2006年度 レポート第5回 回答集

熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2007年 9月06日更新

2006年度 最前線の生命科学C レポ−ト第5回(2006年11月08日実施)回答集

[ 回答 ](全46人)

 今回、「PCRの原理」を説明しました。テキストを見ながら、以下の質問に答えて下さい。選択肢があるものに関しては、適当なものを○で囲んで下さい。

1)DNAは5’→→→→→3’という方向性を持った鎖が、逆向きに2本結合して、2重らせんを形成しています。この2本の鎖の結合は水素結合に基づいており、相補的塩基対と呼ばれています。2本鎖DNAを94℃に加熱すると、水素結合が切れて1本鎖になります。ここは理解できますか?
[ よく分かる;22人・少し分かる;20人・よく分からない;4人・全く分からない;0人 ]

2)プライマ−と呼ばれる短い1本鎖DNAは、温度を55℃に下げると、変性して1本鎖になった鋳型の相補的な部分に結合(アニ−リング)します。増幅したい部分の外側(両端)にセンスプライマ−とアンチセンスプライマ−を設定します。ここは理解できますか?
[ よく分かる;12人・少し分かる;21人・よく分からない;12人・全く分からない1人 ]

3)温度72℃の条件で、DNAポリメラ−ゼは、2本の1本鎖DNAを鋳型として、それぞれ5’→3’の方向へ新しいDNA鎖を合成していきます。その結果、プライマ−の位置から始まる部分的2本鎖DNAが2本出来ます。ここは理解できますか?
[ よく分かる;18人・少し分かる;17人・よく分からない;11人・全く分からない;0人 ]

4)再び94℃に加熱すると、2本鎖DNA2本は1本鎖DNA4本になります。ここは理解できますか?
[ よく分かる;23人・少し分かる;17人・よく分からない;5人・全く分からない;1人 ]

5)さらに55℃、72℃と温度を変化させると、1サイクル目に合成された鎖が鋳型になった場合は、センスプライマ−からアンチセンスプライマ−までの長さだけ、新たな鎖が合成されます。つまり、2サイクル目に新たに合成された鎖の中には、目的とするDNA断片が出来たことになります。ここは理解できますか?
  [ よく分かる;17人・少し分かる;17人・よく分からない;9人・全く分からない;3人 ]

6)このサイクルをN回繰り返すと2N倍に増幅されることになります。つまり、2サイクルで4倍、3サイクルで8倍、10サイクルで約千倍、20サイクルで約百万倍に増えます。ここは理解できますか?
[ よく分かる;30人・少し分かる;11人・よく分からない;4人・全く分からない;0人 ]

7)あなたは、この講義で、PCRの原理を理解できたと思いますか?
[ 理解できた;8人・少し判った様な気がする;27人・よく判らない;11人・全く判らない;0人 ]

8)PCR法の普及によって、ごく微量のDNAからもDNA増幅が可能になったので、従来は考えられなかった「生物遺体」からDNA試料を得て解析できる様になりました。このような試料をその古さにかかわらず「古代DNA(ancient DNA)」と呼びます。さて、もしあなたが生物学者(あるいは、考古学者、人類学者、天文学者、文学者、経済学者、・・・)だったら、PCR技術を用いて何を解析したいですか?

・外国の奥地へ行き、アリをとって来て、家のアリとのDNAの違いを、自分の手で(家で)解析する。外人と日本人の違い(肌の色等)DNAのどこが違うのか分かる? 古代の有名人の病死原因を知ることが出来ないか? (生涯学習)

・食中毒の原因となった材料を迅速かつ正確に特定する。 (生涯学習)

・遺伝病の原因となる遺伝子を同定する。 (生涯学習)

・古代の日本人と現代の日本人とでは体格が随分と違うと言われている。その原因は食生活の変化だという説もあるが、遺伝子上の何らかの変異がなかったかどうかを調べる。もしくは、脂質の吸収を格段に抑えるアミノ酸を作り出す部位を発見し、ダイエット食品に混ぜ込んで売り出す。(教育学部)

