<第16回 遺伝子技術講習会>
主催:遺伝子実験施設
『ゲノム科学による複雑なシステムの解析
--- 小脳皮質構築過程の発現プロフィール ---』
日 時;平成12年 6月16日(金)16:00〜17:30
場 所;遺伝子実験施設・6階・講義室(602)
講 師;加藤 菊也 博士
奈良先端科学技術大学院大学
大正製薬ゲノム機能解析講座 助教授
講演要旨;
少なくともこれからの10年間は、ゲノム科学を無視した生命
研究はあり得ない。特に、発現プロフィール、多数の遺伝子の発
現状態を記載するアプローチは、これまでの個々の遺伝子を解析
していくアプローチと全く異なるヴィジョンを呈示する点、特に
重要である。
発現プロフィール解析技術としては、マイクロアレイが衆目を
集めているが、我々はマイクロアレイに匹敵する能力を持つ
アダプター付加競合PCR法(Adaptor-tagged competitive
PCR, ATAC-PCR)という技術を開発した。この技術を用いて、
マウス小脳皮質の構築過程の遺伝子発現の動態を1869個につ
いて解析した。その結果、細胞増殖に関係したものは発生の初期
に発現量の多いものに多く、神経細胞の機能に直接関わるものは
分化した時期に高発現することがわかった。これは、それぞれの
ステージの小脳皮質の状況に見事に一致する。
本セミナーでは我々の研究を紹介しながら、発現プロフィール
の実験技術とデータ解析技術について概説するとともに、ゲノム
科学が生命科学と医学全般に与える影響について論じる。
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熊本大学・遺伝子実験施設, E-mail:WWW@gtc.gtca.kumamoto-u.ac.jp