2005年度 レポート第6回 回答集
熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2006年 5月29日更新
2005年度 最前線の生命科学C レポ−ト第6回(2005年11月 30日実施)回答集
[ テーマ ]『あなたの住んでいる町が久山町と同じ試みを始めたら参加しますか? その理由も書いて下さい。』
[ 回答 ](19人)
参加する(15人)
・私は久山町と同じ試みを始めるのに賛成です。情報が外に流れたり、何か副作用などがないかは確かに不安ですが何か画期的なことをするためには多少危険が伴うものではないかなとも思います。原子力発電にしても色々な失敗などはあったけれども現在では必要不可欠な物になっていると思います。何も起きないように最大の注意を払いながら研究を行わなくてはならないけれども何かが起こることを恐れて反対するのはどうなんだろうと思います。より多くの命が救えるようになることはすばらしいことだと思います。 (理学部)
・自分は、人のためになるなら参加したいと思う。しかし、その結果により、結婚や就職に不利になる場合が考えられないこともなく、また、自分だけでなく、家族や親戚とのかかわりあいもあるので、それによってお互いをうらんでしまうケースもでてくると思った。仮に、余命がわかったとしても、知りたくない人も多いので、それなら研究の意義がよくわからないと思った。生活習慣病に関しては、普段の食生活や運動により、予防はできるので、それだけのために、全ての情報を提供するのはどうなんだろうと疑問に思った。 (教育学部)
・久山町は実家に近く買い物でよく行っていたので、今回の講義を聞いて遺伝子治療により親近感を感じました。同時に、遺伝子治療がすぐそこまで来ているという不安も感じました。いろいろと問題も多い中、具体的な対策を考えないまま実現してしまった場合のことを考えると、怖いような気がします。久山町の研究を生かし、遺伝子治療の長所、短所を考えながら技術が進歩することを期待したいと思いました。 (法学部)
・わたしの住んでいる町が久山町と同じ試みを始めたらわたしは参加します。なぜなら、自分のデータが医学の進歩に役立つのはとてもうれしいことだからです。医学の進歩は必ず自分に有益な形で返ってくるとわたしは思うし、すぐに結果がでなくても、未来の自分の子孫の役にきっと立つだろうと考えるからです。でも、データの管理については心配な面もありますが・・・。しかし、何についてもそういう心配はついてくると思うのでまずは研究機関を信じて参加してみたいと思います。 (医学部)
・もし私の住む町で久山町のような取り組みが行われるなら、私は参加したいです。生活習慣病の発症の可能性やそれに基づく運動、食事等への健康アドバイスを受ける事ができ、さらにオーダーメイド医療が可能になるからです。将来の自分の健康に対する不安を、今の自分にできる事をすることで少しでもぬぐえるのならとてもすばらしいことだと思います。今後患者のデータの取り扱いに対するセキュリティシステムや運用管理の指針が定められ、きちんと実践されて私たちの生活がより豊かになっていく事を望みます。 (医学部)
・私は久山町の試みに賛成です。生活習慣病は、私たちが送る普段の生活から予防が出来るため、あらかじめその危険があることが分かれば、注意して自分の生活を送ることが出来ます。また、町などの単位で調べていくことで、その土地特有の習慣や食物が身体に及ぼす影響なども分かってくると思います。だから、もし私の町で同じ様な試みが行われたら、私は進んで参加すると思います。 (法学部)
・私は参加したいと考える。生活習慣病予防のための支援をしてもらえるのならば、QOLを高く維持できるし、自分に合った治療をしてもらえると考えられるからです。 (薬学部)
・もし自分が久山町の町民と同じ試みに参加できるとするなら、します。今回の話を聞いて決して参加しても自分の利益になることは現段階では多くはないと思います。ましてや解剖されたり、大事な個人情報である遺伝情報も提供しなくてはなりません。 しかし、未来にきっとプラスになると思うこの技術がより早く発展するには実際に活かされるべき社会の中に放ってみないといけないと思います。
