2008年度 レポート第6回 回答集

熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2009年10月26日更新

2008年度 最前線の生命科学C レポ−ト第6回(2008年11月6日実施)回答集

[テーマ]足利事件について

[ 回答 ](全41人)

・ 杜撰な捜査は今に始まった事ではない、捜査は真実を求めるために行われるのでなくいつも自分が手柄を得るためや上司の命令・憂慮によって、また自分達にとって具合のいい相手を犯人として吊し上げるために行われる。
 こういう事件を防ぐためにはまず我々国民の意識を向上させ、彼等の暴走が起こらないよう常に監視し抑制できるようにする他無いだろう。 (医学部)
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 随分過激な意見ですが、否定はしません。 (コメントby 荒木)

・DNA鑑定の精度をどう評価するか、が問題であることはわかります。この講義の内容に関連した問題として理解しました。
 しかし、冤罪事件はこの事件だけではありません。検察が様々な物証を恣意的に扱い、強要した自白を元に有罪に持ち込む、そんな冤罪と思われる事件は多々あります。その中の1つに過ぎない足利事件について、授業で強調して取り上げる必要があったのか、少し疑問に思いました。 (医学部)
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 「冤罪と思われる事件は多々あり、その中の1つに過ぎない足利事件」という考え方には賛成出来ません。たとえ山の様に冤罪事件があっても、それが当たり前と思うのは間違いです。ひとつひとつの事件毎に人生を狂わされた人がいることを想像して下さい。また、この講義は法学でも社会学でもありません。「冤罪」をテーマにして統計的なデータを検討したり、裁判の判例を列記したりするつもりはありません。今回「足利事件」を取り上げたのは、『DNA鑑定』の重要性と問題点が分り易く示されているからです。
 足利事件は『DNA鑑定』が有罪の決め手となった初めての事件であり、『DNA鑑定』と自白以外に証拠はありません。『DNA鑑定』に関する正しい知識を持たないまま、警察も、マスコミも、弁護人でさえ、『DNA鑑定』でクロと出たのだから絶対にクロだと信じてしまいました。またこの事件以降、犯罪捜査に『DNA鑑定』を用いることが常識となりました。従って、『DNA鑑定』の重要性がよく分ると思います。
 しかしながら、実際には足利事件では常識的なルールに従った『DNA鑑定』は行われておらず、弁護側の『DNA鑑定』では全く異なる結果が出ています。得られた結果の解釈も正しくなく、『DNA鑑定』という技術を間違って利用していると言わざるを得ません。スライドでも示しましたが問題点をまとめると以下の様になります。
(1)菅家さんのDNAに関して、サンプルの入手方法が不適切。私的利用ならまだしも、裁判という公的利用には使えません。確実に本人から採取して再鑑定すべきです。
(2)対照資料である被害者の半袖下着は、川の中から泥だらけの状態で発見されており、付着していた精液班において顕微鏡で確認された精子はたった3個でした。当時の『DNA鑑定』技 術では、少なくとも精子1000個以上が必要であり、強引に増幅して得られたバンドはコンタミ(汚染)による物である可能性が高いと考えられます。
(3)たったひとつのDNA型(MCT118)だけで犯人を特定することは不可能です。別人でも100人に1人は一致する可能性があります。つまり、捜査していた警察官のDNAでさえ調べれば一致したかも知れないのです。
(4)逆に、たったひとつのDNA型(MCT118)だけでも、一致しなければ無実の証明が可能です。実際に弁護側の鑑定では一致しませんでした。アメリカでは裁判で無実を証明するための証拠としてDNA鑑定が積極的に利用されています。
(5)DNA鑑定技術は格段に進歩しており、細胞1個からでも鑑定出来ると言われています。従って、新しい技術を用いて再鑑定することには大きな意味があります。
(コメントby 荒木)
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 レポートに対する返信を頂きまして、ありがとうございます。真意が伝わらなかった部分があるように思われますので、以下、先生から頂いた返信の内容を引用しながら再度レポートとして提出したいと思います。
>>『DNA鑑定』に関する正しい知識を持たないまま、警察も、マスコミも、弁護人
でさえ、『DNA鑑定』でクロと出たのだから絶対にクロだと信じてしまいました。
>>しかしながら、実際には足利事件では常識的なルールに従った『DNA鑑定』は行 われておらず、
 この2点に矛盾があるように思います。「常識に従っていない」わけですから、鑑定に関わった警察の専門家は当初から鑑定の信用性について疑いのあることは十分認識していたのではないでしょうか。科学については素人であるはずの弁護士が控訴審で指摘できる不備、その不備について鑑定を行った警察の専門家が全く認識していなかったとは思えません。警察は、DNA鑑定があるからクロだと信じたのではなく、クロだと信じた上でDNA鑑定を利用したに過ぎないのではないでしょうか?
>>たとえ山の様に冤罪事件があっても、それが当たり前と思うのは間違いです。ひと つひとつの事件毎に人生を狂わされた人がいることを想像して下さい。
おっしゃるとおりで、全ての冤罪事件はすべて公平に救済されるべきです。しかしながら、 >>この講義は法学でも社会学でもありません。
その点で、特定の事件について感傷的になってこの授業で扱う必要があったのか疑問に思った次第です。また、再鑑定の結果が出るまでは冤罪であると決まったわけではありません。
