1.趣旨;
平成14年3月に文部科学省の「組換えDNA実験指針」が改正され、中学・ 高等学校においても「教育目的組換えDNA実験」が可能になった。指針では、 組換えDNA実験を実施した経験を有する者が実験指導者となることを求めてい た。そこで熊本大学では、文部科学省「地域貢献特別支援事業」の一環とし て、平成14年度から熊本県内の中学・高等学校の現職理科教員を対象とした トレーニングコースを開催してきた。
平成15年6月に『遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性 の確保に関する法律』(規制法)が公布され、平成16年2月19日付けで施 行された。これに伴って「組換えDNA実験指針」は廃止された。規制法では、 「教育目的組換えDNA実験」に対応する特別な規定は置かれていない。しかし ながら、P1レベルの拡散防止措置を執れば、中学・高等学校の理科教室で 「特に安全性の高い実験」を行うことが可能である。その際、取扱経験者の配 置や取扱者の教育訓練に努めることが必要である。
従って熊本大学では、規制法施行後も前記トレーニングコースを継続するこ とにした。教育の現場に新しい教材として組換えDNA実験を取り入れること で、遺伝子組換えに関する知識の一般社会への普及に役立たせる機会とする。
2.参加対象;熊本県内の中学・高等学校現職理科教員及びその関係者
3.募集人員;20名
4.実施期日;平成17年8月10日(水)〜平成17年8月12日(金)
5.実施場所;熊本大学 生命資源研究・支援センター 遺伝子実験施設
6階 講義室(602)およびセミナー室(601)
6.受講料;無料
7.講義内容;
中学・高等学校における遺伝子教育や規制法に関する講義、及びプラスミド による大腸菌の形質転換などの実習を行うと同時に、生命倫理を含めた生命科 学の最先端の話題を提供する。
8.日程表;
=== 8月10日(水) ===
10:00〜10:15 受付
10:15〜10:30 開講式及びオリエンテーション
10:30〜11:00 参加者の自己紹介
休 憩(10分)
11:10〜12:00(研修1)講義「くらしの中のDNA」[要 匡]
昼 食(60分)
13:00〜13:50(研修2)講義「LMO (Living Modified Organism)の ABC」[荒木 正健]
休 憩(10分)
14:00〜14:50(研修3)講義「教育現場への遺伝子実験導入について」[崎村 奈央]
休 憩(10分)
15:00〜15:50(研修4)講義と実習「DNAのエタノール沈殿」(*)
休 憩(10分)
16:00〜17:00(研修5)講義と実習「大腸菌の形質転換」(*)
17:00〜18:00 フリートークタイム
=== 8月11日(木) ===
9:30〜10:15(研修6)講義と実習「大腸菌のコロニー観察」(*)
休 憩(10分)
10:25〜11:15(研修7)講義「ミトコンドリアゲノムの不思議」[森 正敬]
休 憩(10分)
11:25〜12:15(研修8)講義「遺伝子導入が上手なウイルスの話」[原田 信志]
昼 食(60分)
13:15〜14:05(研修9)講義「遺伝子操作マウスのつくり方」[荒木 喜美]
休 憩(10分)
14:15〜15:05(研修10)講義「実験動物と動物実験」[浦野 徹]
休 憩(10分)
15:15〜17:00(研修11)講義と実習「PCR (Polymerase Chain Reaction)」(*)
17:00〜18:00 フリートークタイム
=== 8月12日(金) ===
9:30〜10:50(研修12)講義と実習「PCR産物の電気泳動」(*)
休 憩(10分)
11:00〜12:00(研修13)講義と実習「泳動結果の写真撮影」(*)
昼 食(60分)
13:00〜13:30(研修14)実習のまとめ(*)
休 憩(5分)
13:35〜15:25(研修15)グループ討論「先端生命科学の教育現場への導入
−その光と影−」 [佐谷 秀行]
休 憩(5分)
15:30〜16:00(研修16)総合討論と質疑応答[佐谷 秀行]
16:00〜16:15 閉講式(修了証書授与および写真撮影)
16:15〜16:30 施設見学(希望者)
(*)実習担当者;荒木 正健、湊 理恵、慶田 貴子、飯盛 美穂子、伊藤 美陽、
荒木 喜美、三池 浩一郎、要 匡、崎村 奈央
研修会の様子
地域貢献事業一覧
熊本大学 生命資源研究・支援センター 遺伝子実験施設
E-mail:
www@gtc.gtca.kumamoto-u.ac.jp