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<倫理的な問題>

 ヒトES細胞が胚盤胞というヒト胚からできることは、様々な問題を生み出すが、その中でも激しい論争の的となるのが倫理的問題である。ヒト胚を生命とするかどうか意見は様々であると思うが、ヒト胚をそのまま子宮内で発生させればヒト個体になるのは明白な事実である。2001年9月に文部科学省が策定した「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針」の中では、ヒト胚は"生命の萌芽"という表現をしてある。また、不妊治療で使用されなかった残余胚からの作製に限ると規定されている。ES細胞を作成し体内に移植する臨床応用も進められているが、このような研究が細胞、組織、…ゲノムへと、より肉体の内部へと入っていくにつれて安全性と人権の擁護の2本柱による規制体制は機能しなくなってきている。幹細胞を利用する場合の承諾問題、所有関係、安全性はどうなるのか。このような新しい知識を、どこまで利用してよいのか。このような文明論的な問に答える準備もないまま、私たちは再生医療技術を進展させていくのだろうか?この問題は医療従事者や研究者だけで考える問題ではなく、私達みんなで考えるべき問題である。みなさんはどう思いますか?