・DNAを多く作り出したら、そのDNAはRNAを作り出してタンパク質を合成出来るのでしょうか? またそれを人の体に植え込む事もできるのでしょうか? もしそれらができるのなら、足や腕がなくなった人の体を元に戻してみたいです。 また、ジュラシックパークのように恐竜を復活させて見てみたいです。(文学部)

・歴史上の人物の遺伝子情報。クローニングすることには問題があると思うけど、知りたいという気持ちになった。(文学部)

・いきなり内容が理系になりすぎて、よく分かりませんでした。もうなくなってしまった病気の遺伝子を調べたら何か分かるのかなーとか思いましたが・・・。(文学部)

・どのような遺伝子の変化が進化に結びついたのかが分かれば、例えばヒトの遺伝子をさまざまな人ので比べれば、既に進化したヒトがいるかも知れないことが分かるかも知れない。(理学部)

・やはりジュラシックパークみたいに恐竜をよみがえらせたいです。今解明できてない恐竜の色や本当の形を知りたいです。(教育学部)

・ジュラシックパークのように、古代の化石から恐竜や古代に絶滅した生物を解析・復活したい。 (教育学部)

・テレビとかで見る人魚のミイラが何なのかを解析したい。(教育学部)

・北朝鮮に拉致された人々を探したい。不可能なことかもしれないが、可能性のある人全てPCR技術を用いて検査したらもしかしたら本人が見つかるかもしれないから。また、遺骨まで検査して拉致を証明したい。 (教育学部)

・テレビなどでよく恐竜をコンピューターグラフィックで表現した映像を見かけるが、実際には恐竜の皮膚の色は分からないらしいので、実際の恐竜の皮膚の色を解析してみたい。(教育学部)

・現在生きていない生物、恐竜などの解析をもっとやり、本などのティラノザウルスの絵の皮膚はイメージで本当は羽があったとも言われるので、その真実を確かめたい。(教育学部)

・アンモナイトを実際に調べてみて、普通の貝などとの違いを見つけたい。(教育学部)

・(出来るなら)隕石などの地球の外にある物質についてや、すでに絶滅してしまった生物について。 (工学部)

・倫理的な問題をひとまず置いて考えるならば、やはり先ずは絶滅した生物をよみがえらせてみたい、別に彼らを再び栄えさせようというのでなく、純然たる好奇心のためである。生きているマンモスなら、愛知県まで出かけても良い。(法学部)

・植物について解析してみたい。または、細菌、ウィルスの解析をしてみたい。後者は、進化が速いから。 (工学部)

・隕石にたまにくっついている、バクテリアなどのDNAを解析して、地球上の生物のDNAと比較してみたい。 (工学部)

・さらに研究を続けて、大昔に滅んだ生物の化石からDNAを採取して、その生物を復活させたい。(教育学部)

・どんなに古い遺体でも解析出来るのならば、発掘された大昔の生物(恐竜など)を解析して、生体・行動様式を今よりももっと詳しく知ることができるのではないかと思うので、それを知りたい。(教育学部)

・古代に地球上に生息していた「恐竜」という生物が本当に実在し、今仮説されている恐竜についてそれが本当なのかというのをDNAを使って解析したい。(教育学部)

・もし私が学者だったら、平凡かもしれませんが、太古の生物の遺伝子を調べたいなぁと思います。また、現在も生き残っている“生きた化石”と呼ばれる生物も、そんなに長く生きられるなんて、遺伝子的に何か有利な点があるのかどうかを知ってみたいです。エジプトのミイラなどは、よくテレビで「〜王のミイラかもしれない」というようなことを言われていますが、PCRがあれば真相にぐっと近付くかもしれないと思いました。(医学部)

・最古の人間はどんな人間だったのか、恐竜の復元や絶滅してしまった生物の姿を解析してみたい。 (教育学部)

