「遺伝情報解析」テキスト

熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健
熊本市本荘2−2−1
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2007年 9月 6日


平成19年度大学院医学実験講座
「遺伝情報解析」

生命資源研究・支援センター バイオ情報分野 (遺伝子実験施設)
准教授 荒木 正健

遺伝情報を解析するには?

(1)様々なデータベースや解析ツールがオンラインで利用できます。
●核酸の塩基配列のデータベースとしては、 GenBank , EMBL , DDBJ があり、これらはお互いにデータを提供しあって、updateしているので、どれを使ってもほとんど差がありません。
●タンパク質のデータベースとしては、 PIR , swissprot などがあります。
●解析ツールには様々なものが開発されています。目的に応じて選択することで効果的な解析が可能です。

(2)熊本大学が購入している解析システムがあります。
●生命資源研究・支援センター 遺伝子実験施設では、遺伝情報処理クライアント・サーバーソフトウェア;Genetyx-SV/R(株式会社ゼネティックス)を利用しています。詳細については、ホームページ [http://gtc.egtc.jp/view/user/informatics] をご覧下さい。
●平成19年度は12ライセンス(同時使用12台まで可)購入しているのですが、この講義のために平成19年3月〜4月の2ヶ月間に限り、50ライセンス分プラスしてもらいました。62台まで同時使用可能です。総合研究棟・3階・情報実習室(医学部PC室)に設置してあるパソコン(106台)にクライアントソフトをインストールしています。3月〜4月の2ヶ月間に限り、情報実習室のパソコンでGenetyx-SV/Rを無料で使用できます。
●平成19年度のGenetyx-SV/R利用登録者は15講座(約100台)ですが、まだ利用されていない講座はこの機会に御検討下さい。なお、遺伝子実験施設内のパソコンをクライアントマシンとして利用する場合は、1年中無料です。

Genetyx-SV/Rの使い方

●必要な情報
   Host: 133.95.94.25   ← サーバーマシンのIPアドレス
   User Name: genetyx   ← 遺伝子実験施設内で使用する場合のUser Name
   Password: genetyx1   ← 遺伝子実験施設内で使用する場合のPassword

*各研究室のクライアントマシンで使用する場合には、研究室単位でUser NameとPasswordを発行します。これは万一トラブルが起きた場合に、使用中の研究室がどこかを同定するためです。
*サーバーマシンにアクセスするためには、事前にクライアントマシンのIPアドレスを登録する必要があります。

実習  〜実際に遺伝情報解析を行ってみましょう〜

●遺伝子トラップ(Gene Trap)
 薬剤耐性遺伝子を含むトラップベクターをES細胞のゲノム内にランダムに挿入し、そこにあった遺伝子を破壊する方法が遺伝子トラップ法です。ベクター配列をタグとして用いることでトラップした遺伝子の同定を比較的簡単に行うことができます。また、ベクターが挿入されたES細胞からキメラマウスを作製することにより、トラップした遺伝子の個体レベルでの機能解析を行うことが可能です。

●塩基配列の保存(Genetyx-SV/R)
 Genetyx-SV/Rを立ち上げ、File→New Sequenceを選んで下さい。保存したい遺伝子の配列及び関連情報をコピー&ペーストで入力して下さい。Save Asで名前を付けて保存して下さい。

●ホモロジー検索(Genetyx-SV/R)
 ある遺伝子と別の遺伝子がどの程度似ているか調べる際には、1st sequenceを選択した状態で、Nucleotide→Search Homologyを選んで下さい。2nd sequenceを選択し、Done→OKを押して下さい。

●相補鎖の作成・編集・別名で保存(Genetyx-SV/R)

●BLAST Search(GenomeNet → BLAST)
[http://www.genome.jp/]
 トラップした遺伝子が何であるかを調べるために、BLAST Searchを行います。

●BLAT Search(UCSC Genome Bioinformatics → BLAT)
[http://genome.ucsc.edu/]
 トラップした遺伝子がゲノム上のどこに存在するか調べるために、BLAT Searchを行います。

●NCBI Entrez Gene(NCBI → All Database → Gene)
[http://www.ncbi.nlm.nih.gov/]

●MGI (Mouse Genome Informatics)
[http://www.informatics.jax.org/]

参考文献
1.「使ってみよう!バイオデータベース」(監修 荒木正健、山崎由紀子).細胞工学、2005年11月号から2006年10月まで12回に渡って連載。

2.「使ってみよう!バイオデータベース」連載第8回『IGTC』荒木正健、荒木喜美。細胞工学Vol.25, No.6, 664-671 (2006).


MASA Home Page
遺伝子実験施設ホームページ

熊本大学 生命資源研究・支援センター 遺伝子実験施設,
E-mail: www@gtc.gtca.kumamoto-u.ac.jp