2005年度 レポート第8回 回答集
熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2006年 5月29日更新
2005年度 最前線の生命科学C レポ−ト第8回(2005年12月 21日実施)回答集
[ テーマ ]『遺伝子組換え技術のペットへの応用に賛成か反対か』
[ 回答 ](20人)
賛成(4人)
・わたしは、遺伝子組み換え技術のペットへの応用にある程度は賛成だ。遺伝子組み換え技術を使用するときにそのペットが野生化したときに自然に元からいる生物へどのような影響があるかなど、しっかり研究と調査をしたうえで何も問題がない場合は応用してもよいと思うが、安易な考えでは遺伝子組み換え技術を使用するべきではないとおもう。あと、使用する程度が重要だと思う。あまりに使用しすぎてもとの種を改変しすぎるのにもわたしは疑問がある。どこまでが許されて、どこからが禁止されるべきかなど専門家などがしっかり話しあって遺伝子組み換え技術を規制する法律が必要ではないのかなぁとわたしは感じる。 (医学部)
・私はこのテーマに条件を付ければ賛成だ。どういう条件かというと、遺伝子組換えを行ったペットを販売する時などに生殖能力を持たさないということだ。遺伝子を組換えると、その種に関わる大きな問題であり、何十年後の子孫に影響が出てくることが考えられる。生態系にない遺伝子が生態系を破壊することがないようにしなければならない。 (薬学部)
・私は賛成です。ペットは現在「人間を喜ばせるため」に存在していると思います。犬に限って言えば何代も人為的に種のかけ合わせを行い、純血統という新しい血を作っています。そのようにされている時点で人間は遺伝子操作を行っています。「遺伝子組換え技術」という言葉に少し過剰反応しているように感じます。 (理学部)
・遺伝子組換えは今や多くの食物や動植物で行われるようになった。食物では代表で言えば米の品種改良が何十年にも渡り行われてきた。また、今では蛍光色を発するゼブラフィッシュという魚も販売されたらしいし、我々の身近なペットである犬も、品種改良されたものが多い。当初私も遺伝子組換えを使ったペットを産み出すなんて信じられないと考えていた。例えば、ノルウェーでは剛健さを基準にして選別された養殖サケが間違って放流された結果環境に順応してしまい、野生のサケを完全に駆逐してしまったこともあるらしい。
つまり、遺伝子組換え生物によって、他の種の生態バランスが崩れるという事態が起きる危険性があることもあり、遺伝子組換え技術を動物、今回の意見ではペットに応用することには反対だった。
しかし、そのことについてインターネットで調べていくうちに、ある記事(ブログのようなもの)を見つけた。それは簡単に言うと、人類は濃厚や牧畜を始めて以来、1万年に渡って家畜や農作物の遺伝子を改良(つまり品種改良)し続けてきたのだから、今となってその方法を変えたからといって(遺伝子操作のこと)何が問題なのかという意見である。なぜ豚を私達は平気で食べているのか、なぜ牛は子牛が必要とする何十倍も乳を出すのか、なぜダックスフンドやプードルのような原種からかけ離れた姿の犬がいるのか。それらはすべて有史以来人類が品種改良を続けてきた証であって、品種改良は遺伝子組換えの古い呼び名であり、自然現象だ、と言うのだ。遺伝子組換え自体は自然界でいくらでも起こっている自然現象であり、人がその技術を発見しただけのことで、それを応用するのを「環境への悪影響だ」と言い、車を運転しクーラーを使う人間が主張してもその主張は矛盾しており、一向に説得力がない、と彼は述べている。
これを読んだ時、納得してしまった自分に気づき、再びこの問題に対する自分の意見について考え直すようになった。自分の意見に確たる自信がなくなったからである。今、賛成か反対かと言ったら、少し賛成側に傾いているかも知れない。思った以上に遺伝子組換えに関わる話は根が深く、そして広い。自分はただテレビで流れる情報に流されて、遺伝子組換えに反対だ、と考えていたのかも知れない。 (医学部)