・古代のDNAを使って恐竜を復元してみたいです。また、昔の病原菌のDNAを調べて現在の病原菌とはどう違うのかとか、進化の過程を調べてみたい。ヒトとヒト以外の動物のDNAを調べ、比べてみてそのDNAがどう違ったら変化があるのか法則を発見したい。(薬学部)

・古代からの生物のDNAの変遷を調べて、生物が進化する時には、どのくらいの量のDNA配列の変化が必要なのか知り、人工的な進化をしたい。(薬学部)

・恐竜は鳥の中にその遺伝子を残したと聞いた。どの程度残っているか調べたい。良い所取りの食料発明に役立てる。世界の美女から“美の遺伝子”を調べて遺伝子レベル整形。クレオパトラも真っ青!!!(文学部)

・ヒト、特に自分と自分の親族とでDNAの違いを比較してみたい。(薬学部)

・最初にピンと来たのは恐竜を思いつきました。映画の「ジュラシックパーク」のように復元出来るのではと思いました。そしてさらに惑星を思いつきました。解析が進むと宇宙の事がさらに詳しく知ることができると思ったからです。(教育学部)

・古代のDNAから化石を解析したい。現在化石から様々なことを研究して得ている事実以上にどのくらい正確で新しい発見が出来るのかということを試してみたいと思った。また、医療現場においてもウィルス検出などに大いに活用してほしいとも思う。(教育学部)

・今現在生きている歴史上の人物の子孫からDNAを得て、歴史の真実を追求してみるのもおもしろいかと思う。 (文学部)

・恐竜などの絶滅してしまった生物の構造を解きあかし、今まで知られていなかった過去の実態を見てみたい。 (文学部)

・私は地学が好きなので、PCR技術を用いてこれまでに絶滅した生物(例えばアンモナイトやニホンオオカミ)を復活させると同時に、人の影響で絶滅が危ぶまれている動物を増やしたい。(文学部)

・私は解析するだけで満足することはないと思う。実際に解析した結果から生物の復活などが出来たらすばらしい。(工学部)

・昔の偉人達の遺物(毛髪等)から、その人達にDNAでの共通点があるのかどうかを知りたいです。 (工学部)

・DNAを増幅させ、クローンの技術などにつかう。(工学部)

・エジプトのミイラたちを解析し、彼らの詳しい死因や、当時からあった遺伝子病にはどのようなものがあるか(どのような病気を保因していたか、今と異なるものがあったのか、など)を調べてみたいです。 (教育学部)

・絶滅した生物(工学部)

・前回のレポートに書いていた人もいたが、恐竜の復元や、永久氷土に眠っているマンモスの復元が出来ると、面白いと思う。また、PCR技術にかかる時間が短くなれば、今の部屋に入るかぎの変わりに、自分のDNAを照合して、かぎとして使えると面白いと思う。(工学部)

・やはり、恐竜などの絶滅した生物の解析してみたいです。また、周囲の地層などを調べて、昔どんな生物が生息していたのかを化石などからだけではなく土にわずかに残ったDNAから調べてみたいと思います。また、落とし物の持ち主を探す時に、物に付着しているわずかな細胞から持ち主を特定出来たらいいと思います。 (工学部)

・もし、自分が生物学者なら、映画「ジュラシック・パーク」にあるように、古代生物のDNAを増やして一個の生命体として復活させてみたい。恐竜に限らず、「トド」や「ニホンオオカミ」等の研究もしてみたい。倫理的に正しいことではないかもしれないが、興味がある人は多勢いるだろう。(工学部)

・古い地層に存在しているDNAから、昔はどのような生物が存在していたかを調べてみたい。隕石などから地球以外に生物がいた可能性はないかを調べてみたい。(工学部)

・宇宙人の遺伝子を知ろう。(薬学部)

・恐竜のDNA。(薬学部)

・ガン細胞のDNA。(薬学部)

・ガラパゴス諸島のイグアナの遺伝子も調べたい。(教育学部)


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