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202203Fujii

研究発表を行った学会;先端モデル動物支援プラットフォーム 2021年度成果発表会
2022年2月2日 (琵琶湖ホテル/Web配信ハイブリッド開催)
タイトル; LINE-1転移モニターマウスを利用した神経系における新規転移解析.
発表者;藤飯 愼也氏
(熊本大学 大学院生命科学研究部 分子脳科学講座)
要旨;
LINE-1 (long interspersed nuclear element-1, L1)は、哺乳類ゲノムの約20%を占める主要なレトロトランスポゾンである。ゲノム中に大量に存在するコピーの一部は現在でも転移活性を保持し、ホストゲノム内で増幅を続けている。L1は、ヒトゲノムでは唯一、転移に必要なタンパク群を自らコードし、自律的に転移できるトランスポゾンである。L1の活性は通常、ホストの防衛機構により厳格に抑制されているが、神経発生期の神経前駆細胞での転移活性化や、老化に伴うL1の発現増大が報告されている。また、我々はこれまでに、統合失調症患者死後脳および、統合失調症動物モデルにおいて、L1コピー数が脳神経系において増加することを示した(Bundo et al., Neuron 2014)。
精神疾患における脳内転移の役割をさらに詳細に調べるため我々は、転移経験細胞がEGFPの発現によりモニターできるL1EGFPマウスを作製した。以前の系統(Muotri et al., Nature 2010)で問題となった、世代交代に伴う不可逆的サイレンシングを避けるため、本研究では、L1EGFP遺伝子をROSA26領域に導入した。その結果、現在までに得られている第3世代においても、L1EGFP配列の不可逆的サイレンシングは起きていない。さらに、現在、ヒトL1のサイレンシングに重要とされるYY1結合配列を欠く新系統、trL1EGFPも作製中である。もう一つの改良点として、EGFP発現の駆動にEF1αプロ―モータを用いることでEGFP発現の安定化を試みた。その結果、以前の系統での報告と異なり、神経細胞だけでなく、アストロサイトやミクログリアなどの非神経細胞でもEGFP陽性細胞が確認され、L1転移がより広範な脳細胞に影響を及ぼすことが示唆された。新たに作製したL1転移モニターマウスは、脳神経系におけるL1転移の役割を解析するのに有用であると考えられる。

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