反対(16人)
・私は遺伝子組み換え技術をペットへ応用することに反対です。遺伝子組み換えを行うことにより、長生きしたり、見た目、体臭、性格などを飼い主の思いどうりにできることが考えられるそうですが、ペットは飼い主のおもちゃではないと思います。遺伝子を組み替えることで自由自在に都合のいい動物を作り出すことは倫理面で大きな問題があるのではないでしょうか。
別の問題として、最近の飼い主は、世話をするのが面倒になり、ペットを簡単に捨ててしまっていることがあります。遺伝子組み換えによって、自然界に存在しない動物が現れることは、生態系を今以上に破壊することにつながりそうな気がします。
人間に対し遺伝子技術をどう使うかが倫理的に問題とされていますが、では動物なら問題ないのでしょうか。遺伝子組み換え技術をペットに応用することは、本来の目的からかなり逸脱していると私は思いました。 (法学部)
・私は、反対です。ペットはヒトにとって一番身近な動物だと思います。その動物を人の都合の良いように、もしくは好みに合わせて遺伝子を操作するような社会は遂にはヒトの遺伝子までも都合の良いように改良することを躊躇わない社会へとなってしまうような気がします。ペットを長生きさせることが幸せだとは限りません。21世紀は、最大限に知恵を働かせることで、環境をなるべく変えずに自然界と調和していく時代だということを考えると、森林や資源を未来に保存していくだけでなく生命の尊厳を守る必要があると思います。 (教育学部)
・私は、ペットに遺伝子組み換え技術の応用に反対です。確かに、飼い主好みの性格や容貌を作り出し、かつ長生きできるようにするのは、ペットの売り手にとっても、それを購入する飼い主にとってもメリットではあります。しかし、技術を応用され産まれたペットが、子孫を残す段階になったとき、そしてその子孫が繁栄していった時に、何らかの変化・異変が起きないだろうか、という不安もあります。
また、クローン技術にも通じるものであると思われますが、生命をそう簡単に操作してもよいものか、という倫理的疑問が必ずついて回ると考えられます。人間が望むほど長生きできないのも、人間にとって嫌な臭いがするのも、大人しくないのも、そうなる必要があったからだと私は思っています。 (文学部)
・私は反対です。自分が動物嫌いなので単にペットに技術を応用する必要性を感じないだけかもしれないけど、もしペットに応用できたら次は人間にも…って流れが絶対でてくると思います。そしたらクローン技術の応用と同様、生命倫理と技術の境目みたいなのが曖昧になってしまいそうで恐ろしいです。だから私は賛成できません。 (法学部)
・私は、遺伝子組換え技術のペットへの応用に反対です。創薬や病気の治療に遺伝子組換え技術が用いられるのは構いませんが、ペットに用いられるのは、単なる人間のエゴに過ぎないと私は考えます。人間の好みに応じて動物の見ためや大きさを変えることにまず抵抗があるし、においや鳴き声のうるささが気になるのであれば、そもそもはじめからペットなど飼わなければ良いのではないでしょうか。繰返しになりますが、遺伝子組換え技術をペットに応用するということは、単なる人間のエゴに過ぎないと私は考えます。 (文学部)
・遺伝子ペットについては反対です。クローン人間にもつながると思うし、死を受入れることは大切だと思います。 (理学部)
・僕は遺伝子組換え技術をペットへ応用することは反対です。ペットを飼うという事は、確かにやすらぎとかの意味もあるけど死の享受や生のいたわりとかを実感することに大きな意味があると考えています。遺伝子技術を使えば寿命が長くなったり好きな容姿を作れたりできるかも知れませんが、何でも自分たちの好きなようにできるようなイメージが子供についてしまったりするし、悲しみとかも減ってしまうと思うので、この話題には反対です。 (理学部)
