2007年度 レポート第2回 回答集
熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2008年 1月29日更新
2007年度 最前線の生命科学C レポ−ト第2回(2007年10月 11日実施)回答集
[ テーマ ]『被ばく治療83日間の記録 〜東海村
臨界事故〜』を見て考えたこと
[ 回答 ](全29人)
・とてもためになるビデオでした。事故自体は予想も出来ないことでしかたないことかもしれないが、ウラン濃縮の作業は人がしなければならないことなのか? とも思いました。放射線により入院し最後まで苦しんだ大内さんも、それからの放射線に対抗できる医療が発達するきっかけになったと思います。
今の生命科学はどこまで治すことが出来るのでしょう? (工学部)
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今回お見せしたビデオは、2001年5月13日に放送されたNHKのテレビ放送を録画した物です。事故そのものは1999年9月30日に起きています。講義中に10数年前の事故と間違ったことを言いましたが、まだ8年しか経っていません。また、今でも治療は困難だと思います。 (コメントby 荒木)
・今回のビデオを見て考えさせられたことは、放射能により染色体が破壊及び変形されることによってその細胞の生命活動が停止し健康な肉体を保てなくなるのは恐ろしいと思った。現段階では被爆者を元々の健康な状態に戻すほどの治療法は確立していないので生命科学の発達により打開策を見つけてほしい。また放射性物質を扱うときは最大限の注意を払わなければならない。 (工学部)
・放射線の細胞に対する影響の大きさを知った。人間は放射線により細胞が破壊されると二度と再生できないことを知り,ある意味人間は脆い生き物なんだと感じた。
また、あのような事故が原発の外で起こったことに納得が出来ませんでした。危険な事故が起こる可能性がある以上、それ相応の説明や対策をとるべきであると思いました。 (工学部)
・今日は『被爆治療83日間の記録〜東海村臨界事故〜』のビデオを見ました。このビデオに出てきた臨界が起きて放射により染色体が破壊されるというのは以前に何か別のもので少しだけ知っていた。どのような症状があるかというのは知らなかったがビデオを見て新しい皮膚が出来ない事から激痛が走ることなどを知りました。想像しているよりももっときついものだと思います。日にちが進むにつれて病状がひどくなっていく様子があり、放射線による被爆の恐怖を感じました。
まだ世界には治療方法が見つかっていない病気が放射被爆の他にも自分が知らないだけでまだいろいろあると思います。医療は以前に比べると確実進歩しています。けれど全ての病気を治せるというわけではありません。これから先にも医療の進化を期待したいです。 (工学部)
・私はこれから医療に携わっていく者の一人として、死ぬことの分かっている患者をどう助けていくか、その時の気持ちをどう整理するべきかについて考えました。しかし今回は私たちの体と遺伝子の関係について書こうと思います。
被爆した大内さんは最初は火傷した程度で外見はそこまで変わっていなかったのに、後から体がボロボロになってしまいました。放射線によってあれほど染色体が破壊されるとは考えたこともなく、アミノ酸を指定しタンパク質を決め最終的には体を作っていく遺伝子の重要性を認識しました。遺伝子は塩基の連続というとても微細なコードに刻まれており、生命の発生や生存にとってなくてはならないのにとてももろいです。それほど大切なものがもっと強固であれば大内さんは悲劇に遭わなくてすんだのかもしれません。しかしこのもろさがあるからこそ生命の多様性が生まれるのだと思います。今まで何十億年もの間遺伝子の機構は変わらなかったのだから、人間は短期間で作り上げた放射能などの人工物にもっと恐れを持って扱う必要があるのではないでしょうか? (医学部)
・今日の授業は衝撃的だった。この事件があったことは小さい頃に聞いたことがあったが、被害者がこんなに苦しんでいたことは全く知らなかった。医学的には細胞の染色体がこんなにも大事なものだと思い知らされた。染色体についてもっと知りたいと思った。 (工学部)
・今回の講義では被爆の恐ろしさを知りました。患者さんは亡くなってしまいましたがこれからの医療ではこのようなことがないようにして欲しいと思った。 (工学部)
・ビデオを見て、放射能の恐ろしさについて改めて実感した。細胞の染色体を破壊されることで、新しい細胞が作られなり、人体にさまざまな影響が起こりうることを知りました。被爆した人にどんな事態が起こるかということが、ビデオを見てわかった気がします。この経験をいかし、二度とこんなことが起こらないようにしなければならないと思いました。また被爆者に対する医療の研究がより進んでいき、最終的には治療が可能になることを願います。そのためにもゲノム科学の進歩も欠かせないと思います。
