2006年度 レポート第1回 回答集
熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2007年 9月06日更新
2006年度 最前線の生命科学C レポ−ト第1回(2006年10月 4日実施)回答集
[ テーマ ]『ゲノム科学に期待すること』
[ 回答 ](全20人)
・僕がゲノム科学に期待することは、主に医療への応用です。現在約8500種類の遺伝病が知られていますが、その中で原因遺伝子の特定がなされたのは約1000種類と言われています。まだ7500種類もの病気は、原因がわかっていないのです。ゲノム科学の進歩はそれらの原因遺伝子の発見、さらには原因遺伝子の除去または組み込みなどによって、病気の根本的な治療も可能だと考えます。
また、癌の原因も細胞の遺伝子の異状ですから、ゲノム科学の進歩で癌による死亡率を激減させ、人類の寿命をさらに延ばすことになるだろうと期待しています。(薬学部)
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癌研究の分野では、SNP解析が盛んに行われています。オーダーメイド医療に関しては、後半のディベートのテーマのひとつにするつもりです。 (コメント by 荒木)
・ゲノム科学の4分野の中でも、私が期待している分野は、私たちに密接に関わるであろうゲノム医科学の分野です。講義中のDVDでもあっていたような、私たちのゲノムがコンピューターで管理され、自分に合った薬を処方してもらえたり、自分がどのような体質であるか知ることで、病気の予防ができたりといったことに期待します。
また、ゲノム生物学の分野では、これからの地球の環境の変化にあった野菜などを作り出すことに期待したいと思います。もちろん、それで環境破壊がなかったことにはならないし、安心して環境破壊が加速してはならないとは思いますが。 (工学部)
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「地球環境の変化にあった野菜」というのは、ユニークなアイデアだと思います。炭酸ガス濃度が高くなるほど光合成の効率が飛躍的にアップし、栄養価の高いおいしい野菜ができる・・・というのも現実的にありそうですね。 (コメント by 荒木)
・ゲノム科学が進むことにより期待されることとして、病気に関することがある。ゲノムの解読により、かかりやすい病気や、その人その人に合った薬の処方、将来の病気の予測・予防など、人々にとってたいへん有益なことが出来るようになるだろう。
しかし、ゲノムの情報が漏れてしまうという問題が起こりかねない。そういった問題に注意しながらゲノム科学の有効活用すると、様々な病気の患者が大幅に減るだろう。 (教育学部)
・自分がゲノム科学に期待することは、人間とAIDSなどの現在不治の病となっている病原菌のゲノムの働きを完全に解明し、不治の病でなくなることを期待しています。また、解明したゲノムによって、事故などで身体の一部を失った場合、自分のゲノムから、また同じものを復元できるようになることも期待しています。しかし、その技術を利用するのに多額のお金がかかり、恩恵を受けれる人と受けれない人がでてきてはいけないと思っています。この科学をもとにして確立された技術によって、世界中の人が幸せになることを願っています。 (工学部)
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エイズウイルスや結核菌など、個々の病原微生物のゲノム解析は、かなり進展しています。ごく最近では、腸内細菌など数十種〜数万種からなる細菌集団(細菌叢)のゲノム配列を直接決定するという、メタゲノム解析も始まりました。 (コメント by 荒木)
・私がゲノム科学に期待することは医療への応用です。遺伝情報を読み取ることにより一人一人の病気に対する耐性、薬の効果・副作用などがわかるようになるという。これは確かに素晴らしいことなのだが、自分が不治の病にかかりやすいなどの情報も知ることができる。そういう情報が分かったとしても自分としては知りたくないし、他人には知られたくない情報でもある。 (工学部)
・ゲノム科学に期待することは医療分野での応用である。今までの医療では完治が難しかった病気に対しての治療法を確立して欲しい。例えば癌や、これから増えるであろうアルツハイマー病などに対しての治療法を確立して欲しい。 (工学部)
・ゲノム科学には医療分野での活躍を期待します。ゲノム科学の発展で病気を少しでも多く治療できるようになれば良いと思います。医者は病気の治療法を今までの経験から判断すると思います。しかし、同じ症状の病気でも治療法が適しているかどうかは個人差があります。医者がその個人差をしっかりと把握できればその人にあったより良い治療法を選択できると思います。その個人差を把握するためにゲノム科学は大変有用であると思います。また、治療だけでなく遺伝子からその人がかかりやすいと予想される病気にかからないように小さい頃からの生活習慣をきちんとするためにもゲノム科学を役立てることが出来ると思います。 (工学部)
・私は、ゲノム科学が医学的に応用されることを期待しています。特にエイズなどの、根本的な治療法がない上に命に関わるような難病を患っている人達には治療法の発見が熱望されているでしょう。
