******** GTC On Line News No.510*******
2004年 4月27日
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 大学院医学薬学研究部 代謝内科学分野から、下記セミナーの案内が ありましたのでお知らせします。
 なお、このようにGTC以外が主催するセミナーの案内に関しても、 施設利用者に有用と考えられる情報をこのメーリングリストに載せることは 問題ありません。何かありましたら、GTCスタッフまで御連絡下さい。

========== 代謝内科学セミナーのご案内 ==========

演 者:Barry J. Goldstein, MD, PhD
  Director of the Division of Endocrinology,
   Diabetes and Metabolic Diseases at
   Thomas Jefferson University Hospital.
  Professor of Medicine, Biochemistry and
   Molecular Pharmacology at Jefferson
   Medical College of Thomas Jefferson University
演 題:インスリンによるH2O2産生とインスリンシグナル伝達におけるNADPH oxidaseホモログ NOX4の役割
      〜Protein-Tyrosine Phosphatase (PTPase)の酸化的抑制を介した制御機構〜

日 時:2004年5月11日(火)、17:30〜18:30

場 所:基礎研究棟1階 基礎セミナー室

 Goldstein先生はインスリンシグナル伝達系の作用機序とその制御、 特に肥満や2型糖尿病に代表されるインスリン抵抗性に基づく疾患の病 態生理の研究を行われています。今回の講演では、最近の御研究から 下記の内容について御講演されます。

          [講 演 要 旨]

 インスリン感受性細胞をインスリンで刺激するとH2O2産生がおこる. この産生されたH2O2は,インスリンによるインスリン受容体やその基質 IRS蛋白のチロシンリン酸化を増強している。これまでにインスリン受容 体と活性酸素種産生装置とをリンクする分子機構は明らかではなかった。
 インスリン感受性細胞である脂肪細胞には食細胞型NADPH oxidaseの 触媒サブユニットgp91phoxホモログであるNOX4が主に発現しているが、 このNOX4の機能を抑制するために変異NOX4 やNOX4特異的siRNAを脂肪 細胞に導入すると、インスリンによるH2O2産生、インスリン受容体と IRS-1のチロシンリン酸化、糖取り込みが抑制され、インスリンシグナル を抑制することが明らかとなった。逆にNOX4の過剰発現は、インスリン 受容体のチロシンリン酸化の抑制を行う、PTP1Bの活性を抑制した。
 これらのデータは、活性酸素種産生がPTPasesを抑制しインスリンシグ ナルを増強すること、インスリンによる活性酸素種産生をNOX4が担ってい ることを示している。

参考文献:
 ・J Biol Chem. 276(24):21938-42, 2001.
 ・J Biol Chem. 276(52):48662-9, 2001.
 ・Mol Cell Biol. 24(5):1844-54, 2004.

多数の御来聴を歓迎します。
連絡先:医学薬学研究部代謝内科学 荒木 栄一(内線5169)



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熊本大学・遺伝子実験施設; E-mail:www@gtc.gtca.kumamoto-u.ac.jp