2003年度 レポート第7回 回答集
熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2004年 5月 5日作成
2003年度 生命科学G レポ−ト第7回(2003年11月26日実施)回答集
[ テーマ ]個人識別の重要性について
[ 回答 ](全11人)
・「個人識別の重要性について」ですが一般生活の上では自分に関係ない、というより縁遠い話なのであまりピンと来ません。必要のある人もいるとは思うのですが。しかし事件の解明の確かな手助けとなっている事はニュースなどの様々なメディアから見ても明らかです。こういった分野で用いられているのは素晴らしいことだと思います。全ての国民のDNAを採取すれば事件解決に大きな貢献となる、という話が出ましたがそうなった場合、国民全員がすんなりと承諾するでしょうか? また、そういった場合は政府が何らかの機関を設けるのでしょうか。遺伝子上での個人識別、に見合った質問かは疑問ですが一卵性の双子に於いては何らかの差異がDNA上に見られるのでしょうか? (教育学部)
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一卵性の双子については、基本的に全ての遺伝子が一致します。識別するのはほぼ不可能でしょ う。また、全国民のDNAを採取するという場合に、その目的によって担当する政府機関が変わっ てくると思います。治安維持、健康管理、オーダーメイド医療の研究開発など、様々な利用方法 が考えられますので、やはり既存の組織から独立した専門機関を作るべきだと思います。(コメ ント by ARAKI)
・DNA鑑定といえば、個人識別の究極だという印象をもつ人が多いはずです。ただ、それを神聖視、絶対視するのは問題があるという意見も見られます。たしかに100%絶対だといえないものを絶対視してはいけないという意見はわかるのですが、DNA鑑定が他の鑑定法に比べて、はるかに高い確率の正確性とたしかな実績をあげているのは事実です。実績のあるものを相応に認めることは重要なことだと思います。もっとも、DNA鑑定が導入された初期はともかく、現在DNA鑑定に反対する人はそうは多くはないといいますが。 DNA鑑定は、個人的な問題の際に親子鑑定などで役立つことは勿論ですが、やはり刑事事件での活躍に注目したいと思います。刑事事件で問題になるのは証拠ですが、僅かなサンプルでも鑑定が可能なDNA鑑定はたとえば血液型鑑定、DNA鑑定は血液型鑑定の延長線上でありDNA型鑑定とも呼ばれているそうなのですが、それらの方法に比べはるかに有用性のある鑑定といえます。また、刑事事件において必ず避けなければならない事態のひとつが冤罪であり、私自身もいくつかの冤罪事件の判例を見てきましたが、冤罪は真犯人を逃し被害者を増やすだけであり、冤罪の被害者には深い傷跡が残されるだけです。それを避けるために、DNA鑑定は多いに役立っており、大いに評価できるところだと思います。
勿論、DNA鑑定それ自体は確固たる正確性をもっており有用な証拠能力をもつとは思うのですが、あくまでそれを扱うのは人間であるため、些細なミスや情報の漏洩などには常に細心の注意を払っていて欲しいものです。真実を見出すものなのだから当然なのですが、DNA鑑定に最も求められるものはやはり「信頼性」だと思います。DNA鑑定が非常に便利なものであり、多くの情報を得られるものでもある優れた技術であるがために、人間がそれを間違った使い方をして問題が生じると、信頼性を大きく欠いてしまいます。
遺伝子・DNAを有効利用した技術は様々ですが、常に反対意見もつきまっているように思います。そのなかでDNA鑑定は、最も認められ求められている技術のひとつではないでしょうか。それゆえにも、DNA鑑定にはその信頼を保ち続けていて欲しいものです。 (法学部)
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DNA鑑定に最も求められるものは「信頼性」だという意見に賛成です。検査する機関の信頼 性も重要だと思いますが、サンプルの信頼性はもっと重要です。(コメント by ARAKI)
・個人識別の技術がめざましい発展を遂げることで、まず犯罪捜査の面で犯人の特定が簡単になる。また、事故で身元不明になってしまった遺体が誰であるのか特定できるようになる。現時点ではこういう利点がまず思い浮かんでくるが、応用範囲を広げようと思えばハンコがいらなくなったり、ATMもカード無しで使えるようになるかも知れない。偽造DNAも出てくるかも知れない。想像するだけで、ため息が出るほど影響力が強い。 (文学部)
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ATMのカードに替わるほど速く結果が出るようになるためには、もうしばらく時間が必要で しょう。(コメント by ARAKI)
・個人識別は親と別れてしまった子供や、また警察捜査のために重要だろう。しかし個人のDNA情報というものは究極の「個人情報」であるので必ず悪用する者が現れるし、悪用されたら大変危険だろう。 (医学部)
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個人のDNA情報の管理については、細心の注意が必要です。(コメント by ARAKI)
・将来自分と子供の関係をはっきりさせるのにとても役立つので重要だと思います。 (法学部)
・個人識別の重要性について思うことは犯罪捜査や親子識別に役立つということぐらいです。しかし、授業のプリントにあるように昔の血から重要な裏付けが得られるといったこともあるだろうし、他にも多くの分野で活躍するものなのかもしれません。(医学部)
・個人識別を行うことは親子であることの証明という点では大変有効であり、例えば一時期起こっていた新生児の取違えなどを防ぐといった点においては大変有益なものだと思う。しかし、実際には親子判定をすることで、不幸になることも多々あるだろう。そういったことを考えると必ずしも必要ではないかもしれないと思う。場合によってはその情報が悪用されることだってありうるからだ。個人の識別に関しては、それを認める判断基準が難しい。ただ必要な人もいるのだから慎重に研究を進めて欲しいと思う。 (医学部)
・個人識別は現代社会に必要な技術だと思う。ありきたりな例しか浮かばないが、例えば親のわからない子供を、陥るであろう不幸から救うことができる可能性がある技術だからだ。自分が何者か、誰の子供なのかというのは誰もが知る権利を持っていると思うし、ほとんどの人がきちんと知りたいと思っているはずだ。そういう点から考えても、個人識別の重要性は高いと思う。 (法学部)
・個人診断がDNAによって出来ることは犯罪捜査などでとても有用だと思うがDNAというのはとても大事な個人情報なので悪用されないことなど個人のしっかりした認識や管理が必要だ。映画『ジュラッシークパーク』のなかで「我々科学者はできるかどうかだけに捕らわれて、するべきかどうかを考えなかった」というセリフがあったが、やはり考えるべきところは考えなければ、と思う。 (工学部)
・個人識別はやはり自分が何者であるかを知るためにあると思います。それは親子鑑定や医学的側面などにおいて。特に医学的側面では遺伝子を調べることによって、病気の診断、予防や対策が立てられます。これは大きな利点です。しかしそういった情報が他に流用されると悪用されうる危険もはらんでいます。よって情報管理も完璧にしなければなりません。しかし裏を返せば個人識別というものがそれだけ重要なものとも思えます。 (工学部)
・個人識別はDNA鑑定などに役立つものであり、便利なものではあるが、それ以上に悪用された場合の危険度は大きいのである。よって私は個人識別は重要ではないと考える。 (法学部)
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正しくは、『DNA鑑定は個人識別に役立つ』です。個人識別には、血液型判定、歯形鑑定、指紋照合など様々な方法がありますが、DNA鑑定もその中の1手段です。(コメント by ARAKI)
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