2007年度 レポート第3回 回答集

熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健
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2008年 1月27日更新

2007年度 最前線の生命科学C レポ−ト第3回(2007年10月 18日実施)回答集

[ テーマ ]人は誰でも20個以上の遺伝病の 保因者であるという事実について

[ 回答 ](全21人)

・遺伝子組換えと言う言葉はニュースや新聞で聞いた事はあったがRNAの中のわずかな逆転写を利用しているという事を初めて知った。劣性の物はどこかで急に途絶えるのではなくて確実に遺伝されていくという事がわかり少し不安が湧いた。自分にも遺伝性疾患を持っていもおかしくないというのにはとても驚いた。この事から本当の健常者というのがどれだけ少ないかという事がわかった。さらに、身内同士が結婚が禁じられているのもこれが理由だとわかり考えさせられるものがあった。また同じリン酸と糖なのに付いている塩基が違うのには何か理由があるのかどうか知りたいと思った。 (工学部)
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 RNAはDNAと比べて物理的に不安定なだけでなく、RNA分解酵素による分解を受けやすいため、取扱いには細心の注意を要します。そこで、逆転写酵素と呼ばれるウイルス由来の酵素を用いてDNA (cDNA)に変換して実験に用います。また、劣性遺伝病の場合、異常な遺伝子を片方だけ持つ保因者(キャリアー)は発病しません。20種類の遺伝病の保因者であるというのは、20種類の病気を発症するという意味ではありません。結婚相手が同じ遺伝病の保因者である場合に、産まれてくる子供がその遺伝病を発症する可能性があるということです。  (コメントby 荒木)

・20個以上の遺伝病の保因者であることは実感はわきませんが、計算上そうなのだと思います。自分の遺伝子診断をしてみたくなりました。 (医学部)

・人が誰でも20個以上の遺伝病の保因者であると聞いて驚いきました。実際に自分の遺伝子を調べたこともないので、にわかには信じにくい感じがします。でも実際に遺伝病を持っているとすれば、環境要因しだいで病気なる可能性があると思います。そう考えると自分の遺伝情報というものを、少しでも知っていたほうが病気を予防できるとはずです。また、オーダーメイド治療なども発達すると自分の遺伝情報を知ることがこれから重要になると思います。
 しかし、それとともに個人情報を扱うため、情報の漏洩など気をつけなければならないと思います。今回の講義を受けて、人が誰でも20個以上の遺伝病の保因者であるという事実に驚くとともに、自分の遺伝情報について知りたくなりました。 (教育学部)
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 劣性遺伝病の場合、異常な遺伝子を片方だけ持つ保因者(キャリアー)は発病しません。20種類の遺伝病の保因者であるというのは、20種類の病気を発症するという意味ではありません。結婚相手が同じ遺伝病の保因者である場合に、産まれてくる子供がその遺伝病を発症する可能性があるということです。しかしながら、優性遺伝病の場合は、保因者も発病します。しかも、大人になってから、生殖年齢を過ぎてから発病する可能性があります。人類の寿命が延びた分、表現型が表に出る(つまり発病する)確率も高くなったと考えられます。  (コメントby 荒木)

・人は誰でも20個の遺伝病の保因者であると言うのは初めて聞いて非常に驚いた。また何故血が近いと結婚していけないのかがしっかりとわかってよかった。人の遺伝子に改めて興味を持った。 (工学部)

・人は誰でも20個以上の遺伝病の保因者であるということについて、にわかには信じがたい事ではあるが現に遺伝病で発症して苦しんでいる人がどれほどいるかということを考えるとその保因者の数は計算上そうなるのかもしれない。そう考えると私も保因者なのだろう。遺伝子病の研究がもっと進み解明されていくと病気自体はきっと理解されるようになり、遺伝病によって死亡したりごく平凡な日々をおくることさえできないでいる人や発症するかもしれない人も遺伝子レベルで治療もできるだろう。しかし精子バンクがあるように全ての人の遺伝子がわかり、その遺伝子で相手を選ぶ、きっとそうすれば遺伝的には何の問題もない子供を授かるかもしれない。それで本当に幸福になれるのだろうか。遺伝子病の問題は人権問題も含めて自分たちの利害を目的としたものには使われてはならないと思う。 (生涯学習)
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 「遺伝子で相手を選ぶ」時代は、以外に早く来るかも知れません。逆に言うと、新たな差別が生まれる可能性があります。遺伝情報は究極の個人情報であり、その保護には最大の注意を払う必要があります。残念ながら、「自分たちの利害を目的としたもの」を追い求める人が多いような気がします。  (コメントby 荒木)

