2005年度 レポート第7回 回答集
熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2006年 5月29日更新
2005年度 最前線の生命科学C レポ−ト第7回(2005年12月 14日実施)回答集
[ テーマ ]『プリオンは生物か非生物か』
[ 回答 ](21人)
生物(4人)
・プリオンは病原体にあるDNAもRNAも持っていないので非生物と多くの場合は考えられるかも知れないが、わたしにはプリオンは新しい形の生物のように思える。プリオンについての知識はあまりないのだが、正常プリオンを異常プリオンは異常型に変化させていく能力があると知って、なんだか生き物みたいだなぁとわたしは感じた。しかも、プリオンは少しずつ特徴の異なるいくつもの株(系統)が存在するなんてただの異常たんぱく質という言葉ではくくることはできないと思う。プリオンはなんだか人間に挑戦する新しい形の生物のような気がしてならない。早くプリオンについての研究が進んで効率のよくかつ感度のよい検査方法と有効な治療方法が開発されてほしいと心から思った。 (医学部)
・プリオンは生物だと思います。なぜなら病原型プリオンは正常なプリオンを病原型に変化させることができるからです。連鎖反応で増殖するというところにも、プリオンの生物っぽさを感じます。 (法学部)
・プリオンは生物だと思います。人間や動物の体内には様々な細菌や細胞があります。その一つ一つに寿命があり、有限です。そのため、動物達はそれらを補うために体内で製造したりします。構成要素としての役割から非生物だと考えもしましたが、鉄や、プラスチックなどと違い繁殖活動を行う点。ここにプリオンは生物ではないかと考えさせられたので、僕はプリオンは生物と考えます。 (工学部)
・私は、プリオンは生きている、生物であると思います。なぜなら、牛や人間は生きてます。そのタンパク質が変化したものだからです。しかも、異常となってからも正常なものを異常なものにする力も持っています。基本的に私は、活動しているものは生きているものとして判断してしまいます。死んでいながら自ら動いているものを見たことがないからかもしれません。
プリオンが生物か非生物かということについて考えていると、生物と非生物の境界線や、生と死の定義がよくわからなくなってきました…。 (文学部)
非生物(16人)
・プリオンは生物ではないと思います。プリオンは増殖を繰り返しますが、核酸を持っていません。DNAやRNAを持たないものは、自分の遺伝子を子孫に残すということをしないので、生物とは言えないのではないでしょうか。また、資料に「プリオンは自然発生する」とありましたが、ウイルス感染への対策のように締め出しや禁止措置が効かず自然発生するということは、プリオンが生きているというわけではなく、突然変異などによって発生するたんぱく質だということなのではないかと思います。 (文学部)
・プリオン自体はたんぱく質でありそれ自体に意思のある生物とは思えない。しかし,異常たんぱく質を増殖させていくなど生物のような一面も持っている。また,生物間で感染していき広がっていくなど最近のような面もある。よって,プリオンを生物か非生物かということはいまいちよくわかりませんが非生物だと思います。ただ,将来的に実はプリオンは生物だったという事になるのもおもしろいなぁ〜。と思います。 (理学部)
・生物の定義を辞書で調べると自己増殖能力、エネルギー変換、恒常性維持能力の3つの能力があると書かれていました。同様にプリオンの定義を調べたところ、「染能を持つたんぱく質因子」から作られた言葉でウィルスと同格の用語と書かれていました。プリオンを厳密に生物の定義に当てはめると、(感染能力を持つけれども)ただのたんぱく質なので生物の定義にはまったく当てはまりません。しかし、他の生物に感染すれば自己増殖ができるので限りなく生物に近い非生物だと私は思います。ウィルスもそうですがプリオンも人体に入って悪影響を及ぼすので完全に生物ではないと言い切れない非生物だと思います。 (理学部)
・私はプリオンは非生物だと思います。正直、あまり理解できていないのですが、タンパク質という名前からして血液中の成分の一つではないかと思います。 (法学部)
・そもそも生物とは何かというはっきりした定義のほうが決まっていないと個々の生物について生物か否か考えるのは難しいと思います。プリオンより研究が進んでいるであろうウイルスでさえ生物の条件として考えられるものを満たしていたり、いなかったりするため、生物か否か意見が分かれているのであれば、プリオンを考えるのは、なおさら難しいと思います。ただ、増殖することで子孫を残すという点に関しては、生物の特徴を持っていますが、正常の形ではヒトの体に良い影響を及ぼしているかもしれないのに、それが悪い影響を起こし、感染したからといってただのタンパク質であったものが生物と呼ばれるのは違和感があります。よって生物ではないと思います。 (教育学部)
・プリオンは非生物、つまり物質です。100nmの孔をもつフィルターを通過できることから、一時はウイルスではないかと考えられていたそうです。しかしウイルスとは違い、核酸(DNAやRNA)を持つことをしないので(一般的に生物は核酸を持つものとされていると聞きました)、生体内で増殖はするが、プリオンは非生物の範囲に分類されるということが言えます。 (文学部)