また日本では事件が起きたときだけ少し報道されただけということが少し悲しい感じがした。現在日本にも原子力発電所が増えているが、その原発にも関わるような事件がまったく報道されていないことが、国がなるべく国民に原発に対する不安を持たないように操作している気がする。もっとこのビデオをいろいろな人に見てもらいたいと思いました。 (教育学部)
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もう見られたかも知れませんが、次のようなホームページを見つけましたので、転記します。
興味があればご覧下さい。
・青い光は警告する! 東海村臨界事故をふりかえり、私たちと「原子力」の関わりを考える
[http://www5a.biglobe.ne.jp/~kokokoko/]
・東海村JOC臨界事故
[http://www.nuketext.org/jco.html#Anchor-3800]
(コメントby 荒木)
・「治療83日間の記録 〜東海村臨界事故〜」を見て考えたこと
1.多量の放射線を浴びた体は死にいたる。現在の医学では治療ができない。
長崎、広島の被爆者は同様の苦しみを受け死んでいった。原爆の悲惨さを改めて知った。
2.放射線を浴びた染色体は破壊される。そのため蛋白質は破壊、皮膚細胞の再生を妨げる。
白血球の減少を起こす。やがてほとんどの臓器破壊へと進展し、死亡。
染色体が生命を構成する不思議な物質であることがよく理解できました。
3.「染色体を構成するよりミクロな物質は存在するのだろうか」と疑問が湧きます。
4.大内さんの体はほとんどが破壊されたが、心臓の筋肉だけは破壊されずにいた。
その後の研究はどのようになったのだろうか。 (生涯学習)
・今日のビデオを見て思ったことは、放射能を被爆するとあそこまで人の体がボロボロになるとは思っていなかった。もし、自分の身近な人があのように被爆して、どんどん悪化して話すこともできなくなっていったら自分には耐えられないと思った。この話は命の価値についても関わってくる内容だと思った。苦しみながらも少しでも長く生きた方がいいのか、それとも痛みなどをなくす薬などを投与して楽にさせてあげた方がいいのか、とても考えさせられる話だった。 (工学部)
・放射線が体に害を与えることは知っていたが、実際にどの様な経過をたどるのかまでは知らなかった。人間の染色体を破壊することにより、細胞の再生ができずやがては死に至るといった大変恐ろしい経過をビデオで学んだ。放射線は目に見えないだけあって、いつ浴びたかも分からないといった事態にもなりかねない。したがって、放射線を扱う労働者には十分な教育が必要だということを実感した。
また、ビデオの中で驚いたことは、心筋だけは放射線の影響を受けていなかったことである。放射線を浴びただけで変調を来す人間の体は弱いと感じていたが、この心筋の話を聞き人間は、やはり最後まで生きようとする力を持っているんだなと強く感じた。 (医学部)
・放射線の恐ろしさを改めて実感しました。日本は唯一原爆をおとされた国なので、その経験をいかして被爆者に対する治療法を見つけれればいいなと思いました。 (工学部)
・私は、この番組を見て、率直な感想として、すごくショッキングでした。
まず、被爆することについて、始めは看護師さん達がおっしゃっていた、「大内さんは退院できるんじゃないかと思った」という言葉どおり、被爆してもたいしたことないんじゃないか、と被爆の怖さを甘く見ていました。よく、原発の建設に反対する声をテレビ等で聞いたりはしていたのですが、何故そこまで反対するのか、よくわかりませんでした。しかしながら、放射能が染色体レベルでそれを傷つけ、人体に重大な影響を及ぼすことを今回の講義の中で知って、被爆するということは、本当に恐ろしいことだと思いました。そしてそのような恐ろしい物質を、その危険性を知らない人に扱わせたことにすごく疑問を感じました。
次に、最も印象的だったのが「機会と薬に支えられて生きていた」、「"モノ"を相手にしているようなかんじ」という部分で、私は大内さんが、そんな状態で、一人のヒトとして生きているといえるのか疑問に思いました。体から出ていく水分を補給し、皮膚をつけ、輸血する日々は本当に想像を絶するものだったと思います。
そんな日々の中、あそこまでやってこれたのはご家族が希望を捨てなかったから、と医師の方はおっしゃっていましたが、それを聞きながらつくづく医療の限界を感じました。しかし、手紙に書いてあったように、二度とこのような事故が起こらないようにしていかなければならないし、現段階では治療不能な病気を治療出来るようにするために、更なる医学の発展を期待したい、自分もそれに少しでも貢献したいと思いました。 (医学部)