・今まで遺伝性疾患は特別なもので、自分にはあまり関係ないものだと思っていたので、人は誰でも何らかの遺伝病の保因者であるというということを聞いて驚いた。そうなると、遺伝性疾患は誰でもかかる可能性はあるもので、特別なものではないのだと思った。ただ、遺伝性疾患と診断された人が保険に加入できなかったり、結婚するとき差別されることもあると聞いたので、差別をなくすためにも、もっと皆がが遺伝性疾患について正しく理解する必要があると思った。 (医学部)
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 確かに「遺伝性疾患は誰でもかかる可能性はあるもので、特別なものではない」ということを、多くの人に知ってもらいたいと思います。そうすれば、遺伝病の患者さんに対する偏見や差別も減っていくと信じています。  (コメントby 荒木)

・遺伝子病は誰が発病するかわからないものということは知っていたが、遺伝病について、人は誰でも20個の遺伝性疾患をもっていて、親のそれが同じもので重なったときに遺伝病が発病するということが知れてよかった。なぜ近い血族の間での結婚が有り得ないのかということもわかった。前から疑問に思ってたのですっきりした。 (工学部)

・私はこの事実が本当に事実であるのか、とても不思議に感じました。たしかに、講義で解説されて、目の前に計算式を並べられると、なるほどそうだな、と感じるのですが、やはり、自分もその保因者の一人なのだと思うと、信じられない気がします。しかも、20個以上も持っているなんて、とてもびっくりしました。なんだか、今までは自分とは関係のないことだと思っていたものが、急に身近に感じて、自分がどんな遺伝病の保因者なのか、知りたいと思いました。それに加えて、イエスのように、完璧な傷のない遺伝子を持ってはいなくても、傷のついた遺伝子が少ない人はいるのか、また、それとは逆に傷のついた遺伝子が多い人はいるのか、そして、これからも人は20個以上の遺伝病の保因者であり続けるのか、知りたいと思いました。 (医学部)
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 病気の原因は様々だと思いますが、あるタンパク質がその本来の機能を正常に保てないケースも考えられます。そう考えると、遺伝子の数だけ遺伝病もあると考えることが出来ます。人類の、と言うよりは、生物の長い進化の間に蓄積されてきた突然変異の結果だと考えれば、ごく当たり前のことだと思います。  (コメントby 荒木)

・今回の講義を聞いて、自分の家系には癌になったりする人がいないので自分は遺伝的には大丈夫だろうと思っていた。でも誰でも20個の遺伝性疾患を持っていることを知り、油断は出来ないなぁと思った。遺伝子病とは、具体的に何が原因となって発病するのかが気になった。 (工学部)

・人は誰でも20個以上の遺伝病の保因者であると聞いて、驚きました。しかしだれもがそれだけの数を持っているのに、遺伝病の発症率が何万分の一といった数になるのは、何か不思議な感じがします。
また、血縁関係の近いものとの結婚が法で禁じられているのには前から疑問を持っていましたが、今回の抗議でそれらしい理由が得られて、納得がいきました。 (工学部)

・20個以上の塩基が違うということは20/34*10^8×100=6*10^(-7)%の塩基が違うということです。私はこれだけで人の性質が変わってくると分かりびっくりしました。また20個の変異によって私の健康が冒されなかったのを幸せだと感じます。ところで疑問に思ったことが一つあります。変異が起こりやすいところってありますか? あるとすればDNAのどこらへんですか? (医学部)
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 劣性遺伝病の場合、異常な遺伝子を片方だけ持つ保因者(キャリアー)は発病しません。20種類の遺伝病の保因者であるというのは、20種類の病気を発症するという意味ではありません。結婚相手が同じ遺伝病の保因者である場合に、産まれてくる子供がその遺伝病を発症する可能性があるということです。しかしながら、優性遺伝病の場合は、保因者も発病します。しかも、大人になってから、生殖年齢を過ぎてから発病する可能性があります。人類の寿命が延びた分、表現型が表に出る(つまり発病する)確率も高くなったと考えられます。また、「人の性質」という観点では、ある人と他人を比べた場合の塩基配列の違いは0.1 %と言われています。ポイントミューテーションとも呼ばれる1塩基置換(SNP;スニップ)に関する研究が進んでおり、病気や体質に関係するものも報告されています。  (コメントby 荒木)

・今回の講義を通して、遺伝性の病気がかなりあることは知っていたが、誰しもが20以上の病気を潜在的に持っているとは思わなかった。しかし遺伝性の病気は突発性の病気と違い迅速かつ冷静な対処ができると思う。 (工学部)

