2008年度 レポート第11回 回答集

熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2009年10月29日更新

2008年度 最前線の生命科学C レポ−ト第11回(2009年 1月15日実施)回答集

[テーマ]iPS細胞に期待すること

[ 回答 ](全26人)

・山中先生のおっしゃるように、IPS細胞が実際に再生医療に用いられるまでには解決しなければならない問題が多くあります。しかし、その先にはきっと我々の健康を回復してくれる夢の医療が待っていることでしょう。
 その一方で不安もあります。不老不死は長年の人類の夢でした。このIPS細胞を利用して自らの不老不死を夢見る人間が必ず現れるでしょう。再生医療を目的として進められた研究が、自然の摂理にそぐわない寿命の延長に応用されることについて我々はもっと警戒する必要があるのではないでしょうか。 (医学部)
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 確かに、不老不死を願うというのは、人類の夢かも知れません。その結果どうなるか、考えると恐ろしいですね。 (コメントby 荒木)

・万能細胞はパーキンソン病など治療が不可能な病気を持っている患者さんにとって希望だと思います。戦後何十年間で、以前では考えられなかった治療法が確立され、医療は躍進を遂げました。iPS細胞の医学的応用によって今後はさらなる進歩が考えられます。医師という職業は、常に新しい知識を必要としているので、研究雑誌などを読み込み時代の流れに沿って自分を高めることが大切だと実感しました。iPS細胞を人に応用するのは人体への危険性を考慮するとまだまだ先の話ですが、必ず医療技術の中に適用されるだろうと思うので、今後も是非注目していきたいです。 (医学部)

・私はIPS細胞に再生医療を期待しています。再生医療によって、現在は治療できない病気、また移植医療に大きな進展が現れる可能性が十分にあるからです。 (薬学部)

・患者の体細胞からiPS細胞を作製し、必要な組織の細胞に分化させてから移植することにより、怪我や癌の治療に役立てることに期待します。患者の体細胞からiPS細胞を作製し、必要な組織の細胞に分化させ、なぜ病気になったのかその原因を解明することにも期待します。 (工学部)

・患者さんの体細胞からiPS細胞を作るならば、例えば東海村の被爆事故のビデオで見た時のような人工皮膚を作るときに、本人の細胞のコピーのようなものなので拒絶反応が無い確かなものなので、いいと思った。しかし正常な細胞が突然変異し、癌になる可能性がある点が引っ掛かる。でも、多能性幹細胞はいろいろな細胞に分化することが可能なので、身体のどの部分にも使える可能性がすごいと思った。 (教育学部)

・iPS細胞には医学や薬学の面での活躍の期待が大きいです。必要な組織の細胞に分化させられるのでほとんどの病気に応用が可能だからです。しかし逆にiPS細胞の応用が進みどんな病気でも解決できるようになったとしたら人間はいつ、何によって死ぬのでしょうか。またiPS細胞導入によって医療関係者とそれ以外の人の経済格差が非常に大きくなってしまうことも心配です。 (薬学部)

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 人間はいつ、何によって死ぬのかという疑問を感じられているようですが、病気以外にも人の死因は山ほどあります。ただし、そういう最新医療の恩恵にあずかれる人とあずかれない人の格差が広がるという問題は重要です。 (コメントby 荒木)

・私はiPS細胞の利用が増えればいいと思います。受精卵を使わないのでES細胞と違って倫理上の問題もないからです。早く安全性が確立されてほしいです。 (工学部)

・私は、iPS細胞に再生医療での活躍を期待します。iPS細胞の作製には受精卵を使わず、患者の体細胞を利用するという点が従来の方法とは違い、拒絶反応や倫理的な問題も減少すると思うからです。確かに現時点での問題点も様々挙げられていますが、もっと安全性が確認されれば、回復が難しい病気にも対応できるようになり、医療によって対応できる幅が増えると思います。 (教育学部)

・ips細胞に期待することは、多能性幹細胞を利用できるようになり、新薬開発のために利用されることです。 (薬学部)

・iPS細胞に期待することは、やはり何といっても再生医療の分野だろう。ES細胞では、倫理的問題から使用が難しいとされているので、患者自身の細胞から作られるiPS細胞には拒絶反応や使用には期待していいと思われる。また、医学薬学研究において臓器などが作れるようになれば、今までマウスで行っていた生体実験も一部はiPS細胞で行えるかもしれないということは、これからの医学研究に役立つだろう。しかし、やはり一歩使い方を間違えると、クローンなど生命倫理に反することになりかねないので、使用や研究には十分注意すべきだと思う。 (薬学部)

・iPS細胞は、ES細胞と違って受精卵を材料とするわけでもなく、ましてや免疫拒絶もないので、かなり有効的な再生医療として実用化されていくのは誰でもわかると思うここで、iPS細胞に期待することは、実用化を急ぎすぎないことだ。今、癌を伴わないiPS細胞も作成されているようだが、かなり低い確率でしか作れていないようだ。あせってなにか問題が起こるとすごくもったいない気がする。十分に技術が進んで本当に確実だとされてから世に出てほしいと思った。 (医学部)
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 「実用化を急ぎすぎない」というのはとても重要なキーワードだと思います。 (コメントby 荒木)

・私がiPS細胞に期待することは臓器移植です。今までの臓器移植では他人の臓器を使うため拒絶反応があったりと問題がありました。でもiPS細胞を使って臓器を作れたなら、自分の細胞から作った臓器なので移植しても拒絶反応が起こらないと聞きました。拒絶反応が起こらないなら安心して移植できるし、iPS細胞から作るのに時間はかかってもドナーを待たなくていいので、臓器移植に一番期待します。 (工学部)

