優秀作品(8)

熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健

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2006年 5月17日更新


『時間の分子生物学』(文学部)

(1)この本を選んだ理由を書いて下さい。
 文系おすすめ、というコメントがあったことと、値段が手ごろなため購入して長く手もとにおいておけることと、著者が熊大の教官であり直接この本の話をきく機会があるかも知れないと思ったからです。

(2)この本で著者が一番伝えたい事は何だと思いますか?
 「睡眠」には多くの謎があり、睡眠に関係する病気も実はたくさんあるということと、そんな「睡眠」の謎をとりあつかう研究にもっと興味や関心を持って欲しいということだと思います。

(3)この本を読んで感じた事、考えた事を書いて下さい。
 私は文学部の学生で、睡眠を扱う授業といえば深層心理学の「夢判断」くらいのものでした。そのため睡眠の仕組みや、睡眠にまつわる病気について何の知識もありませんでした。
 今回この『時間の分子生物学』を読んで、睡眠について様々な研究が行われていることを初めて知りました。生物時計の仕組み、時差ボケ対策法、睡眠に関する様々な研究などのテーマがありましたが、私は睡眠に関係する、病気に関するテーマに興味をもちました。
 まず、本当に眠り病といわれる病気があったことに驚きました。「ナルコレプシー」という病気のことだそうです。ナルコレプシーについて自分で調べてみたところ、ナルコレプシーは(1)学校や社会など公の場にいたり大切な話の途中でも、「3日間徹夜した後難しい数学の問題をといているとき」のようなひどい睡眠におそわれ居眠りをしてしまう病気だということ、(2)カタプレキシーと呼ばれる喜怒哀楽の感情が激しいときに突然体の力が抜けその場に倒れ込む症状があること、(3)日本人の有病率は世界一だということがわかりました。(1)については、睡眠時無呼吸症候群の患者と似ていると思います。この場合は浅い眠りしか得られない為日中眠くなる病気ですが、私は粂先生が例を挙げていたように、新幹線運転士がこの病気のために居眠り運転をした事件が印象に残っています。私がこのことを知っているのはテレビのニュースを聞いたからですが、最初は「けしからん」「だらしない」と感じました。そして、その気持ちはこの本を読むまで変わりませんでした。しかし、今回眠りに関する病気のことを知り、色々と調べてみて、自分の考えが差別的なものであったことに気付きました。
 次に私が気付いたのは、このように眠りに関する病気のことはニュースでもあまり詳しく取り上げられることが少なく、知識や理解を得る機会がとても少ないということです。これは差別を生む原因にもなり得るし、患者自身が自らの症状を「病気だ」と気付きにくくする原因にもなると思います。この問題を解決する為には、私たち一人一人が(3)日本人の有病率は世界一であるという自覚を持ち、学校教育の過程でこの問題を取り上げたり、粂先生のような方が講演を開いてアピールするなどの方法があると私は考えます。
     参考:「ナルコレプシーQ&A」


*****2005年度・優秀作品*****
冬休みの課題レポート・2005
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