・ほとんどの人は癌になる可能性のある遺伝子を持ち、その遺伝子のスイッチが入ってしまった時に癌になる可能性があるということは知っていた。しかし、人は誰でも20個以上の遺伝病の保因者であるという事実は初めて知り、驚いた。このような事実が明らかにされていくことにより、検査で自分はどの様な遺伝病になる可能性があるかを知ることで、予防ができるのではと考える。しかし、一方で予防法が見つかっていない疾患に対しては患者の不安感は多大なものになるのではと考える。よって、検査も慎重に行なう必要があると考える。 (医学部)

・病気は遺伝性素因に環境因子の作用することで発症がある。特に環境因子により東海村臨界事故は染色体に異常をもたらした。大内さんはそのため細胞の再生が不可能となり死亡。
 遺伝子病はまさにこの環境因子による遺伝子の異常発症であるが、遺伝病は遺伝的に病気を引き継いでいる患者の病気である。しかも25万人に1人発症する遺伝性疾患がある。
 このことから遺伝する確立は250人に1人の割合で保因者がいる。人には5000の遺伝性疾患があるから20個の遺伝性疾患の保因者となる。
 遺伝子自体に病気の要因があるとすると、将来何に活用されるのか。
 あらかじめ、発症しそうな因子を除去したり、活動を抑制することも考えられる。又、保因者を調べることにより適正を判断し、様々な業務に適するか否かを決める。まさに、活用の方法により、善にもなり悪にもなる。科学が人間の幸にも不幸にもなり得る。「核の開発」と同様に大きな問題を引き起こす可能性を持つだけに、人間の叡智が試されることになる。 (生涯学習)
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 「人間の叡知が試される」というのは、その通りだと思います。遺伝子組換え技術は、原子力技術と同様に、精神的に未熟な人類が手にした『諸刃の刃』なのかも知れません。遺伝子組換え食品やバイオエタノールの話題については、「本当にこれで良いのか?」という思いがします。  (コメントby 荒木)

・今回の講義を受けて遺伝の仕組みや遺伝病について少し理解することができた。遺伝病というと、自分の祖父が糖尿病を患っているので自分もその病気の遺伝子の保因者である可能性が高いと思った。また、両親が病気を発症してなくてもその病気の遺伝子の保因者であればその子供に病気が発症する可能性もあるため、誰もが20個以上の遺伝病の保因者であるから、遺伝病とは生きていく上で避けては通れない問題だと思った。 (工学部)

・人は誰もが20種類の変異遺伝子を持っている可能性があるということに関してはあまり驚きはありませんでした。私が考えさせられたのは、このような事実が存在するために将来、遺伝子診断によって物事を判断する時代がくるのではないかという点です。アメリカでは、着床前診断で受精卵を選別して赤ちゃんを産んだという人がいます。確かに遺伝子異常のない健康体の赤ちゃんが産まれるということは素晴らしいことだと思います。けれども、本来自然に産まれるはずの受精卵を選別によって破棄するというのは、人道に背いているのではないかと思います。道徳的な精神を無視して技術を先行させてはいけないと改めて思いました。 (医学部)
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「道徳的な精神を無視して技術を先行させてはいけない」という意見に賛成します。
(コメントby 荒木)

・いよいよ迷宮領域に入ったような気がいたします、現実の目視できる分野はなんとか理解できそうですが、ナノメートルなどの単位は、宇宙での億光年以上に難解、好奇心だけではとても、相当な想像力の動員が必要のようです。
 設題につきましても、講義の図を何回も見直しましたが、?で終わっています。
 ただ、20個あることがわかっていれば、それを解明して、発病前に除去できないものかと、それが「遺伝子診断」だと思いますが、早く健康保険で出来るようになればいいと、短絡的過ぎますが。
 関連しまして、先日の新聞報道で、「中国で人ゲノムを100%解明、遺伝子地図が完成」との記事、ゲノムで検索したら、03年4月に国際協力で解読完了とありました、どのようなことでしょうか、今講義を受けている内容が解読された内容なのでしょうか? (生涯学習)
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 基礎知識については、今すぐ理解されなくても結構です。何度も聞かれるうちに、少しづつ慣れていくのではないかと思います。
 さて、劣性遺伝病の場合、異常な遺伝子を片方だけ持つ保因者(キャリアー)は発病しません。20種類の遺伝病の保因者であるというのは、20種類の病気を発症するという意味ではありません。結婚相手が同じ遺伝病の保因者である場合に、産まれてくる子供がその遺伝病を発症する可能性があるということです。しかしながら、優性遺伝病の場合は、保因者も発病します。しかも、大人になってから、生殖年齢を過ぎてから発病する可能性があります。人類の寿命が延びた分、表現型が表に出る(つまり発病する)確率も高くなったと考えられます。
 「中国で人ゲノムを100%解明、遺伝子地図が完成」というのは、中国人の(アジア人としても)ゲノムを解読したということです。2003年にほぼ同時にヒトゲノム解読を発表した国際協力チームにしても、セレラ・ジェノミクスというベンチャー企業にしても、複数の(名前を特定出来ない)欧米人から採取したDNAをサンプルとして使用しています。個人のゲノムではありません。今回の中国人というのも、おそらく複数の人から採取していると思います。なぜかというと、個人のゲノム情報は究極の個人情報であり、とても公開出来ないからです。また、人種によってゲノム配列が少し違うということは、これまでにも分かっていたことです。例えば、日本人の遺伝子は、欧米人よりも中国人に似ています。それでは、なぜ日本人のゲノムを読まないかというと、それに必要な莫大なお金をかけるほど、優先順位が高くないからです。それよりも、SNP解析を優先してオーダーメイド医療実現のためにお金をかけた方が良いと考えられています。  (コメントby 荒木)