しかし、技術はそれを使う人によって良くも悪くもなります。ゲノム科学も例外ではないでしょう。例えば機械部品のように、より優秀な遺伝子へと組み換えることも、動物の遺伝子を組み換えてキメラなどを創ることも可能だと思います。また、薬害事件と同じように、思わぬ副産物が出来てしまうこともありうるでしょう。
そのため、ゲノム科学は倫理的な面や安全性などを考慮して、厳しく管理を行った上で使用すべきだと思います。 (工学部)
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「ゲノム科学は倫理的な面や安全性などを考慮して、厳しく管理を行った上で使用すべきだ」という意見は、その通りだと思います。実際に、個人情報の保護や遺伝子改変動物の取扱いには充分な注意が払われています。 (コメント by 荒木)
・私がゲノム科学に期待するのは、やはり医療面に関する事です。私の親戚に癌で亡くなった方が居られるのですが、抗ガン剤の強い副作用に苦しんでいました。オーダーメイド治療に因って患者に最適な治療を施すことが出来れば多くの人々を救う事が出来るでしょうし、又助からない人も最期の時間を有意義に過ごす事が出来るのではないでしょうか。
又、ゲノム科学が発展していけば、何れ人間を自由に設計する事が出来るような時代がくるだろうと考えられます。その様な事が可能となれば当然より良い人間を作ろうと、より良い遺伝子を組み込もうとするでしょう。しかし、人と人は遺伝子情報が0.1%しか違わないと言うのに、その中で皆が皆良い遺伝情報だけを組み込もうとするという事は人という種の多様性・可能性を自ら減らしていることと同義ではないでしょうか?
やはりどの様な物事にも一長一短があるものだろうから、悪い面への対策も期待していきたいと思います。 (???学部)
・ゲノムの解析が進むということは、遺伝子情報を解析するということであり、それが発達することで遺伝子組み換え食品のようなことが可能になっている。遺伝子組み換え食品に関してはこれまで品種改良としてやってきたことと似ていると思うので納得できるが、これが人間を対象にした場合難しい問題になると思う。特定の病気になりやすい遺伝子があるという話があったが、どのように応用すべきだろうか。
ゲノムの解析はどんどん進めていっていいものだと思う。しかし、それを実践するには道徳とか倫理的な問題と関わってくるのではないか。その点もしっかり考慮したゲノム科学であるべきだと思う。 (文学部)
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生殖系列に影響を及ぼす遺伝子治療は、人類という種を変化させる危険性があるので禁止されています。遺伝子治療のターゲットになるのは、患者さん本人の骨髄細胞や血液細胞などです。(コメント by 荒木)
・ゲノムというものがDNA全体ということはわかったのですが、細胞の染色体の中のDNAのうち遺伝子が30パーセントぐらいしかないならのこりの部分はどのような役割を担っているのかが気になります。これからはゲノム創薬という部分でも薬学と関わっていくと思うのでこの分野についても考えていこうと思いました。 (薬学部)
・私はゲノム科学が進歩してその人の細胞から臓器などが作られるようになればいいと思います。ガンの人や戦争などで手足を失った人の役にたつと思います。でも悪用されないようにすることが難しい気もします。 (教育学部)
・遺伝子診断で自分の病気の有無がある程度分かるようになること。調べるかどうかは個人の自由だが、入社や保険加入をどの程度制限されるかについては明確な基準を設定すべきだと思う。 (薬学部)
・ビデオで見た内容ともかさなるが、やはり医学の分野での期待が大きい。現代医学では治せない病気などを発病する前にその原因を取り除くことができれば病気で苦しむ人が減り良いと思う。 (文学部)
・1回目のガイダンスの話やビデオを見て、遺伝子のレベルで医療に利用できるのなら癌などの治りにくい様な病気を簡単に直せるようになるのかなぁと思った。それに妊娠しているときに何らかの処置をして障害を持って産まれてくる子を少なくできる様にはなったりしないのでしょうか? (社会的・倫理的な問題がでてくると思いますが・・・)
これからヒトゲノム計画が進んでいって人の役に立つ方向にいってくれるといいと思います。 (工学部)
・わたしが最も期待するのは、ゲノム創薬です。病気の原因になっている遺伝子を見つけることで、より効果が高く、副作用の少ない医薬品を開発することができるということを期待しています。 (文学部)
・これから医療技術の発達に役立つのではないかと思い、期待しています。 (文学部)
・生物の授業は高校時代あんまり得意じゃなかったけど、興味があったので受けてみました。この授業で得た知識を実生活に生かしたいと思います。 (教育学部)
・病気の早期発見を可能にすると考えます。 (薬学部)
・ヒトゲノムはこれからの医療におおいに役立つが、ヒトとしての壊してはいけない場所に踏み込んでいるような気がしてならない。 (教育学部)
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