第13回生命資源研究・支援センターシンポジウム

『extendedシナプトタグミンによる小胞体と細胞膜のクロストーク』 

  Nanyang Assistant Professor, Lee Kong Chian School of Medicine, Nanyang Technological University, Singapore 佐伯恭範

 生体膜は、脂質二重膜を基本とし、その脂質組成によって、内因性膜タンパク質の機能や、細胞内膜輸送系の調節、そして細胞内タンパク質との相互作用など、多くの生理機能を制御している。真核生物においては、これら膜脂質の大部分は、細胞内の小胞体によって生合成され、他の細胞内オルガネラや細胞膜へと輸送されている。小胞体は、他にも、タンパク質生合成、Ca2+の貯蔵など、多様な機能を有し、小胞輸送系によって、分泌系およびエンドサイトーシスに関わる全ての生体膜と機能的に連携している。しかしながら、小胞体と膜融合が起きるのは、小胞体膜同士あるいは、逆輸送に関わるゴルジ器由来の小胞とのみである。膜融合を介さないシステムとして、小胞体は、細胞膜を含め、ほぼ全ての細胞内オルガネラと、恒常的に膜接着部位を形成していることが知られている。これら膜接着部位は、古典的な小胞輸送を介さない、細胞内オルガネラ同士のコミュニケーションの場であり、古くからその存在は知られているが、その機能に関しては未知な点が多い。後生動物においては主にCa2+調節機構に関する機能が知られているが、近年の研究により、これら膜接着部位が、細胞内シグナル調節や、脂質の輸送・交換など細胞生理に重要な役割を果たしていることが分かってきている。本セミナーにおいては、小胞体-細胞膜接着部位に注目し、小胞体局在タンパク質であるextendedシナプトタグミンの細胞膜脂質調整機構に関する知見を、ゲノム編集法の利用を交えて紹介する。