・人が誰でも20個以上の遺伝の病気の可能性を持っていると聞いて驚きました。昔遺伝の病気の話を聞き、毎日びくびくしながら生きている人の話を聞き、それはその人だけじゃないんだなと思いました。病気が遺伝されないようにするための治療ができればいいなと思いました。 (工学部)

・たまにテレビでも本当にごく希な確率で起こる病気にかかった患者さんを取り扱った番組もあっていますが、自分は今まで大きな病気にかかったことはないので、ほとんど他人事のように感じていました。しかし今回の講義を受けて、いつ自分が治療法も見つかっていないような病気にかかってもおかしくないのだと知りました。また、遺伝子の研究によって生まれる前からその後かかる病気がわかるというのはとても便利なことだと思うけれど、もし自分の子供が生まれてくる前に病気を持って生まれるということが分かったら、自分はどうするだろうと考えさせられました。 (医学部)

・今まで家族との結婚ができないことは、知っていたけれどこんな恐ろしいことが隠されているなんて全く知りませんでした。また、人間は約20個も変異遺伝子を持っているという事実を聞き、衝撃的でした。よくテレビなどでごく稀な確率でおこる病気だと聞いたことがあるけれど、この今回の講義の内容が深くかかわっているんだと思いました。 (医学部)

・ヒトは誰でも1人あたり20個の遺伝性疾患の保因者であることを知り、自分も、自分の体に対する意識が変わったような気がしました。大きな病気をしないように、環境因子にも気をつけようと思いました。また、たった1塩基でお酒に強い弱いという違いが生じるという点にも非常に興味を持ちました。他にも日常のほんの小さな差で塩基配列に違いがある例があったら知りたいです。 (工学部)

・近親者どうしが結婚してはいけない理由がちゃんとわかって良かった。自分が20個以上もの遺伝病を持っているなんて正直驚いた。自分の遺伝子が分かれば、医療などには役に立つが、就職や結婚にも影響するかもしれないので、良いことなのかどうかは難しい。 (理学部)

・遺伝病とされる疾患は、数多く上げられることと考えられますが、遺伝性素因により発症する可能性は確実なものではないと思います。私たちは遺伝病の保因者であっても、全ての疾患を発症していないからです。今回の講義やこれまでの学習から、私たちの疾病発症の機序は複雑なものと考えられます。私たちは20個以上の遺伝病を保因すると言われていますが、それらの疾病を防ぐために少なくとも自己の遺伝性素因を知ることができればいいなと思います。 (工学部)

・高校で生物を勉強して、大学でも生物学関連の授業を受けていましたが、こういう事実は初めて知りました。今回の授業は大変役に立ちました。また、遺伝病と遺伝病の違いも今回はっきりとしたので良かったです。今後、遺伝病の診断が可能になっていくと思いますが、知らない事実が多いので、こういったことを勉強して、正しい知識を得て、遺伝とは何か理解していこうと思う。 (医学部)

・私は、人は誰でも20個以上の遺伝病の保因者であると聞いて、驚いた。私は今まで、そのことを知らなくて、考えたこともなかったので、自分には関係ないものだと思っていた。しかし、ビデオを見て、私を含めて、みんなに関わっている問題なのだと分かった。このことを覚えておきたい。 (工学部)

・私は、今まで、遺伝病の保因者というのは、限られた人だけであり、誰もが持っているという訳ではないと考えていました。そのため、今回の講義で学習して、非常に驚きました。これから、さらに医学が発展して、どんな遺伝病が発症しても完治することが可能になってくれることを期待しています。 (工学部)


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