2006年度 レポート第6回 回答集
熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2007年 9月06日更新
2006年度 最前線の生命科学C レポ−ト第6回(2006年11月15日実施)回答集
[ テーマ ]「治療法が確立されていない遺伝病の
出生前診断に賛成か反対か」
[ 回答 ](全17人)
<賛成 9人>
・僕は出生前診断に賛成ですね。誰だって重篤な病気を持って生まれるのなんて嫌に決まっていますし、遺伝病がいつ発症するかおびえながら生きるのは辛いじゃないですか。それを避けるために診断して、疑いがあるならば中絶もやむなしだと思います。命の選別だとか言われることもありますが、親が健康な子を生みたいと思うことは当たり前のことだと思いますね。遺伝病の診断を受けるってことは身近に病気を発症した人がいるってことだから、その様子を見ていればなおさら、自分の子には遺伝病とは無縁で生きてほしいと思うのではないかなと、そう思います。
(薬学部)
・私は遺伝病の出生前診断には賛成です。出生前に遺伝病が発病するということが分かった後に、そのまま出産するのか中絶するのかは本人の問題だからです。遺伝病が発病すると分かっている子供を育てるということは子供にとっても両親にとっても辛いことが多くあると思います。しかし、それを受け止めて授かった命を喜べるなら、生んでもいいと思います。逆に遺伝病が発病する子供だからといって育児を放棄するような親なら生まれて来た子がさらに辛い思いをするだけなので、中絶した方が良いと思います。出生前診断を禁止した場合、上記のように育児を放棄するような親がでてきて、辛い思いをする子供がたくさん生まれてしまう可能性があるので私は診断をしてそういう子供が生まれないようにした方が良いと思うので出生前診断には賛成です。(工学部)
・賛成です。理由は自分の子供のことはなんでも知ったり理解するのが親の務めだと思うからです。生まれる前に知ることで心構えや対策を早くからすることができることはいいことだと思います。(薬学部)
・私は出生前診断そのものについては賛成です。問題になっているのは、この診断の結果、遺伝病が発症する可能性が高いとされた胎児をどのように扱うか、という点だと思います。
障害者への差別や中絶に関する問題は、出生前診断の在る無しに関わらず存在し、今現在、皆が納得のいく解決策が出ていないのが現状だと思います。ただ、これらの問題と出生前診断を一緒くたにして、「出生前診断=悪」と決め付けるのだけは避けたいです。(工学部)
・生まれてきた子供が重篤な遺伝疾患を有する場合、子供は元より親などの周囲の人間にも多大な負担を強いることになる。そういったリスクを回避することが出来る可能性を与えてくれる出産前診断の有効性は疑いようがないだろう。また、遺伝疾患を有する人、またはそういった人が近親者にいる人の結婚・出産への
ハードルを下げることも可能になるだろう。しかし、自分が命の取捨選択など傲慢でしかないように感じてしまうのも事実である。(工学部)
・教えた後の精神的ケアをするなら、希望者には教えてもいいと思います。(薬学部)
・僕は賛成です。たしかに倫理的な問題はあるけど、事前に知っておくことで対処できることもあるし、両親が知りたいのならばかまわないと思います。(教育学部)
・賛成です。やはり生まれて来た子供がどんな病気を持っているかは知れるなら知っておいた方がいいと思う。どんな子供であろうと育てるのが親の義務であるから。だかそれを本人に告知するということは避けた方がいいと思う。(工学部)
・障害を持って生きていくよりは健康な体を持って生きていく方が、産まれてくる子にとって幸せだと思うので、認めてもよいのではないかと思います。倫理に反するといってなにもかも禁止するのではなく場合によっては認めるとしたほうがよいのではないかと思いました。(教育学部)
<反対 8人>
・私は反対である。なぜなら治療方が確立されていない遺伝病を出生前に知ったところで、母親や父親などにやみくもに不安を与えてしまうだけだし、やもするとそのことによって赤ちゃんを産まないという選択にもいたるかもしれないからだ。(教育学部)
