2005年度 レポート第9回 回答集
熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2006年 5月23日更新
2005年度 最前線の生命科学C レポ−ト第9回(2006年 1月 11日実施)回答集
[ テーマ ]『DNAの実物を見た感想』
[ 回答 ](19人)
・初めてマウスの尻尾のDNAを見た。だけど今まで教科書などに載っているきれいな螺旋状のものしか見たことがなかったので、あまりこれがDNAなんだという実感がわかなかった。でも、DNAを間近で見ることなんて普段ないので、今回実物を見れてDNAがどんなものか知ることができてよかったと思う。 (工学部)
・私はDNAの実物を見たのは今回が初めてでした。TVなどで見るイメージでは、らせん状のカラフルなものだったので、実物も色がついているものと思っていましたが、真っ白であったのは意外でした。あんなに小さいものが生き物の個性を決めるということがとても不思議に感じました。 (法学部)
・DNAと聞くとものすごく小さくてものすごく繊細なものだと思っていたので,エタノールや食塩を用いて簡単に目で観察することができることに驚きました。また,その形状が,はっきりとはわからないけど糸のように繊維質だったのにも感動しました。ただ,あれだけのDNAのためにマウスのしっぽ約20匹分が使われているというので,やはり,小さいものなんだなぁ〜って思いました。 (理学部)
・試験管の中に白いもやもやしたものが出てきたとき、DNAってこんなもんなんだ…とちょっとショックを受けました。私たちの体を構成するさまざまな要素が含まれ、私たちの先祖から子孫まで代々受け継がれていくものが、こんなに頼りない見た目のものだとは思わなかったからです。しかし、塩化ナトリウムやエタノールなど身近なものばかりで発現させることができるのを知って、すこしDNAが身近に感じられました。 (文学部)
・DNAの実験というのですごく手の込んだ実験なのかなぁと思っていたら、すごくあっという間にDNAの沈殿が見えて驚いた。教科書などでよく見る螺旋構造は見えるわけないけど、もうちょっとDNAらしい感じかと思えばただの沈殿だった。でも、肉眼で見たのは初めてだったので少し感動した。あの沈殿の中にたくさんの遺伝情報などが入ってるなんて不思議な気持ちがした。自分の中でとても貴重な体験になった。 (医学部)
・今回使用したDNAは、ハツカネズミのDNAだということでしたが…
まさかこれが!!というのが、DNAを見て、の正直な感想でした。試験管の中で白く濁ったこの物体が、私たちの体の元となっているのだということの不思議を改めて感じたと同時に、私たち人間は物質から出来ているのに、どうして物事を考えることが出来るのだろうかという、以前からの疑問もわいてきました。 (文学部)
・白い綿のような糸のようなDNAの中に遺伝情報が入っているなんて生命の不思議だと思いました。人が作り出したパソコンなどの最新の機器に備わっているICチップやユビキタスの技術などはちっとも私には理解できない複雑な仕組みですが、やはりあの白い糸に人間の性質などを決定する情報が書かれていると思うと、比べ物にならないくらい私たち人間の構造は不思議でとにかくすごいものだなという気がします。遺伝病などを恐ろしく思いがちですが、ただ正常に働いている部分があるだけでもすごいことなのかなあと思いました。 (教育学部)
・私はDNAの実物を見て、螺旋構造は目では見えないんだと知りました。テレビで見るDNAのCG映像とは違い、実物は綿のようで、これが生物の神秘の宝庫だとはとても信じられませんでした。私のような素人には、この儚いDNAをこれからどのように活用したらよいものかさっぱり分かりませんでした。ああやって実体を表したDNAは、あの後どのように役立てられるのか知りたいです。 (文学部)
・何もなかった試験管から、DNAがあらわれたのには驚いた。こんな糸くずのようなものに、生きものの情報が全てつまっていると考えると、生物の神秘をみた気がした。このような実験を小中学生などに見せると、また違った反応が得られると思った。 (教育学部)
・DNAを、目に見えるカタチで直に見るのは初めてでした。マウス?の尻尾20本分のDNAなのに、一本につながって綿のように見えたのには疑問がわきました。が、その場では言えませんでした。
また、最初の透明な液。その中にDNAが溶けていると説明がありましたが、溶ける…とはどの程度まで溶けているのでしょうか。…そのままでも目には見えませんが…バラバラになった状態で液の中にあったのでしょうか。疑問に思うことはチラホラあるのですが、深く追求すると複雑になりそうなのであまり追求はしたくない…かもしれません。 (文学部)
