******** GTC On Line News No.516*******
2004年 5月 11日
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 発生医学センター 器官制御分野から、下記セミナーの案内がありましたので お知らせします。
 なお、このようにGTC以外が主催するセミナーの案内に関しても、 施設利用者に有用と考えられる情報をこのメーリングリストに載せることは 問題ありません。何かありましたら、GTCスタッフまで御連絡下さい。

========== 器官制御分野招聘セミナーのご案内 ==========

 下記日程で、発生医学研究センター器官制御分野招聘セミナーを開催します。核外 輸送阻害剤LMBやヒストン脱アセチル化酵素阻害剤TSAの発見で有名な理化学研究所 の吉田稔先生に講演をお願いしております。先生が発見されたヒストンアセチル化酵 素阻害剤は,がんの治療薬のみならず、細胞の分化誘導剤としても注目されています。 本セミナーは第60回COEリエゾンラボ研究会も兼ねていますが、メンバー以外の方の 参加も歓迎します。

日 時:5月12日(水)12:00〜
場 所:遺伝子実験施設・6階・講義室
演 題:がん分子標的治療のための化学遺伝学
演 者:吉田 稔 (よしだ みのる)
    独立行政法人理化学研究所・吉田化学遺伝学研究室 主任研究員
   (東京大学大学院農学生命科学研究科 客員教授)

要旨:生物学を化学の切り口からアプローチする化学遺伝学は、古典遺伝学における 変異を特異的な低分子化合物に置き換えて、化合物の標的分子を決定することを出発 点とする生物学である。学問と技術の進展に伴い、低分子リガンドの受容体が分子レ ベルで解明される時代にはいると、医薬品の効果が分子レベルで解明されると同時に、 変異を出発点とする従来の遺伝学では解明しきれなかった複雑でリダンダントなシス テムが、化学遺伝学によって明らかになることがわかり、化学遺伝学は古典遺伝学に 代わる新たな遺伝学的ツールとして、あるいは基礎生物学的ゴールへ向かうための新 たな武器として重要な戦略であると理解されるようになってきた。我々は微生物が生 産する多様な二次代謝産物の中から特異な活性と構造を有するものを選び出し、化学 遺伝学を駆使して新しい創薬標的の解明とその応用を目指した研究を行っている。そ の成果として、クロマチンの構造と機能を制御するヒストンデアセチラーゼ、タンパ ク質の核外輸送を担うCRM1等の機能を解明し、新たな創薬標的として提唱してきた。 本セミナーでは、新規の抗がん剤として期待されるFK228やFR901464の標的分子の 同定と今後の展望について論じたい。



<GTC On Line News>

<GTC On Line News-501-550>


熊本大学・遺伝子実験施設; E-mail:www@gtc.gtca.kumamoto-u.ac.jp