 要するに、先生はこの問題の本質をDNA鑑定にあるとされているわけですが、私はそうは思わないということです。たまたま警察、検察に利用されたのがDNA鑑定であっただけであって、事の本質はこの国の権力構造にあり、であるならば、この講義の趣旨にそぐわない問題になるのではないでしょうか、というのが私の主張です。 (コメントを受けたレポート第2報)
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 バイオ情報分野の荒木です。再レポートありがとうございます。
 確かに「鑑定に関わった警察の専門家は当初から鑑定の信用性について疑いのあることは十分認識していた」と思います。そういう意味では矛盾していますね。マスコミの中にも別の意見の人がいたかも知れませんので『ほとんどの』とか『多くの』という形容詞が必要でした。また「クロだと信じた上でDNA鑑定を利用したに過ぎない」という意見は『恣意的な捏造』を意味していると思いますが、その可能性も否定出来ません。さらに「再鑑定の結果が出るまでは冤罪であると決まったわけではありません」というのもその通りです。私も「冤罪である可能性が限りなく高い」という表現を使っていたと思います。
   しかしながら、この講義は『冤罪』をテーマにした訳ではありません。前回のメールにも書きましたが、「足利事件」を取り上げたのは『DNA鑑定』の重要性と問題点が分り易く示されているからです。
 この講義の趣旨は、生命科学の専門家ではない一般の人に対して、『遺伝子』や『生命科学』が 決して遠い存在ではなく、誰にでも関係ある身近な存在であることを伝えることです。第2回の講義で『被ばく治療83日間の記録』のビデオを見せたのも、私達が生きていくために『遺伝子』がどれだけ重要な存在であるかを示すためであり、日本の原子力行政を批判することが目的ではありません。
 『DNA鑑定』の原理を技術的に説明し、一般的な話をするだけでも良いのですが、現在進行形の具体的な実例を取り上げることで、より印象深い講義になると考えています。「足利事件」の本質が『DNA鑑定』にあると考えている訳ではなく、『DNA鑑定』の重要性と問題点を示すのに「足利事件」が適していると考えています。「たまたま警察、検察に利用されたのがDNA鑑定であっただけであって、事の本質はこの国の権力構造にあり」という意見も否定しません。 (レポート第2報に対するコメントby 荒木)
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 再度提出致しましたレポートについて、お返事頂きましてありがとうございます。しかしながら、まだ少し誤解があるように思われますので、補足したいと思います。度重なるメール申し訳ありません。
 この事件とDNA鑑定の重要性と問題点については、第一回目のレポートで「DNA鑑定の精度をどう評価するか、が問題であることはわかります。この講義の内容に関連した問題として理解しました。」と冒頭に表現しましたように、理解しています。私が第一回目のレポートで「少し疑問を感じました」と表現したのは、先生がこの事件の冤罪事件としての面を前面に出している印象を受けたからです。
 お返事頂きました先生のメールの中に
>しかしながら、この講義は『冤罪』をテーマにした訳ではありません。前回
>のメールにも書きましたが、「足利事件」を取り上げたのは『DNA鑑定』の
>重要性と問題点が分り易く示されているからです。
とありました。もし先生がそのように意図されていたのであれば、私が講義中に受けた「先生がこの事件の冤罪事件としての面を前面に出している」との印象が間違っていたことになります。
 何故、私はこのような印象を持ったのでしょうか。それは、先生が配られた講義資料にあると思うのです。先生は、以下のウェブサイトから講義資料を作成なさったと思うのですが、
[ http://www.watv.ne.jp/~askgjkn/ ]
このサイトは被告人、そしてその利益を代弁する弁護士、及びその支援者によって運営されているサイトです。必然的に冤罪事件としての面を強調したものになっています。扉ページの「足利事件の〜〜さんは無実です。」との一文をとっても、これは被告の主張であって客観的事実ではありません。 〜職場の経営者の「そういえば子供を見る目つきが怪しかった」などという、心無い言葉により、という一文がこのサイト、そして先生の配られた講義資料の中にあります。被告人からすれば確かに心ないものでしょう。しかし、幼い女の子が殺害され、その中で皆が心を痛めている。にも拘らず手がかりがなく刑事は必死で捜査している。そんな状況の中で、例えどんな些細であっても犯人逮捕につながれば、そう思ってこの経営者が刑事に情報を与えたとすれば、この経営者を「心ない」と言えるでしょうか。
 このように、被告人の主張を掲載した講義資料から、「先生がこの事件の冤罪事件としての面を前面に出している」と誤解し、それを「少し疑問を持ちました。」と第一回目のレポートで表現した次第です。
 誤解もありましたが、この講義の趣旨、理解しておりますので今後もよろしくお願いいたします。 (コメントを受けたレポート第3報)
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 確かに、「この事件の冤罪事件としての面を前面に出している」と思われても仕方ないと思います。私自身、サンデープロジェクトの特集を見た後、インターネットでいろんなサイトをチェックしながら、足利事件が冤罪であることはまず間違いないと思いました。少なくとも、裁判所がこれまで約10年間ものあいだDNA鑑定の再実施を拒んできたのは不当だと思います。従って、私がこの事件の冤罪事件としての面を前面に出しているという印象を受けられたのは決して誤解ではありません。必ずしも意図した訳ではありませんが、この事件の冤罪事件としての面を無視出来るほど私はクールではなかったということでしょう。
(レポート第3報に対するコメントby 荒木)

