(1)この本を選んだ理由を書いて下さい。
「ミトコンドリアDNA」のことは、以前どこかで聞いた覚えがあり、興味がわいたから。
(2)この本で著者が一番伝えたい事は何だと思いますか?
私達の細胞一つひとつが持っているDNAは、単なる科学物質ではなく、人類の始まり…祖先から代々受け継がれてきた、大切な贈り物だ、ということ。
(3)この本を読んで感じた事、考えた事を書いて下さい。
この本を讀んで、まず最初に驚かされたのは、「シリアハムスター」のことだった。世界中のハムスターが、たった一匹のメスの子孫であるという、ゆるぎない事実を知って、ただただ感嘆した。そして、ミトコンドリア・DNAを用いて広がっていく研究の経過を、わくわくしながら読んだ。また、この本を読んで、改めて学者の生活を垣間見た気もする。論文の発表や、研究発表の様子は、さながら一種の戦いのように感じた。途中、ミトコンドリア・DNA(のDループ)の信憑性が疑われた時はヒヤヒヤした。しかし、その信憑性が確認され、どんどん研究が進み、ついにヨーロッパの一族の母がわかると、私も「やっとここまできたか」という気になってしまった。七人の娘たちについての文章を読むと著者の想像力に脱帽した。ある程度事実にそってはいるとして、一人ひとりの生涯を書けるのは結構すごいと思う。まるで作家だ。七人のイブの娘たちが、本当にこの地球上で、確かに生きていたのだ、という感覚を、より強く味わえたと思う。
さて、ここから、より大事なことを考えることにする。人類は、大昔にさかのぼっていけば、一人の母につながっているということ。また、『われわれ人間は、誰もが完璧なる混血なのだ。と同時に、誰もがつながっている(P348,L14)』という著者の言葉に、何故だか胸が切なくなった。上手く言葉に表すのは難しいのだが、私では想像もつかない時間の中で、数えきれないほどの生命と、私は関係しているんだ、つながっているんだと考えると、急に一人ぼっちではない気がした。長い長い命の歴史の中の一つに必ず自分がいるということを、ほんの少しだけ実感し、感動したのかも知れない。そして、ミトコンドリアーDNAを、私は次の世代へ受けついでいける。そう思うと、何だか得をした気分だ。たとえ、一族の母にはなれなくても、その一人の女性のDNA(記憶)を、次へとつなげることができるのである。これは、喜ぶべきことではないか!積み重なっていく愛のバトン(と呼べるのだろうか)を、自分の子供にたくすため、一人は娘を生みたいと思う。
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