・私はこのような出生前診断には反対です。このような出生前診断をされた子供には将来、その遺伝病のせいで社会的に弱い立場になる可能性が高いと思います。例えばなんらかの方法で情報が漏れた場合の近所や知人からのイジメのようなもの、就職の際の弱みにもなるかもしれないし、保険会社からも拒否されるかもしれない。なので私は反対です。(薬学部)
・私は出生前診断に反対である。子供が治療できない遺伝病にかかっているからといって、診断し異常が発覚したら両親は子供を生むことにためらいを感じてしまうかもしれない。それが理由で子供を墮ろしてしまうかもしれないし、堕胎禁止期間であったら親は心のどこかで納得できないまま出産しなければならない。どちらも倫理的に間違っていると思う。子供は望まれて生まれてくるべきものであるから、後の子供の生育に異常をきたすかもしれない。だったら、遺伝病は親には伝えず、望んで出産し、愛情を持って育てさせる方がよいと思う。(教育学部)
・私は遺伝病の出生前診断に反対だ。病になる可能性があるというだけで必ずしも病にかかると断定できていない状態でこどもを殺してしまうのはおかしいと私は考えるからだ。もし病にかかったとしてもその時には病の治療法が確立している可能性だってある。出生前診断をしてしまうと、病にかかる可能性があるというだけで中絶をする人達も出てくると思う。これについて、人の命は簡単に選別されていいものではないと私は考える。これらの理由から私は出生前診断に反対である。しかし、必ずしも反対が正しいとは言い切れないと思う。なぜなら、もし病にかかる可能性を持ちつつも出産を行った場合、病にかかる可能性があるとわかることは人生を有意義に生きることにつながるのではと私は思うからだ。もし私がいつか病気にかかる可能性があるとしたら私はそれを知りたい。なぜならそれまでにもっとあんなことをしたかったなどの後悔を絶対に残したくないからだ。病にかかる可能性があるとわかることは本人にとっても、周りの人にとってもすごく恐ろしいことだと思う。でも、その苦しみを乗り越えたら人は人生をより濃く生きることができるのではないかと私は思う。このように人によってよいこと悪いことがあり、この問題に答えはないのかもしれない。しかし、出生前診断を行うことは生命を選別しているように感じられるので、私は出生前診断に反対だ。(教育学部)
・わたしは反対です。診断を受けた後にどうするかにもよりますが…おそらく、病気の状態で生まれてくるから出産の時に細心の注意を払おう、病気の専門医がいるところで出産しよう、ということにはならず、ほとんどの場合は産むか産まないのかという考えになってしまうと思います。病気だから、という理由で命を絶ってしまうのは賛成できません。生まれても病気で辛い思いをするなら生まれないほうが…という考えも分からなくはありませんが…難しいです。(文学部)
・難しい判断だと思うけれど、自分は反対です。医療技術の発達で出生前に診断出来るようになったことは素晴らしいことだけれど、それにより、もし、自分の子供が治療法が確立されていない遺伝病を患えてることがわかると、その子を産まなかったりというような問題が必ず起こると思います。確かに医療費もかかるし大変だとは思うけれど、同じ人の命なのだから産んで大切に育てなければならいと思います。産まない権利は実際私たちにはありません。だから出生前に診断し、産まないというような問題を無くすためにも、出生前診断には反対です。(教育学部)
・治療法が確立されてない遺伝病の出生前の発見は反対である。人間として入ってはいけないところであるからだ。倫理としてそれはだめだと思うのだ。でもお腹の子のためにはどちらがいいとはっきりとは言えない。
(教育学部)
・私は、治療法が確立されていない遺伝病の出生前診断には法律で胎児が人間と認められる前は、出生前診断をするのはいいと思うが、胎児が人間と認められるまで育った場合は、胎児をおろすべきではないと思うので、するべきではないと思う。(工学部)
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