・DNA鑑定の技術が進むことで、より正確な判定がでるので、冤罪を防ぐために、新しい技術を積極的に取り入れて行くべきである。それなのに、最も冤罪に気をつけていかなければならない立場の裁判所や警察が、それを拒んで、冤罪の可能性を潰す方向にもっていこうとしているのはおかしいと思う。 (薬学部)

・足利事件では、DNA鑑定が重要な証拠として扱われたそうですが、当時のDNA鑑定はまだ技術があまり進んでおらず、重要な証拠として扱われていたのには疑問を感じずにはいられません。DNA鑑定の有用性が世間に大きく取り沙汰されていた時期なので、そのことを考慮できなかったのは仕方がないとは思いますが、弁護団により証拠に含まれる多数の矛盾を指摘されながらも、長年に渡って頑なに再調査を拒み協力の姿勢を示さなかった警察や、証拠としての価値を見直さなかった裁判所の姿勢には大いに問題があると思います。最近はそんな姿勢にやっと変化 が見られたようなので、早急な真実の解明を願っています。 (工学部)
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 『DNA鑑定』が重要な証拠として扱われること自体は問題無いと思います。当時の技術でも『DNA鑑定』が正しく行われ、その結果が正しく解釈されていれば問題無かったと思います。問題なのは『DNA鑑定』という技術の使い方です。
 来年5月から始まる裁判員制度に関連して、警察や検察における取り調べの録音・録画が話題になっていますが、この録音・録画という簡単な技術も使い方を間違えるととんでもないことになるのではないかと危惧しています。 (コメント by 荒木)

・授業を受けて、菅家さんは人生台なしにされて本当にかわいそうだと思いました。自分がこんなことで牢屋にずっと閉じ込められたら、たまらないなと思います。警察の捜査の仕方も卑怯だと思います。DNA鑑定が初めて取り入れられた事件だったようですが、ミスがあったことを素直に認めるべきだと思います。新しいDNA技術を用いて再鑑定する必要があると思います。菅家さんの無罪が早く実現することを願います!  (薬学部)
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 私も、菅家さんの無罪が早く実現することを願います。 (コメント by 荒木)