実際にそう言う選択を迫られるなら迷うと思いますが、きっとそんな不安も解消してくれるような良さもあると思うので参加します。 (工学部)
・私は参加すると思います。基本のスタンスは賛成ですし。ただ、「知らされない権利」も存在すると思いますので、知らされることが強制となるようでしたら、そのことには反対します。情報に関わる人々に悪意や過失があれば情報は早く漏れるでしょうし、そもそも現在ではどうやっても治せない遺伝病もあるでしょう。私自身徹底したリアリストですから、長く生きること自体が幸せだとは考えませんし、人の生涯や意識の長短が幸・不幸を左右はしないという信条を持ち合わせています。ですが、しかし、それでも、生命には価値があります。積み上げた何かには歴史があります。昔は思い出ですし、今は一時の腰かけです。人はいつか死にます。生きていれば決していつか避けられない不運があります。それを知って、それに抗するために必死にあがき、一秒でも伸びたのなら、ただそれだけで「未来がない」とは言わないと思います。積み上げた歴史はそのために何かや誰かのためになるためのものだと信じています。いつか、の話ですが。いつかの可能性を信じる方向性に間違いを感じません。心の底から何かや、誰かのためになるのならば、そこに間違いはないのだと信じています。
曰く、「否定する必要性がないと思います。」と言ったのはこういう主旨でした。言葉足らずで申し訳ありません。これが理由です。 (法学部)
・私だったら参加すると思います。自分の身体のことはできるだけ知っていたいし、病気に対する新薬などの開発にも貢献できそうだからです。もし重大な病気が見つかったら一時は落ち込みそうだけど、その事実を知った上で前向きに生きていきたいと思うから、積極的に参加したいと思います。 (法学部)
・もし自分の町で久山町のような試みがされるなら、おそらく私は参加すると思います。自分のDNAを詳しく調べて、自分の体に合った治療が受けられるのなら、それに越したことはありません。それに、将来の人類のためになるのであれば…とも思います。まだまだDNAの研究もこれからだと思うからです。情報管理などの面では確かに不安が残りますが、そこについてはやはりするなら何年かかかってでもいいので、人材の育成からシステムの確立までしっかりとしてもらいたいです。
ただ、こうも技術が進歩してしまうのも怖い気がします。また今回の授業では、そこまでして生にこだわっている人間てやっぱり貪欲なのかなあともうっすら感じてしまったのも事実です。 (文学部)
・住民のゲノムデータの統計を取って医学研究を行うという実例が、アイスランドにあったことは以前から知っていたが、我が国でも同様な試みがなされていたことは知らなかった。しかも、44年間もの長い期間を費やし、最新のITを用いて精度の高い産官学民連携の“ゲノム疫学”が行われていたことは驚きであった。
個人データの漏出や遺伝子差別など、解決しなければならない問題は多いが、生活習慣病に限れば、そのリスクは少ないと考えられる。逆に生活習慣の改善傾向が高まるなどのメリットがあるので個人的には賛成である。(医学部)
・自分の住んでいる町が久山町と同じ試みを始めたら参加すると思います。あらかじめ発症する可能性がある病気を知ることで、日々の生活の中で健康に対する意識を高め、その病気に対して予防することができると思うからです。また、個人にあったオーダーメイド医療が実現されればとてもいいことだと思います。ただ、個人の情報が漏れるかもしれないという不安があるのも事実です。 (工学部)
・もし自分の住んでいる町が久山町と同じ試みをするとしたら、私は参加します。私達は医学の進歩を望んではいますが、自ら積極的に医学の進歩に貢献しようとはあまりしないし、まず機会がないと思います。自分達のデータにより、オーダーメイド医療などの研究が進むのも嬉しく感じると思いますし、嬉しくない人はいないとも思います。 (工学部)