・iPS細胞を利用し,副作用が起こらない,もしくは副作用が最小限の薬の開発ができるようになっていることを期待します。 (薬学部)

・わたしは移植手術への応用を期待しています。現在の移植手術には非常に多くの手間が必要です。そのために治療に遅れが発生することもありました。しかし、iPS細胞の技術を利用することで、自分自身の細胞から臓器や皮膚を再生することが可能になります。これによって自分にあったドナーを探す手間を省くことができる上、移植した臓器が患者の体に適応できない可能性も大幅に減少させることができます。現状ではiPS細胞の作成に時間がかかるという問題点があるので、早く現場での技術利用が実現するように願っています。 (工学部)

・授業の中でiPS細胞の利用法として(1)細胞移植療法、(2)医学薬学研究の二つが挙げられていましたが、僕が期待するのは(2)の方です。  確かに(1)は魅力的で発展が嘱望される分野ではありますが、まだまだ現実的ではありません。前期に受けた最先端医学の授業の中で、「iPS細胞が完全な臓器に分化するためには多くの複雑な機構を必要とするが、現代の医学ではそのメカニズムは殆ど解明できていない」と聞きました。もしそうであるなら、まだ夢物語である再生医療よりも、より現実的で患者さんが恩恵を受けやすい(2)の発展に期待したいと思います。(余談ですが、山中教授は僕の高校の先輩なんです!) (薬学部)

・現在、病気で細胞移植をしなければならない方々は沢山いらっしゃいますが、多くはなかなかドナーが見つからず、厳しい状況に置かれています。さらに、移植には大変リスクも伴うので、細胞が手にはいったとしても安心できず、患者さんの負担は計りしれません。そんな問題をiSP細胞が解決してくれることを、大いに期待します。特に、拒絶反応を避けることができるというのは素晴らしいと思いました。是非ともこの研究を妥協なく完璧に完成させて、移植療法を安全で確実なものにし、今も苦しんでいる患者さんたちを救って欲しいと思います。 (医学部)

・iPS細胞を用いることにより、これまでの医療では助けられなかった人々が助かることを期待する。iPS細胞は細胞移植医療が抱えてきた大きな問題であった拒絶反応はおろか、ES細胞の難点である倫理的問題さえクリアしている。iPS細胞ができたことで細胞移植医療は大きく前進することが考えられる。 (医学部)

・ iPS細胞の利用が可能になると、私たちの生活は大きく変わってくる。例えば、事故などで体の一部を失ってしまった場合、それらを再生できるかもしれない。また、それだけでなく今まで治療でいなかった難病も、iPS細胞の利用によって治療方法の解明が可能となるかもしれない。iPS細胞の利用は、医療の現場等で大きく役に立つと思う。
 しかし、まだ問題点もある。例えば、iPS細胞の利用が可能となると、人間そのものの再生つまりクローン人間の開発も可能となってしまうかもしれない。iPS細胞は私たちの生活を大きく変えてくれる。しかし、使い方によっては少し怖いようにも感じる。 (工学部)

・自分の細胞を自分に移植できるということがとても魅力的なことだと思いました。病気の原因がわかれば、きちんとした治療法もみつかると思います。不安なのがiPS細胞が癌細胞に変化する危険性があるということです。将来的に利用するならば、このような不安要素を取り除かなければならないと思います。 (工学部)

・iPS細胞に期待することは事故に失った物の再生と、今までは臓器移植でしか助からなかった人に対してのiPS細胞によって作られた臓器の移植です。 (工学部)

・私は、iPS細胞にはとても期待できると思います。卵細胞でなくて他の細胞から培養できるようになったので、倫理の問題もなくなるし、実用的に近いものであると思います。将来、細胞を培養し臓器などを作ることができるようになり、臓器の売買の問題もなくなることを期待します。 (教育学部)

・私は再生医療の分野の飛躍に期待しています。しかし、私は詳しいことは分からないのですが、細胞からその人の部品を作るということにおいて、クローン技術と何が違うのだろうと思います。倫理的な問題もあり極論になりますが、考え方によっては移植などもクローンを作っておけば、それを使って病気を治療することも可能なのでは、と考えました。 (工学部)

・講義の中で遺伝病があることがわかったせいで片方が大学に進学できなかった兄弟の話がありましたが、正直な所、自分が大学に行けない立場だったら理不尽に思ったりすると思います。しかし、客観的に見ればそのおかげでもう片方は大学に行けるのだからそれはそれで悪くはないと思います。それに大学を卒業前に死ぬかもしれませんから。だから、自分は遺伝病の出生前診断には賛成です。 (工学部)

・自分がiPS細胞に期待することは、やはり移植などの再生医療への応用です。今はまだ細胞レベルの基礎研究の段階だということですが、これからの研究次第ではどんどん発展していくと思います。特に日本は移植手術に対しては賛成しかねる人が多いので、この技術が確立することで、今までは治らなかったものの多くが改善されると思います。 (薬学部)

・iPS細胞で、異常のある臓器を作製し、病気の原因解明や治療薬の探索、またその薬の副作用の予見などに役立てることが期待できる。これらが実際に行われるように、早く細胞分化の技術を確立させてほしい。 (薬学部)

・iPS細胞に期待することは、資料にあるように病気の原因を解明することです。また、イメージですが最先端の検査とかは費用が高そうなので一般に広がるように安価にしてほしいです。 (工学部)


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