的としたヒトクローン胚の 作製に賛成か反対か

[ 回答 ](全24人)

賛成(13人)
・私はこの作製には賛成です。確かに研究を進めていく上で卵子の売買等を含め様々な倫理問題がありそうです。でもこの技術が発達すれば大きく医療発達につながるし、臓器売買によって殺されてしまう人も少なくなると思います。だから賛成です。 (工学部)

・一応賛成です。
 ES細胞が樹立されれば難病で苦しむ人たちも助けることができるだろうし、仮にこの方法で樹立できなくとも他の方法での樹立に、この研究が役立つだろうと考えられるので、いいと思います。
 しかし、このヒトクローン胚にはヒトの卵子が使われているので、その研究材料入手のために、卵巣に異常のない人に、異常があると診断し、卵巣を摘出して手に入れる、などといった犯罪に結びついたりしないよう、その入手経路等の厳重な管理などの対策が必要になるだろうと思います。 (工学部)

・私は賛成である。今直らないと言われている病気の治療に役立てられるのでとても有用な技術だからだ。たしかに倫理的な問題はあるが、生命操作をどこまで行ってよいかの境界があいまいで、またそれを決めるのも難しいことだと思うので、ある程度の生命操作は行ってもいいと思う。日本と欧米諸国とでは宗教が異なるのでそのあたりの考え方などが異なるのかもしれないけれど、ちゃんと規則を決めて慎重に操作を行うぶんにはいいと思った。 (医学部)

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   「生命操作」という言葉は重いですね。立派なレポートだと思います。 (コメントby 荒木)

・人クローン胚に賛成か反対かということで自分は賛成です。なぜなら、理由は単純で人の命が助かるなら絶対にそうするべきだと思います。 (工学部)

・ES細胞樹立を目的としたヒトクローン胚の作製によってさまざまな病気の治療や、複雑な生命現象を解くことが可能になるのであれば私は賛成です。 (医学部)

・もし人の命を助けるためなら、時には生命倫理を犯すことがあろうとも必要だと思うので賛成です。 (工学部)

・[ES細胞樹立を目的としたヒトクローン胚の作成に賛成か反対か]万能性を持つES細胞は研究や医療に大変役に立つと学びました。しかしES細胞は人工であるためどんな変異や異常があるか分からないので、様々な付属実験が必要でしょう。ヒトクローン胚を作れば私が知らないような新しい実験ができるようになるかもしれません。私はヒトクローン胚の作成に賛成ですが、それが生命であることを認識した上できちんと定められた初期胚のみを作成すべきだと思います。 (医学部)

・私は、ES細胞樹立を目的としたヒトクローン胚の作製には賛成です。目的がES細胞作製である限りは、再生医療発展につながり、より多くの、今難病で苦しんでいる人々の役に立つことができるのではないかと思います。しかし、目的がそれ以外のもの、例えば、自分のコピーを作るためなどというものになってしまうと、倫理的に問題があると思います。なので、こうならないためにも、ES細胞の研究に対して、明確な法的規制が必要だと思います。 (医学部)

・これだけ世界が感心のあるES細胞はやはり何らかのかたちで完成させたいし、制限があったうえでの人クローン胚の作製は賛成です。きっぱりつくらないというのは無理だろうし、かといって倫理的な問題をまったく考えないのはよくないと思います。 (医学部)

・私は賛成です。この技術はとても素晴らしいと思っていたのですが、みんなの意見も見てみると分からなくなってきました。卵子は一つしかない訳でもないし、悪い言い方かもしれませんが、使わなければ排出されるから、提供者が同意していれば全く問題ないと思っていました。でも、精子は生命そのものと言う意見を見て、卵子を売買することは良くないのかなあとも思うようになりました。 (工学部)

・賛成です。ES細胞を作る際に第3者の受精卵を用いると移植する時に拒絶反応を起こす可能性もある。しかし、クローン胚を用いることでその危険を減らすことが可能となる。倫理の問題があるかもしれませんが、人の命が救えるのなら多少は目をつむっても良いと考えました。ですから私は賛成です。 (工学部)

・私は賛成です。拒絶反応の危険性が減少し、安全に行えるからです。人の命に関わる問題なので危険性を減らす方が優先だと考えます。 (工学部)

・ヒトクローン胚の作成によって、医療が発達するのであれば、私はヒトクローン胚の作成には賛成です。 (工学部)