・今回のビデオを見て、放射線は恐ろしいものだということを改めて感じさせられました。放射線によって染色体を破壊され、皮膚がはがれても再生できず、血液や体液が体から次から次へとしみだし、失った分を輸血で取り込むことの繰り返し。私は最近足の爪をはいでしまったのですが、ただそれだけでも十分痛いかったで す。そんな感じの状態が全身に、しかも治ることなく毎日続くと思うと身の毛がよだちます。
原子力は現代の生活にとって切りすてられるものではありません。ゆえに、大内さんのように苦しんで死んでいく人を二度と出さないためにも、安全に徹した操業をおこない、万が一、同様の事態になったときのために、染色体の再生を可能とするところまで遺伝子治療が進歩することを切に願います。 (工学部)
・被ばくと聞いてまず広島、長崎の原爆を思った。人間が化学を武器として使い多くの人々を苦しみ悲しみ嘆きの底におとしたひさんな戦争。どんなに苦しみが強かったのかビデオをみて心が苦しくなった。どんなものも使うほうの人間によって善にもなれば悪にもなる。目に見えない放射線が人の細胞まで壊していくのには驚いた。見えないだけに一層恐さを感じる。しかしどんな時でも人は諦めずその人を助けたい、生命を守りたいと願い努力し続ける、その願いの大きな力にゲノムの研究が必要となると思う。 (生涯学習)
・ビデオを見て改めて感じたことは、被爆の恐ろしさです。被爆してもすぐには症状が出ずに、徐々に体に異常が見られ衰退していきます。本人はもちろん、見守る家族や治療に携わる人々には本当に長く苦しい日が続きました。最期まで諦めなかった家族の熱い気持ちに強く胸が痛みました。体のほとんどが被爆し、染色体が破壊されていたにも関わらず、心臓だけは無事であったのは、生き続けようとする強い思いがあったからだと思います。このビデオを見て、命の大切さが改めて、身に沁みました。 (工学部)
・このビデオを見て放射線はとても危険だなと感じた。しかし今日、放射線を使った施設が増えている。だから放射線を使用するときは安全性を考慮して使用していく必要があると考える。 (工学部)
・今まで放射能は危険だという曖昧な認識しかなく、人体に及ぼす影響を考えたことがなかったことに気付いた。今回ビデオを見て放射能に侵されると染色体の破壊により新たな細胞を作れなくなるということを知った。さまざまな治療を行っても治らないというつらい現実も知った。ただ被爆者の体がぼろぼろになっても心臓の筋肉だけは影響を受けていなかったことに何かしら特別なことがあるのだと思った。 (医学部)
・放射能を一瞬浴びただけなのに染色体が明らかに普通の人と異なっていることに驚き、強い衝撃を受けた。それに、大量の放射能を浴びたことで人の体が破壊されていく様子を見て、放射線は量を間違えると本当に恐ろしいものだと思った。確かに原子力発電は必要なものなのかもしれないけれど、作り出して本当によかったのだろうかと思わず考えてしまった。もちろん私たちの生活の向上のためであったり、困っていたり苦しんでいる人のために研究や技術開発を行うのだと思うし、今までの研究や技術のおかげで私たちは生きていられるから、それらを否定するつもりは全然ないけれど、その後起こることをよく考えたり、それが本当に必要かどうか私たち自身も考える必要があるのではないかと思った。 (医学部)
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「その後起こることをよく考えたり、それが本当に必要かどうか私たち自身も考える必要がある」という意見に賛同します。 (コメントby 荒木)
・今週の講義を受けて、さらに放射線について深く考えるようになった。私は放射線専攻の学生で、将来は放射線を用いた医療行為をすることになると思います。現代の医療検査のほとんどは放射線を用いた医療機器に依存しています。放射線は今の社会には欠かせないものです。今から放射線に関わっていく中で、私もその危険性と必要性を考えていかなければならないと思いました。 (医学部)
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立派なレポートだと思います。 (コメントby 荒木)
・今回の講義を受けてみてわかったことは、人間にとって染色体がいかに大切なものであるかということです。また、放射線は医療現場においてつかわれているが、一歩間違えればすごく恐ろしいことになるのだとわかり、今の自分にとって考え方の変わる講義でした。 (医学部)
・今回被爆者のビデオを見て、とても驚きました。大量の放射能をあびると人体に大きな影響を与えるということはしっていましたが、どうしてそのような症状がでるというところまで知りませんでした。人の体は細胞によって作られ、細胞の機能を失うと大変なことになるということを実感しました。 (工学部)
・放射線はあらためておそろしいものだと思いました。そして、遺伝子は体の設計図だということもよくわかりました。 (医学部)
