第3回 KBRP ワークショップ

「PPRモチーフを利用したDNA/RNA操作技術の開発」 

  九州大学 大学院農学研究科植物分子機能学 准教授 中村 崇裕 

 様々な生物のゲノム配列情報が明らかになり、数十億塩基対から構成されるゲノム中の目的の1つの遺伝子、もしくはゲノムから転写される目的の1つのRNAを特異的に操作・改変する技術が求められている。最近、設計可能な人工ヌクレアーゼなどを用いた革新的なDNA操作技術であるゲノム編集が確立し、その利用が大きく期待されているが、その基本技術は全て海外で特許化されており、産業利用を視野に入れた独自の国産技術の確立が望まれる。一方、生物の複雑さや種の独自性に、多様な選択的スプライシングや非常に多くの蛋白質非コードRNAが大きく関わることが示唆されているが、ゲノム編集と対となるような汎用的なRNA操作技術は確立されていない。

 我々は植物に多く含まれるPPRタンパク質を材料に、DNAおよびRNAそれぞれの操作技術の開発を行っている。PPRタンパク質は、35アミノ酸からなるPPRモチーフの連続で構成され、配列特異的なRNAまたはDNA結合蛋白質として働く。我々は、PPRタンパク質のDNA/RNA認識コードを解明し、特定の配列に結合する人工のDNA結合タンパク質およびRNA結合タンパク質、それぞれを設計するための基礎知的基盤を確立し、実用化に向けた研究開発を行っているところである。本ワークショップでは、既存のゲノム編集技術、およびPPRタンパク質を利用したRNA/DNA操作技術の開発の現状と可能性について紹介します。