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202108Masuda

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研究発表を行った学会;日本ゲノム編集学会第6回大会
2021年 6月 16-18日 (オンライン)
タイトル;潜性(劣性)遺伝形式を示す自然発生多血症モデルマウス『pocy』の解析
発表者;増田 好美氏
(熊本大学 生命資源研究・支援センター ゲノム機能分野)
要旨;

我々は『可変型遺伝子トラップ法』を開発し、データベース『EGTC』を全世界に公開している。EGTCクローンの中のAyu21-W267というトラップマウスの解析中に、トラップベクターの有無に関係なく、脚や耳の中が赤いマウスが出現した。血液検査の結果、このマウスは血中の赤血球が異常に増加する多血症を発症していることがわかった。我々はこの自然発生突然変異マウスをpocy (Familial polycythemia)と名付けた。家族性多血症は多くが顕性遺伝であるが、pocyにおける多血症は潜性遺伝形式を示し、これまで知られていなかった新たな多血症である可能性がある。本研究の目的は、pocyの表現型を詳細に解析し、またpocyの責任遺伝子を同定し、新たな多血症の原因を解明することである。

次世代シークエンサーを用いたエクソーム解析でpocy特異的な変異を持つ遺伝子を18個検出した。また、pocyをC57BL/6Nと交配し、ヘテロ接合体の状態にした後、改めてホモ接合体を作製して、候補遺伝子の絞り込みを行った。さらにAyu21-W267 ES細胞及びその親株であるKTPU8 ES細胞のDNAを解析することで候補遺伝子を2つに絞り込み、文献情報も含めて遺伝子Xが多血症の原因であると推定した。そこで、この遺伝子Xのpoint mutationを再現したマウスをCRISPR/Cas9システムを用いて作製した。PAM配列中にmutationを含むガイドRNAを設計し、Cas9タンパク質及び目的のmutationを含んだssODNと共にC57BL/6Nの受精卵にエレクトロポレーション法を用いて導入した。得られた産仔に対してダイレクトシークエンス解析を行った結果、目的のmutation alleleを持ったマウスと、point mutation周辺11 bpの欠落によって終止コドンが入ったマウスも得られたため、2系統のマウスラインを樹立した。これらのマウスとpocyに対して表現型解析を行った。

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