遺伝子実験施設セミナー

熊本大学
生命資源研究・支援センター
遺伝子実験施設
熊本市本荘2ー2ー1
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2004年 1月 7日更新


第6回免疫学セミナー & 第8回遺伝子実験施設セミナー

日時;平成16年 2月27日(金)
   16:00〜18:00

場所;熊本大学 生命資源研究・支援センター 遺伝子実験施設 6階 講義室(601)

テーマ;『遺伝子多様性の分子機構』

講師および講演内容;

『マウス嗅覚受容体遺伝子の単一発現機構』
  東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻
         教授  坂野 仁

 マウスの嗅覚系では、それぞれの嗅神経細胞(olfactory sensory neuron: OSN)が、対立遺伝子が互いに排除しあう形で、一種類の嗅覚受容体(olfactory receptor: OR)遺伝子を相互排他的に発現している。このようなOR 遺伝子の発現様式が遺伝学的基盤となって、発生過程ではORに指令される様にOSNから嗅球への軸策投射が生じている。今回我々は、OR遺伝子クラスターの上流に、そのクラスターを活性化し、クラスター内でただ1つのOR遺伝子を発現させる制御領域をマウスにおいて同定した。我々はまた、発現しているOR遺伝子の翻訳領域を欠失させる、あるいは自然に生じたフレームシフト変異を持つOR遺伝子を用いると、これら遺伝子が活性化された後でも、別のOR遺伝子が発現しうる事を見出した。これらの結果により、クラスター内でただ1つのOR遺伝子がランダムに選ばれる活性化メカニズムと、その翻訳産物を介した負のフィードバック調節により、受容体と嗅神経細胞の1対1の対応が確保されていると考えられる。

『免疫記憶B細胞の産生と維持に関わる分子機構』
  国立感染症研究所免疫部
         部長 竹森 利忠

 記憶B細胞は他の成熟段階にあるB細胞と異なった形質を有し長期の寿命を持って維持され、微量な二次刺激により迅速に抗体産生細胞へ分化する事が知られているがその機構は不明である。我々は記憶B細胞で発現増強する遺伝子をスクリーニングし、その結果細胞生存に関わると考えられる遺伝子を同定した。各遺伝子の機能と記憶B細胞生存維持に関わる役割に付いて討議したい。


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