GTC On Line News No.489

2004年 3月10日


=== 遺伝子組換え生物等規制法について・Part5 ===
    〜〜〜 拡散防止措置の具体例 〜〜〜
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 機関実験において執るべき拡散防止措置に関して、Part3でおおまかな考え方を箇条書きにしました。今回は、具体的な例をいくつか挙げながら補足説明することにします。

1)原則として、宿主の実験分類と核酸供与体の実験分類の高い方に従って定める。

(例1)
宿  主;分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)[クラス1、B1認定系]
ベクター;宿主由来プラスミド
供与核酸;異種酵母[クラス2]の酵素遺伝子
   → P2レベル

(例2)
宿  主;Rhizobium(Agrobacterium)[クラス1、B1認定系]
ベクター;宿主由来Tiプラスミド
供与核酸;植物ウイルス[クラス1]の外被蛋白質遺伝子
   → P1レベル

(例3)
上記組換えリゾビウムをシロイヌナズナの培養細胞に接種して作製した組換えシロイヌナズナの個体
   → P1Pレベル

2)特定認定宿主ベクター系(B2)を用いた組換え微生物等の使用等は、1段階レベルダウンできる。

(例4)
宿  主;E.coli K12株(DP50supF株)[クラス1、B2認定系]
ベクター;シャロン系ファージ
供与核酸;細菌[クラス2]のcDNAライブラリー
   → P1レベル

3)核酸供与体の実験分類が宿主の実験分類よりも高い組換え微生物等であって、供与核酸が同定済核酸であり、かつ、哺乳動物等に対する病原性等に関係しないことが科学的知見に照らし推定される場合は、宿主の実験分類に従って定めることが出来 る。

(例5)
宿  主;欠損型マウス白血病ウイルス[クラス2]
供与核酸;HIV[クラス3]の病原性等に関係しない遺伝子
(感染細胞 AmpliGPE培養細胞(パッケージング細胞)
   → P2レベル

(例6)
上記組換えウイルスをマウス個体に接種
   → P2Aレベル

4)組換え動植物の実験(動物作成実験、植物作成実験)の場合、原則として、宿主の実験分類に従って定める。

(例7)
宿  主;マウス[クラス1]の胚及び個体(胚をマウスの仮腹に入れて作成)
ベクター;(使用しない)
供与核酸;マウス白血病ウイルス[クラス2]の病原性等に関係しない遺伝子
   → P1Aレベル

5)供与核酸が同定済核酸であり、病原性等に関係しない等の要件を満たす組換え動植物の使用等は、特定飼育区画・特定網室の拡散防止措置を執ることが出来る。
<具体的な要件>
・供与核酸が同定済核酸である
・供与核酸が病原性や伝達性に関与しない
・供与核酸が宿主の染色体に組み込まれている
・供与核酸が転移因子を含まない
・組換え動物の逃亡に関係する運動能力(跳躍力等)又は組換え植物の花粉等の飛散性が非組換え体と比較して増大していない
・組換え微生物等(形質転換に用いたウイルスや細菌など)を保有していない

<具体例>
 ある植物の脂肪酸合成に関わる遺伝子(同定済核酸)を脂肪組織特異的に発現するプロモーターにつなぎ、ブタの卵子に導入する。これによって作製した組換え動物について、導入遺伝子が動物ゲノム中に安定して保持されていることを確認した上で特定飼育区画で飼育管理する実験。