・私は反対である。実家ではミニチュアダックスフンドを飼っているのだが、散歩に行くとそれぞれの飼い主が自分の犬が1番かわいいと思っている。それぞれ生きものには個性があると思う。それをもっと大切にしていかなければならないと思う。確かにペットが家族化している現代で、寿命が伸びたり病気にかかりにくい生きものにしてしまえば喜ぶ人も多いだろうが、人間の勝手な思いで、そういう事をしてはいけないと思う。 (教育学部)
・ペットは決して外界と別離していないためというと全く違うと思います。ペットは逃げることもあるし、なにより、飼い主が捨ててしまう可能性が高い。ジュラシックパークという映画で、主人公の男性がカオス理論というものを持っている、これは要は何が起こるかわからないという理論(といえるのか)なんだが、その通りアミノ酸の調節で繁殖は出来なかった恐竜はアミノ酸を外部から取り入れることで繁殖を可能にしてしまった。人間の技術も何もかも絶対というものはないと思います。地球の活動の誤差は地球の懐でなんとかなるものであるが、不自然である人間の技術は致命傷になりかねないと思います。よほどの理由で十分厳戒な体制でない限りこのような技術を使うべきではないと思います。(医学部)
・私は反対です。やはりペットと言えど生き物である以上、飼うときに都合が良いように性質を変えてしまうのには、道徳的な嫌悪感を禁じ得ません。 (文学部)
・私は反対です。なんでもかんでも、人間の都合だけを考えて生命の根本をいじるのは良くないと思います。ペットのDNAを操作して、それでペットと人間の関係は変わるでしょうか。仮にペットのDNAを操作したとして、そのペットへの愛情が深まったりするのでしょうか。
一緒にいるペットが大好きなほど、ずっと長く一緒にいたいと思うのもわからなくもないです。しかし、結局は人間のエゴだと思います。だから品種改良よりも、もっと奥の部分(DNA)を人為的にいじることには反対ですし、それを考えると倫理的な嫌悪感を感じます。 (文学部)
・私は遺伝子組み換えペットには絶対に反対である。そもそもペットは玩具ではないから、人間が勝手に彼等の体を改造することは倫理に反する行為ではないであろうか。たしかに自分の飼っている犬や猫が苦しむ姿を見たくないし、臭いが気になることもあろう。しかし、それは自分の親兄弟も同様であり、否定すべきではない。また、遺伝子組み換え技術の副作用も起こりうるのではないか。例えば、巨大化したり、凶暴化して人間の手に負えなくなるなど…。倫理的側面からも、技術的側面からも反対である。 (医学部)
・遺伝子組み換え技術をペットへ応用することは反対です。この技術を使えば、ペットが長生きしたり、見た目や性格が良くなるかもしれません。だけど、それは人間のエゴだと思います。人間の思い通りにペットを変えてしまうというのは倫理的にも間違っていると思います。もし遺伝子組み換え技術を使って、思い通りのペットが生まれてこなかった時は、世話が疎かになったり、捨ててしまう可能性もあると思うからです。そして、ペットの次は人間でもやってみようというという流れに歯止めがきかなくなりそうだからです。 (工学部)
・私は、これから絶対に必要になるならば反対はしないのですが、そこまでして人間の手で自然界の規律を乱してもいいのかな、と疑問に思います。このような技術が進んでいって、将来どこかで糸がどんどんほつれていってしまうような気がしてとても怖いです。 (医学部)
・同じ動物と言っても実験用マウスとペットはその目的やそれらが与える影響は違うと思います。ペットは個人の安らぎだったり精神的な安定を求めたもので、より人間に近い存在だと思います。だから、そのペットに非自然的な技術を応用するのは、反対です。 (法学部)
・遺伝子組換え技術のペットへの応用に、私は反対です。動物が大好きなので、遺伝子をいじるというのは気が進みません。生命倫理にも大きく関わってくると思います。ペットは人間と同じで個性があるからよいのであって、個性をコントロールしてはいけないと思います。 (工学部)
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