・警察は治安を保ち、暮らし安い世の中を作ることが目的として活動しています。警察の欠点は他者を取り締まる役割ですが、自分自身を取り締まりにくい甘さにあります。冤罪は警察の甘さが顕著に露呈されたものです。冤罪はやはり警察内部犯罪だと思います。まさしくミイラ取りがミイラになる例です。しかし非があるにもかかわらず警察は保身的に言い訳をするだけで、謝罪も罰則も甘いと思います。他人に厳しくするなら自分にも厳しくしないと社会に示しがつかないと思います。権力を乱用しやすい正義的な立場だけに人間として建設的な行動を求めます。
 DNA鑑定は日進月歩の技術で、科学的とは言っても人間が行う以上ミスもあります。曖昧な場合は何度か検証する姿勢が必要だと思うので、もう一度白黒はっきりさせる今回の再審は妥当だと思います。先送りになっていただけに早く結果が出ることを切望します。 (医学部)

・事件当時、遺伝子診断はとてつもなく画期的な方法だったと思われる。人間という存在をミクロの世界で判断することができ99%は区別できるというのだから非常に驚きである。そして、それを検察側は利用した。その利用するという行為に対しては有効ではあったかもしれない。でも、利用する素材、つまり、1つは菅家さんのDNAを無断で利用したこと。これは言語道断な行為でありとてつもないプライバシーの侵害(生命倫理に反するのでは?)だろう。2つは証拠の保存方法だが、何故証拠を常温で保存するのか?それでは正確な遺伝情報が得られないのは当たり前ではないか。そして、最後に感じたことが、本文中に記載してあった"遺伝情報を読み替えればよいとした"いう点である。これには本当にあきれてしまうことである。画期的といわれた遺伝子診断にたいしていい加減に結果を変えることはこの診断の信頼が損なわれるのではないか。この話題は本当にあったことなのかといまだに疑うぐらいである。 (薬学部)
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 私も「この話題は本当にあったことなのかといまだに疑うぐらいである」という意見に賛同します。 (コメント by 荒木)

・このような理不尽なことが行われていたことを知って、びっくりしました。「疑わしきは罰せず」なのでは?刑事や検察官はメンツのために行ったのではないか?などさまざまなことを考えさせられました。日本では、有罪率が極めて高いと聞いていたが、このような事件を知ると、冤罪はもっと多く存在するのでは?なんてことを考えてしまいます。裁判員制度が始まるのが近いですが、一般の人に公平な判断ができるかどうか不安になりました。 (薬学部)

・今日の講義で足利事件を初めて知ったが、市民を守るための警察が人権を無視し菅家さんを強引に犯人に結び付けたことは本当に恐ろしい。またこの事件の一番重要な点は人間の科学技術への信頼である。私逹人間はどんな目撃情報や口コミ情報、ともすれば本人の自白よりも科学的証拠を信頼する。科学的証拠は確かに多くの事件の解決に役立ってきている。しかしそのせいで人間が科学技術を疑う術を無くし始めていることもまた事実である。そのため、今回の事件のように科学的証拠があがったとされると人間はもうその結果を疑おうとしなくなってしまう。DNA鑑定を造り出したのが人間であれば、またその操作をするのも人間である。人間の行う事に「絶対」は無いこと、そして科学的証拠≠完全な証拠ということを私逹人間が再認識することが足利事件のような事件の再発の防止になるはずだ。また逆に警察官、法関係者は市民から信頼されるべき存在であるのだからそれを裏切るようなずさんな行いはしてはならない。警察官や法関係者を信頼できなくなったら市民は何を信頼していいかわからない。科学技術の発展を逆手にとられたこの事件から私逹が学ぶべきことは多いと思った。
 最後になったが足利事件の1日も早い解決と菅家さんの釈放を期待したい。 (薬学部)
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 良く書けていると思います。確かに科学的証拠への盲信は危険ですね。 (コメント by 荒木)