・プリオンとは、蛋白質と思うので非生物と思う。資料の中に、遺伝性も含まれることもあげられていた。しかし、本当に未知のものだと思った。いずれにせよ、はやくプリオンの正体をつきとめ、薬の開発などに努めてほしい。人間の科学や医療が発達するほど、プリオンのような異常物質が目に見えてくる気がした。 (教育学部)
・DNAやRNAを含まないという点から考えて、プリオンは生物ではなく、単なる糖蛋白質の一種に過ぎないのではないかと私は考えます。 (文学部)
・プリオンは生物のような増え方をし、生物のような働きをする非生物(タンパク質)だと考える。DNAを持っているわけでもないし、異常プリオンタンパク質はどれも同じ化学組成だからだ。異常プリオン蛋白質が生物に対して何か作用する時に生物的であるからといって生物だと考えるのは矛盾が多い。 (薬学部)
・「プリオンが生物か、非生物か」という今回の問いを考えるうちに、私は今使っているシャープペンシルの芯を見た。シャープペンシル(構成は炭素だったはずである)が生物か、非生物か、という問いにも感じられたのである。私の答えは、「非生物」である、というものである。私には、「生物」と「非生物」の具体的な区分は分からない。ただ、「生命としての何か」が欠如しているように思えるのである。確かにそれが存在している以上はその「存在」そのものには何らかの理由があるし価値がある、主観や意識も私が感じられないだけで存在しているのかもしれないし存在していてもいいように感じる。ただ、「ひとつのいのち」としては確かに何かの価値を欠いている、というのが私の考えである。 (法学部)
・私はプリオンは生物ではないと考える。生物のの定義である、自己増殖の用件を満たしていないからである。たしかに増殖はするが、それは他の物質を変化させて同様の蛋白質を生産するのみであり、ウィルスに近い物質である。DNAやRNAを持たない分、ウィルスよりも単純な物質であると言えるのではないであろうか。しかし、プリオンは非常に特異な性質を持つので、生物の定義を考える上で非常に重要な存在であると評価している。 (医学部)
・私は、プリオンは非生物だと思います。私たちの体の中には様々な酵素や細胞があって、ある物質を別の物質に変えたりして、色々な働きをしています。しかしこれらの酵素や細胞は、生物とは呼ばれません。このことから考えると、プリオンにも様々な力があるとはいえ、生物とは言えないのではないかと思います。 (文学部)
・資料によると、スクレイピーやCJDの原因となる感染性病原体は単一のタンパク質であると提唱して、そのタンパク質をプリオンと名付けたとあるので、ただのタンパク質ではないと思うけど、プリオンはDNAもRNAも持ってないので、生物ではないのではないかと思いました。また、プリオンは自然発生するとあるけど、生物が突然生まれてくるのかと考えると、少し変な感じがするからです。だけど、プリオンは自ら増殖する、と書いてあったので生物に近いものだと思いました。 (工学部)
・プリオンは増殖を繰り返すが、肝心の核酸を持っていないのでやはり非生物ではないかと思います。単なるたんぱく質の一種であると思います。本当に異常な物質だなぁと思い、少し怖くなりました。 (医学部)
・プリオンは病原体に似た特徴を持っているが、生物とは言い切れないと私は考える。まさしく異常タンパク質という言葉がふさわしい。話は違うが、植物にある葉緑体も元は一つの生物で、太古の昔に他の生物から取り込まれてしまって一つの器官のようになってしまったらしい。今では葉緑体を生物とは呼ばない。自分の核を持っているにも関わらず、だ。よって、DNAを持たないプリオンもタンパク質の一種と考えてよいのではないかと思う。 (工学部)
・調べた結果、今までプリオンはウイルスの一種と考えられていたが、研究により現在、プリオンはウイルスではなく感染性のあるタンパク粒子であると分かったということです。しかし、感染性があるということは増殖性がある、つまり核酸を持ちDNA、RNAといったゲノムが必要といった条件(要するに生物であるということ)が必要であるが、病原性プリオンには核酸が全くみられず、熱、紫外線、ホルマリンに対して強い抵抗性を持っており、自己タンパクであるために免疫原性が極めて低く免疫を起こしにくいという特徴があり、その数があるレベルまで達すると発症することが分かりました。
このうち特に増殖性があるが核酸を持たないという所にプリオンが生物か非生物かという問題があると思うのですが、私はプリオンは核酸がない点、つまりDNAを持たないという点とタンパクである点で非生物であると考えていいと思います。ただ増殖性に関しては甚だ疑問ですが・・・。 (医学部)
分からない(1人)
・今回の講義の内容からは、プリオンが生物か否かについてはよく分かりませんでした。ただ狂牛病に関して、人間の犠牲者が出ていることはとても衝撃的でした。もうすぐアメリカ産牛肉の輸入が再開されますが、私たちはアメリカ産に気を使いすぎているような気がします。国産においても狂牛病は発生しており、全頭検査をしているからといって完全に安全とはいえないのではないでしょうか。また牛肉に限ったことではないのではないでしょうか。
食の安全については私たち一人一人がきちんとした知識を持っていくことが大切だと思いました。(法学部)
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