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貴重な質問、ありがとうございます。2点とも、とっても重要なポイントです。「マウスの尻尾20本分のDNAなのに、一本につながって綿のように見えたのには疑問がわいた」ということですが、もちろん1本につながっている訳ではありません。1個の細胞核の中に入っているマウスの染色体は、1番から19番までの常染色体と、X染色体とY染色体のトータル40本です。
並んでいる塩基(A, G, C, and T)の数で言うと、一番短いY染色体で約1600万個(16 Mbp)、一番長い1番染色体で約2億個(200 Mbp)になります。40本の染色体DNAを1本につなぎ合わせた場合の長さは約2メートルと言われていますが、それが直径数マイクロメートル
(100万分の1メートル)の核の中に入っています。そして、マウスの尾の先端1 cm程の中に、おそらく数十万個の細胞が存在します。つまり、しっぽ20本分と言っても、「20本の糸」ではなく、少なくとも「40個の染色体 X 数十万個の細胞 X 20本= 数億本の糸」になります。実際にはDNAを精製する過程で物理的に切れて、1本のDNAの長さは10 kb ~ 100 kb(塩基数10万個〜100万個)になっていますので、ざっと100億本の糸が集まって綿のようになっていると考えて下さい。 もっとも、本物の「綿」も、そうやって数多くの糸が集まって出来ている物ですが・・・。 また、「最初の透明な液」の状態は、この100億本の糸が水分子の力で、水溶液全体に均一にバラバラになった状態です。。・・・ (コメント by 荒木)
・肉眼でしか見ていないので安易に判断することはできませんが、正直なところ実物のDNAはただの糸屑のようにしか見えませんでした(もちろんこれはただの“見た目”の問題です)。しかし逆に、この糸屑のようなものがあらゆる生物の設計図であるということに、ある種の感慨を覚えました。 (文学部)
・意外と長くやわらかそうなものだと思った。イメージ的には短くかたい固形物を想像していました。あのように細く長い糸の中に生物の設計図が入っているとはとても考えられないです。第一、解読自体が非常に困難なことに思えます。そのような事を行っている生物の体はとても神秘的と思いました。 (理学部)
・糸くずみたいだった。遺伝子の部分については少しは勉強したけれどもあれが2m位になったり膨大な情報が入っているかと思うと信じられない。 (理学部)
・高校の生物の授業で、大学の講義で、数えきれないほどDNAという言葉を聞き、また勉強をしてきた。DNAが生物の遺伝情報を伝える物質だと頭では分かっているが、私にとって現実に存在する感じのない物質だった。なぜなら、目に見えないほど小さな物質にもかかわらず、DNAのはたらきは生物の生命や種の保存、進化など、非常に大きなものだからだ。そのような気持ちでマウスのDNAの実物をみてみると、白い糸くずのようなものがDNAだとは信じ難かった。また、もしこの糸くずのようなものがDNAならば、生物にとって重要な働きを持っているとは思えなかった。DN Aに対する勉強不足で現実味を感じることができないのかも知れないが、糸くずのように見えるDNAを生命の遺伝情報であると解明した研究者達は本当にすごいと思った。 (薬学部)
・DNAと言ったら、あの螺旋構造のものを想像するので、あれが肉眼で見れるはずがないとわかっていたのですが、実物を見ていろんな意味で衝撃的でした。あんな糸くずのようなものに、様々な情報があるとは、改めて神秘性を感じました。 (法学部)
・NAの実物を見て、こんなにすぐに作れるものなのかとびっくりした。あんなにフワフワした、頼り甲斐のなさそうなものの中に私たちの大切な遺伝情報が入っているなんて…と驚きました。生命の神秘だ、と思いました。 (医学部)
・DNAの実物というものをこの歳になって初めて見させて頂きました。目に見えないものだと思っていたので、見えただけで興味深く、感動を通り越して、なんだか納豆の糸のようにも見えました。DNAには、「生命」としての価値はどうなんだろうと思うと難しい問題になりますが、それも含めて興味深かったです。珍しい体験でした、ありがとうございました。 (法学部)
・DNAの実物を見るのは初めてだったが、白かったのが意外だった。塩化ナトリウムの影響で白かったのかもしれないが。あんなにもろそうなものが私達を構成し、個性を出していることに、神秘さを感じました。 (工学部)
・初めてDNAを見たのは、生化学実習の時だった。これが肉眼では捕えられない細胞の核の中に畳み込まれているとは信じられなかった。現に中身は見えているのだから…。さらにはこれがあの膨大な遺伝情報を保持しているとは到底、信じられない話である。改めて生命の神秘を実感した瞬間であった。 (医学部)
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