・とてもひどい事件である。警察に間違えは許されないという警察のメンツ、また間違えて捕まえた場合、拘留日数×何万円といったお金を支払わなくてはならないといったことなどにより、警察は一度犯人として捕まえた人を犯人にしたてあげようとする。警察も裁判所も国の機関であるから、もちろん裁判官は検察側の味方をする。こういったことにより、一度捕まってしまうと無実にするのは非常に難しいらしい。しかも、この事件の場合、当時では珍しいDNA鑑定を使った犯人の特定という、さらに間違いは許されない状況だった。しかし、現在ではDNA鑑定の技術も大きく進歩し、その最新の、信憑性のある鑑定がこの事件はおかしいと判断している。検察側、裁判官側はこの事実を受け入れなくてはならない。さらにDNA鑑定だけで犯人を特定するのは困難なので、きちんとした物的証拠、第三者の証言もしっかりと考慮すべきである。
 今後、DNAの技術はさらに進歩し、こういった事件などで使われることは増えてくるだろう。しかし、DNAで100%のことがわかるわけではないので、事件などでDNA鑑定を使う場合は、非常に慎重に行ってほしい。 (工学部)
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 私も「事件などでDNA鑑定を使う場合は、非常に慎重に行ってほしい」と思います。今回の講義では触れませんでしたが、北朝鮮による日本人拉致問題において、日本政府は横田めぐみさんの遺骨とされた骨は別人の骨であったと公表しています。しかしながら、科学的な立場からすると、火葬された遺骨のDNA鑑定ではめぐみさんの骨であるという結論は出なかったと言うべきであり、北朝鮮が偽の骨を渡したという証拠にはなりません。検出されたとされる別人のDNAはコンタミネーション(汚染)によるものである可能性が非常に高いと考えられます。この事件は今も日朝関係をより複雑にしており、日本政府は正確な情報を公開すべきだと思います。 (コメント by 荒木)

・私は、DNAを調べることにより犯人が特定できるというのは、すごく画期的なものであり、これからの犯罪を解決していく時に大いに活躍するものであると思う。しかし、DNAの情報はすごく膨大で繊細な個人情報だと言えるため慎重に扱われるべきである。
 今回の講義での足利事件におけるDNAの扱い方はとても杜撰なものであったと思う。もっと正確な診断が必要であり、そのうえで人々の納得いくような法律などを作らなればらないのかもしれない。また、DNAに頼りすぎるのもいけないのかもしれないと思う。 (教育学部)
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 「DNAの情報はすごく膨大で繊細な個人情報だ」という認識は重要です。 (コメント by 荒木)

・今まで、DNA鑑定は一番正確であり、犯人追跡の救世主とだけ思っていた。テレビでも、難事件を解決するときはだいたいDNA鑑定を行っていた気がする。しかし、犯人を早く捕まえないといけないというあせりの気持ちからかなりひどい事件が起こってしまった。でも、私はDNA鑑定自体は悪くないと思う。実際、DNA鑑定はもう欠かせないものとなっているだろう。DNA鑑定で数多くの事件が解決しているはずだ。なので、このことを学んで、もう二度と同じ事件が起こらないようにすることが重要だと思う。 (医学部)

・足利事件についての資料を読んで、警察に怒りを感じました。当時のDNA鑑定は信用性が低いのに、それをもとに菅家さんを逮捕するという重大なことをしてしまっています。今の技術でさらにDNA鑑定をしないことが信じられません。精液のついた衣類を常温保存しているということ自体が間違っていると思います。菅家さんが自白したのも不思議に思いましたが、それほど警察の拷問が恐ろしかったのかと考えるとさらに怒りがこみ上げてきます。冤罪であるかもしれない菅家さんの人生はこの事件によって狂わされたのです。早く真実が暴かれることを願います。 (工学部)

・私はこの足利事件を知るまでDNA鑑定は絶対に正しいものだと思っていました。DNA鑑定が正しいと思った裁判所は間違っていなかったと思いますが、事実をきちんと調べなかったり、弁護団の主張と証拠を無視したのには何か社会の陰のような部分を見たような気がします。これからは新たにこのような冤罪事件は起きてほしくないと思います。 (工学部)

・私は今回の講義でこの事件について知ったが、ほんとにひどい話だと思いました。無理矢理自白させといて何の裏付けもせず、しかもDNA鑑定も不当にした警察も考えられないが、そのDNA鑑定が間違っているかもしれないという結果があるにも関わらず上告を棄却した裁判所も問題だと思う。
 私は法律のことはわからないが、裁判所という所は真実によって人を裁くところだと思っているので、証拠の保存もそうだがちゃんとしてほしいと思いました。
 DNA鑑定は重要な証拠になるかもしれないが、それだけに頼ると菅谷さんみたいな人がまた現れるかもしれないので、やるなら慎重にするべきだと感じました。 (工学部)

・こういう事件があったなんて初めて知った。有罪判決になってしまったことに対して、さまざまな問題点や証拠があがってきているのに、それを考えることなく突っ返してしまうのはおかしいと思う。
 20年前の鑑定技術はそんなに高いものではなかっただろう。しかし、事件当時からDNAの正しい保管がされていなかったことに驚いた。まるで無理やり事件を終わらせてしまいたいかのようである。
 こういう事件はこれから先も起こりうることだと思った。まだ未熟な技術を使って犯人を特定したい場合は、この事件のことを念頭におき、検査結果だけを証拠にしてはいけないと思う。 (薬学部)

