第13回生命資源研究・支援センターシンポジウム

「国際宇宙ステーション(ISS)・「きぼう」日本実験棟におけるマウス実験」 

  筑波大学 生命科学動物資源センター 教授 高橋 智

 私達は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、大阪大学、東京大学、東京医科歯科大学、岐阜大学、産業技術総合研究所と共同で、国際宇宙ステーション・「きぼう」日本実験棟において、宇宙でのマウス飼育実験を行いました。「きぼう」には、世界でも日本だけが有する遠心機能付き生物実験装置があり、その装置を用いて35日間のマウス長期飼育を達成しました。この長期飼育は、軌道上での人工重力環境(1G)と微小重力環境(0G)の同時飼育を行ったもので、純粋に重力影響を比較できる世界初の宇宙実験となります。今回の長期飼育された12匹の雄マウスは、平成28年7月19日(日本時間)に米国フロリダ州より打ち上げられ、8月27日米国カリフォルニア州に 全数健康な状態で地球に帰還しました。その後、筑波大学、大阪大学の連携により、宇宙マウス(宇宙の0Gと1Gの環境で飼育して帰還したそれぞれのマウスを親とした次世代(F1)が9月28日に誕生しました。F1マウスの誕生に加え、宇宙滞在した親マウスの身体の変化の一次評価を終了しています。脚の筋肉の減弱や身体の脂肪の蓄積、肝臓組織の変化など、高齢者の身体の機能低下(特にサルコペニア)に似た兆候が、0G飼育マウスで観察されています。講演では、今回の実験の概要について説明したいと思います。