・身近な福岡県の久山町という町で、このような大規模な研究が数十年にわたり行われていることを知り、非常に驚いた面もあり、同時に将来医療に携わる者として興味も感じ、素晴らしい試みだと思いました。だからもちろん久山町と同じ試みを始めた場合、私も参加すると思います。理由は上述の通りであり、セキュリティーシステムもしっかりとしている様なので、自分の情報が何らかの形でありこれからの医療に役立つのならば、研究に参加しても構わない、と思うからです。 (医学部)
参加しない(4人)
・私は、基本的にはこのプロジェクトに参加することに賛成しています。ただしそれは、情報管理の行き届くような将来において、の話です。少し前から、住民基本台帳ネットワークや顧客情報の流出が問題となっていたり、研究機関の遺伝子情報の無断使用(これは国外でしたけれども)が取り沙汰されていましたよね。なので、研究結果の成果を、人間の延命や(それを望む人にとって、ですが)人生の質の向上(健康面・精神面において)に生かすことには賛成である一方、情報管理に対する不安は拭い切れないとしか現時点では言えません。
アメリカでは患者団体のコミュニティが発達しているのに対し、日本ではそういった背景も助力もなく、満足のいく研究が果たしてできるのかどうかについても疑問があります。我々一般人に分かるようにこのプロジェクトの必要性を説明し、、倫理観における矛盾点・疑問点の解決、一般人がプロジェクトに参加する際に起きるかも知れない問題点の解決策を考えておく、などの環境設備が整ってからであれば、欲しい情報もサンプルも、有効に活用され、将来に繋がるいい研究成果となるのではないでしょうか。
研究者の間で終わる研究結果のままでは、きっと大衆向けの成果にはならいないと、私は思いました。 (文学部)
・ 今の気持ちは、あまり参加したくないです。かといって絶対嫌だとも思っていません。健康に関する、より正確な情報を得られるというのは画期的ですし、具体的にどんなことが分かって、自分にはどんな課題があるのかを知りたい気持ちもあります。ただ、情報管理が杜撰な現代の社会なので、人に知られたくないことを知られるかもしれない、何に自分の情報を使われるかも分からないという不安の方がやはり大きいです。また、健康に関する情報は今、テレビや本によって本当にたくさん、気軽に手に入りますが、それらを実際に自分の生活に活かしている人はそんなに多くないのではないでしょうか。結局知っていても、分かっていても面倒臭いとか、他の人は誰もやってないのではないかというような理由で情報を溜めるだけ溜めて、もしくは手に入れた気分になって、活用していないのが日々の生活ではないでしょうか。よって、せっかく遺伝情報を得ても、それを活用する人はもともと日々の健康に気を配っている人達だけかもしれません。久山町で、隣人がやっているから断り切れず参加したという状態がもしあったとして、例えば東京都が導入した時、そのような理由で日本中に広まってしまったら恐ろしい気がします。この試みは、一般の人に理解し難い点もあるので、メリット、デメリットを明確に提示してさらに吟味する必要があると思います。 (教育学部)
・私は自分の住む町が久山町と同じ試みを始めても積極的に参加する気持ちにはなれません。法の整備がなされないままこのような試みに参加するのは実験台にされるようで嫌だからです。また、保険会社もこのネットワークに組み込まれているので、将来病院になったとき、すでにわかっていたのに申告しなかったものとされ保険金が降りないのではないかと不安です。 (文学部)
・もし自分の町が遺伝子学の発展のために町全体で協力することになるという話に関して、僕はどうしても賛成できません。確かに各個人の了承をとるという任意参加の形式だとしても先生も講義中におっしゃっていたように隣近所との兼ね合いもかならずあるだろうし町全体という形式において必ずしも個人の本当の意志がしめせるとは思わないというのがその大きな理由です。また、遺伝子解析によって自分がどのような病気にかかりやすいかがわかって、対応できるとしても、僕は毎日びくびく健康に気を遣ってあれはダメだのといった生活よりも、何も考えずに楽しく生活したいと考えるのでこういう観点からも反対派です。だから、自分の町で行われるようになっても、参加しないと思います。 (理学部)
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