・私は足利事件について今回の講義を通して、「まるで検察側と裁判所が結託して事実を隠蔽しようとしているようだ」という感想を持ちました。私の勝手な想像ですので事実とは違うとは思いますが、これだけ弁護側がたくさんの明確な証拠を提出しているのにも関わらず、最高裁は再審の要求を受け入れず、あまつさえ証拠の保管も正しく行わない、警察は証言者に証言内容を変えるように言っている、などという事実を考えるだに、どうしてもそのような印象が拭えず、警察や裁判所に対する不審の念を抱かずにはいられません。 (工学部)

・足利事件について今回の講義を通して初めて知りました。詳しい事情はわかりませんが,配布資料を読む限り,警察は正確にDNA鑑定をしていなかったように思います。DNA鑑定のやり直しを拒んだことが認められるのもおかしいと思いました。解決策というわけではありませんが,多くの人がDNA鑑定について理解しDNA鑑定がもっと一般化することが大切だと思います。それによって,DNA鑑定が行われることが当然になり,この事件のように拒むことが認められないような状況になればいいと思います。 (薬学部)
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 私も「多くの人がDNA鑑定について理解しDNA鑑定がもっと一般化することが大切」だと思います。 (コメント by 荒木)

・足利事件の記事を読んで、日本の裁判制度に大きな疑問を抱いた。ここまでおかしな点があるにも関わらず、なぜもっと調査することもなく、あっさりと有罪と認めてしまうのか。
 確かに、不当な方法だったとはいえ、一時はDNAが一致したとみなされたので、有罪となっても仕方なかったのかもしれない。しかし、のちの鑑定では明らかに菅家さんのDNAとは違うDNAだとわかったわけだから、その時点で無罪としなければならなかったはずだ。裁判制度のことはさておき、DNA鑑定の結果がここまで大きく重要視される以上、今後、DNA鑑定はますます精密さを要されなければならないと思う。
 一刻も早く、菅家さんの無実が証明されることを祈りたい。 (教育学部)

・前回の講義でDNA鑑定が決定的証拠とされた足利事件について学んだわけだが、正直、素人目にもこれはひどいと思わざるをえない内容に衝撃をうけた。法律のことは専門外でよく分からないのだがこの国の司法制度はこれでよいのだろうか。菅谷さんは言うに及ばず、被害者の方の遺族もたまったものでは無いだろうと思う。一度は犯人が見つかったと言われたのに、実はその人は犯人でない可能性が高いという。これではたまらないだろう。一刻もはやくDNA鑑定のやりなおしが認められることを願う。技術が発達するのはいい。しかしそれを妄信してはならない。人間を疑う立場にいる人々が技術を疑わないでいるのは何とも奇妙なことだと思う。 (医学部)
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 確かに、被害者の遺族にとっても、この裁判の展開は好ましい物ではないと思います。フライデー(2000年3月24日号)には菅家さんが逮捕された後も「足利幼女連続殺害事件」が続発しているという記事もあり、近辺住民(国民)の安全についても配慮されていないと感じます。 (コメント by 荒木)

・足利事件を今回の授業で初めて知りましたが、どうして今までDNA鑑定が行われなかったのか疑問です。弁護士側の提出した容疑者の鑑定結果が出された時に、鑑定をすべきだったと思います。
 また、日本の裁判がこんなに時間のかかるものだということを改めて感じました。事件が起きて何十年も経ってるのに、まだ終わってないということに驚きました。 (薬学部)

・この足利事件を関連するサイトで調べていたら警察が証拠にも何にもならないDNA鑑定で菅家さんを犯人扱いしたのはDNA鑑定機材の各県導入による予算獲得のためだというのがありました。つまりお金稼ぎのために無実の男性が逮捕されたのです。警察は何を目的とした組織なのだろうかと心の底から思います。DNA鑑定という画期的な技術の間違った使い方により一人の男性の人生を変えてしまいました。二度とこのような事が起きてはいけません。冤罪になっても人生は元には戻る事はないと思います。 (工学部)