・この種の報道に接しますと、どうしても「原子力」「核」への思考に傾きます。今回も、このビデオを見てそれこそ「放射」的にパソコンの原発関連サイトへ移行し、本件事故関係、原発の基礎講座、原発現場設備関係技術者の平井憲夫氏、など一覧することとなってしまいましたが、あらためてその究極的危険性を確認することができました。
ビデオでも被曝による染色体の破壊は現代医学では対応できない、破滅的被害であるとのことでしたが、科学、文明の発達とその活用には、常に負の側面がある、人間生活に画期的な進歩と便利さをもたらすと同時に、破滅的危険性も包含していることを肝に銘じておかねばと思うものです。
ゴア氏のノーベル平和賞受賞を機に、また一段と注目される、地球温暖化問題も、生命、種の生存への脅威として待ったなしの課題だと思います。 (生涯学習)
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前回に引き続き、素晴らしいレポートだと思います。ゴア氏のノーベル平和賞受賞は、本当に
良かったと思います。私も、映画は見ていませんが、「不都合な真実」の本は読んだことがありま
す。今回の受賞で、アメリカが少しでも変われば良いのですが。 (コメントby 荒木)
・放射線にあたったDNAが壊れる仕組みをもっと詳しく知りたいと思った。ちぎれたり他の部分とくっついたりする様子や原理も知りたい。 (工学部)
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この事故で問題になったのは中性子線です。「中性子爆弾」という言葉を知っていますか? 中
性子爆弾というのは、放射線を浴びた人間(生物)への殺傷能力だけを高めた大量破壊兵器で、
核爆発の際のエネルギー放出において中性子の割合を高めたものです。人だけ殺して建物は壊れ
ない新型爆弾として「きれいな核兵器」と言う人もいます。東海村臨界事故は、小型の中性子爆
弾が地上で爆発したようなものです。 (コメントby 荒木)
・多量の放射線が人体に及ぼす危険性のメカニズムを詳しく知ることが出来た。染色体が破壊されることで再生能力が失われその結果死に至る過程を知ることで、逆に染色体や各器官の役割が分かった。治療過程での細かな成功と失敗は、放射線被害者のみならず先天的に血液や器官・遺伝情報に欠陥のある患者の治療や放射線による癌などの疾患の治療の進展に役立てられるのではないかと思う。
ビデオの内容は悲惨な場面もあり、こういった過失による被害者が出ないことが一番だと思ったが、遺族の言葉にもあったようにこの治療によって得られた情報や成果を同じように苦しむ人の治療に少しでも役立ててほしい。
またこの講義の内容には沿わないと思うが、工学部生の観点として、このような事故が起きないように又は事故が起こったとしても人を守れるように、原子力装置とその取り扱いに関する安全性の向上や放射線を遮断・軽減する防護膜、放射線を中和する技術の開発を進めたり、できるだけ原子力に頼らない体制をつくり上げることが必要だと思った。 (工学部)
・原子力のように人間の生活に大きな利益を与えるものは、それ相応のデメリットが存在する場合がほとんどです。そのデメリットさえも最先端の技術でカバーしていくべきなのか、または、生活水準をさげ、我慢していくべきなのか、真剣に考えなければならないと思う。 (理学部)
・当時、ニュースではどのくらいの被害だったのか、そもそも事故はどのように起こったのかなど、多分放送されていたとは思うけど、私は当時、あまりよく分からなかったと思います。ただ、原子力に関することだから印象には深く残っていました。今回のビデオを見て、原発の安全性、放射能の危険性を改めて認識しました。放射能を浴びた男性は細胞が死んでいき、本当に苦しんで最期を迎えられたと思います。このように原発事故は恐ろしいものだと思いました。起こってしまったことは後悔しても仕方ないのだから、しっかり、原因をとらえて、今後、このようなことが起きないようにすべきですが、今年に入って、地震の影響はわかりませんが、原発でまた問題が起きました。原発によって私達は大変な恩恵を受けていますが、こういった危険性を忘れてはいけないと思いました。 (医学部)
・私は被爆の恐ろしさを知っているつもりでいた。第二次世界大戦では原子力爆弾の投下により被爆が起き、多くの人が苦しんでいたということを歴史で学んだ。しかし、その恐ろしさや苦しみは分かっていなかったということを、このビデオを見て気付かされた。被爆者に対する有効な治療法は確立されておらず、身体機能が低下していくことに向き合うのは悲痛なものであると感じた。私自身、看護について学んでいるため「自分にどんな介護ができるのだろうか」と考えた時、必要な看護をできる自身がないと感じた。また、血液や染色体は被爆したのに、心筋には影響が少なかったことが、意外であった。このことについて、もっと詳しく学んでいきたいと思う。 (工学部)
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