反対(8人)
・基本的には反対です。
 ES細胞が樹立されれば、ヒトクローン胚の作製が不可欠になり、そのためには大量の卵子が必要となる。その結果、精子バンクならぬ卵子バンクができる可能性もある。
 果たして、卵子を売買してまで医療技術を発展させる必要があるのだろうかと思います。臓器移植に関しては、提供者の命に別状がなく,同意もあるのなら許される範囲だと思いますが、精子や卵子は生命そのものであるから、ヒトの命を金銭で売買することには賛成できません。
 しかし、自分の親族が移植を必要としている状況に直面した時にも「移植は反対」と主張できるかと言われれば、意見は変わると思います。どんなに移植技術に反対していても、私情が絡めば移植に賛成せざるを得ない状況になるはず。
 移植技術については本当に難しい問題だと思います。 (工学部)

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   「卵子バンク」というキーワードで検索すると、既に実在しているということが分かります。アメリカでは「精子バンク」同様に一般化しているようですし、アメリカ同様に韓国でも日本人を対象としたビジネスが行われている様です。つまり、ES細胞など基礎研究のためではなく、既に「生殖医療」という巨大な産業が「卵子バンク」を成立させています。 (コメントby 荒木)

・ES細胞樹立を目的としたヒトクローン胚の作製について私は反対です。なぜならES細胞作製の際に必要な卵子が売買される恐れがあるからです。もし、売買を法律によって禁止したとして提供者本人の同意のみによって提供されるようになったとしても、その提供者がなんらかの圧力をかけられた状態であれば、提供者の意志に関わらず強制的に提供せざるを得ないという可能性もあると思います。だから私は反対です。 (工学部)

・私はES細胞樹立を目的としたヒトクローン胚の作製には反対です。それにより救われる命もあれば、命の元である卵子が売買されたりする可能性があることは許されないと思うからです。命の価値に差があってはならないと思います。 (工学部)

・私はこのことに反対である。研究には人の卵子を利用するためさまざまな倫理上や安全性の問題が生じることが考えられるからである。
 確かにこのES細胞が樹立されれば、多くの疾患の治療への期待が高まる。これらの問題を解決して、研究できる方法を立案してほしい。
 難しい技術の開発や成功には、多くの栄誉や地位を確立できるなど利益が大きい。しかし、安易に研究を捏造したりすることは決してあってはならないと思う。とくに私たちの命にかかわる研究だからこそ、慎重に取り組んでもらいたい。 (医学部)

・自分はヒトクローン胚の作製に反対です。やはり、命というものは尊いものであり、簡単に人間が扱ってはいけないものだと思います。自分達に与えられた命を大切にすることが大切だと思います。また、そのヒトクローン胚の作製を売買の目的として使用するような悪い人達が出てくると思うので、自分は反対です。 (医学部)

・ES細胞を作る際に起こると予測される問題がある限りヒトクローン胚の作製はするべきでないと思います。よって現時点では反対です。 (理学部)

・私は、ES細胞樹立を目的としたヒトクローン胚の作製に反対である。ES細胞の研究はこれからも進められることで、患者さんより良い治療を提供できるようになることに対しては期待したい。  しかし、ヒトクローン胚の作製に対しては倫理的な問題があると考える。
 そのヒトクローン胚の作製は患者を第一に考えたものであるのかを再度必ず考えなければならないと考える。 (医学部)

・現段階では反対です。ヒトの胚由来のES細胞は、大量の卵子が必要で、また、クローン人間作製につながる恐れがあると思う。
 それにips細胞が研究されているので、もしかしたらこの問題は解決されると思います。 (医学部)

どちらとも言えない (3人)
・私はES細胞樹立の目的としてヒトクローン胚の作成には賛成は出来ないのでどちらかと言えば反対です。
 倫理的な問題があるというのが大きな理由ですがその技術の開発を待ち望んでいる患者の事を考えると必要だと思うからです。実際にこのような万能細胞が普及されれば多くの患者を救う事が可能になるというメリットはとても大きなものだと思います。だからこそ倫理的な問題が解決されて一般的に認められるようになることを望みたいです。 (工学部)

・自分は人クローン胚の作成について賛成とも反対とも言えない。実際再生医療が発展することはいいことだが人の命が軽んじられることは好ましくない。 (工学部)

・私はどちらとも言えません。難病で苦しんでいる人々に希望を与える素晴らしい技術だと思います。けれど卵子の使用による倫理的な問題を考える以前に、“卵子を使う研究”という時点で、とても疑問に思う。 (医学部)


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