・足利事件というものを今回の授業で初めて知ったのですが、とてもひどい事件だと思います。彼がつかまらないとDNAによる犯罪捜査や、警察、検事などの信頼度が下がってしまうと思い、無理矢理罪を押し付けたように感じました。またDNAによる人物の確定というのも、多くの細胞がないと難しいと初めて知りました。
 DNA鑑定というのは人物特定という点において非常に有効な手段ですが、人の人生を変えてしまうことなのでミスの無いようにしなければならないと思いました。 (薬学部)

・これについて調べたとき、この事件の問題点として【菅家さん逮捕は、全国都道府県へのDNA鑑定機材導入の予算獲得の動きに合わせて行われ、DNA鑑定の宣伝に利用されたため何が何でも菅家さんは犯人でなければならなかった】というものがあった。これを見て、こういう事件やさまざまな要因があった中でDNA技術が育ってきたかと思うと複雑な気分でした。 (工学部)
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 私もこれまで何度も「MCT118法」を例にしたDNA鑑定の話をしてきたのに、こんな事件があったことを知らなかった自分を恥じています。 (コメント by 荒木)

・この事件はDNA鑑定の在り方としてでは無く,それを使う人達に問題が出た例だと思います。
 鑑定方法としては実に効果的な筈なので検察や、裁判官の人なども正しい知識を身につけた上で最大限に活用して欲しいです。 (工学部)
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 立派なレポートだと思います。 (コメント by 荒木)

・私は菅家さんが犯人ではないと思う。不条理なDNA鑑定で、「自分が犯人にならなければいい。」という考えで犯人を押し付けて、人権侵害をした警察側はとても悪い。取るに足りないほどの保存状態劣悪な資料で、アリバイもあるのに…。ちゃんとしたDNA鑑定でなく、形だけ、鑑定をして押し付けるくらいならそんな鑑定やらない方がいい。科学という名前の力をもちいて、人をねじ伏せることをしてはいけないと思った。 (教育学部)
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 私も「科学という名前の力をもちいて、人をねじ伏せることをしてはいけない」と思います。和歌山毒入りカレー事件の際にヒ素の鑑定にスプリング8が使用された時も、大丈夫かなという気が少ししました。 (コメント by 荒木)

・足利事件についてネットで少し調べてみたが、冤罪だと指摘するものがほとんどであった。真相のほどは不明だが、冤罪を否定する検察側に有力な主張がない以上、DNAの再鑑定は必要だと考える。
 事件の起こった当時、DNA鑑定は最先端の捜査方法だった。しかしこの技術はまだ確立されておらず、司法の世界で使われるには時期尚早であった。この結果から、実験段階の技術を各方面に導入する際は十分に吟味する必要があると考える。 (医学部)
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 事件当時も、DNA鑑定という技術は確立されていました。問題なのはその使い方だと思います。 (コメント by 荒木)

・自分は今まで、DNA鑑定というものは利点ばかりあると思っていました。しかし、講義の内容で、DNA鑑定を信頼しすぎる事が実際の捜査をおろそかにしてしまう事、その判断を覆せない事が恐ろしく感じられました。また、検事や弁護士がDNA鑑定についてもっと知識があれば違う結果になっていたのではないかと思います。なので、警察も裁判所も、DNA鑑定を証拠として扱うならばそれらについての知識をもっと深める必要があると思いました。 (工学部)

・足利事件を知ってDNA鑑定は正しく行わないと罪のないひとが犯人にされ、罪を犯した人が犯人ではないとされてしまう可能性があることを学びました。DNA鑑定はとても便利だけれども、使い方を間違えずに正しく行って欲しいと思いました。 (教育学部)

・足利事件で気になったのは、科学技術に対しての一般の理解の低さと裁判官の動きの鈍さでした。特に検察官側はどの様な状態からどの様な方法で、その様な結論に至ったのかを詳細に明示しなければいけない。 また、裁判官側はその方法がどの様な利点と欠点をもっているか、本当に信用できる状態で行われたのか判断するための知識を持っていなければならないと思った。 (工学部)

・判決の決定的な理由がDNA鑑定で、その鑑定がずさんに行われたのではないく証拠として十分だと裁判所が判断するのならばもう1度再検査をしても結果が変わることはないはずだからするべきだと思う。検査結果が改ざんされ、自白を強要されたのは明らかなのに犯人だと断定されるのはあってはいけないことだと思う。 (工学部)

・菅家さんが無実であることを示す新証拠が多くあるのに、検証もせず証拠品も適切に保存していない警察、裁判所側に唖然としました。もし真犯人がいたらまた新たな事件が起こる可能性があるのに、自らの立場を優先してしまう警察に少し憤りを感じました。とにかく、もう一度きちんと調査をしてほしいなと思いました。 (理学部)

・この「足利事件」では、DNA鑑定の結果ひとつで、菅家さんを犯人と決め付けた。しかし、この事件で犯人を菅家さんとするには疑問な点が多くあり、また当時のDNA鑑定の方法自体にも問題が指摘されている。それにもかかわらず、どうして裁判所は菅家さんが無罪だという声に少しも耳を傾けないのだろうか。 
 DNA鑑定が出来るようになった結果、親子鑑定など今まで不可能だったことが可能となり、大変便利になった。しかし、その反面「足利事件」のような落とし穴も生じてしまった。
 DNA鑑定は必ずしも常に万能であるとは限らない。それに、こういった殺人事件には、DNA鑑定に限らず、他にも手掛かりがあったはずだ。DNA鑑定の結果ばかりに目を奪われるのではなく、他の手掛かりや調査にも目を向けるべきではないのかと思った。 (工学部)

・今回足利事件について初めて知ったが、DNA鑑定の技術が裏目にでて、未だに解決していない事件があることに驚いた。資料を見る限りではDNA鑑定を早く導入しようとして制度の整わない内に捜査や裁判が進められていったことことが原因に思えるが、この資料は弁護側の主張が強いため何ともいえないところがある。しかし最近DNAの再検査が認められることは大変良いことだと思う。 (薬学部)

・初めて「足利事件」について知りましたが、少し警察に対しての見方が変わりました。これから裁判員制度が導入され、世論も裁判に影響してくると思います。このような事件に何か良い効果が出ることに期待したいです。 (文学部)

・ 私はDNA鑑定は絶対だと思っていました。しかし、講義の中で DNA鑑定の欠点について知り、DNA鑑定はあくまで捜査方法の一つであり、万能ではないと認識を改めました。ですが、足利事件は DNA鑑定の信頼性以前の問題だと思います。当時の警察が十分な調査を行うことなく逮捕したことは菅家さんや被害者遺族の方々にとって受け入れられないことでしょう。だから、再審請求が通り、誰もが納得できるような裁判が行われることを期待します。 (工学部)

・今も昔も警察の操作ミスとか犯人をでっち上げるとかあるのだなと思った。菅家さんはすごく怖い思いをしただろうし、この先無罪判決が下っても事件前のようには暮らせないだろうと思う。それでも一刻も早くDNAの再鑑定をしてほしい。DNAの鑑定について見てみると、型はいろいろな組み合わせでできているようなので、鑑定に時間がかかるのもわかった気がした。 (工学部)

・この足利事件で菅家利和さんは犯人と疑われて逮捕された。原因は警察の圧力が背景に見える。DNA鑑定を行った結果、犯人と菅家利和さんのDNAは一致しなかった。それに加え目撃者の人と菅家さんの発言は食い違ったもので、菅家さんの発言には矛盾が生じていることも分かった。それにも関わらず疑われたまま事件は未解決のままだ。この足利事件を知り、とても虚しい気持ちになった。 (工学部)

・DNA鑑定により証拠不十分にもかかわらず犯人にされたのはすごく残念である。当時の裁判所、検察側は、DNA鑑定にあまりにも頼りすぎていたのではないだろうか。真相は、よく分からないが無罪であるのならば早く釈放されてほしいと思う。 (工学部)

・DNA鑑定で犯人を割り出す技術はすばらしいものだと思います。しかし今回の足利事件のような、科学の進歩不足のために一人の人生を台無しにした可能性があるということはとても残念なことです。警察はDNA鑑定の導入を早まったと言うざるをえないと思います。警察には早く、今の科学技術を駆使して事件の解決に急いで欲しいです。そして容疑者が有罪でも無罪でも、警察や裁判官は容疑者に対し謝罪をすべきだと思います。 (工学部)

・DNA鑑定はすごい技術だと思います。しかしこの事件では盲目的にDNA鑑定の能力がとらえられていた気がします。DNA鑑定を普及させるために何かの事件が宣伝として利用されるのは仕方がないのかなとは思いますが、だからといって劣悪な資料から得られたものを信じ、疑うこともしないで、犯人を特定するのはおかしいと思います。本当の犯人が菅家さんなのか、別の人なのか、資料から鑑定ができなくなる前に、事件当時より向上した技術で再鑑定が行われてほしいです。 (教育学部)


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