2007年度 レポート第5回 回答集
熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2008年 1月27日更新
2007年度 最前線の生命科学C レポ−ト第5回(2007年11月 15日実施)回答集
[ 回答 ](全28人)
今回、「PCRの原理」を説明しました。テキストを見ながら、以下の質問に答えて下さい。選択肢があるものに関しては、適当なものを○で囲んで下さい。
1)DNAは5’→→→→→3’という方向性を持った鎖が、逆向きに2本結合して、2重らせんを形成しています。この2本の鎖の結合は水素結合に基づいており、相補的塩基対と呼ばれています。2本鎖DNAを94℃に加熱すると、水素結合が切れて1本鎖になります。ここは理解できますか?
[よく分かる16人・少し分かる9人・よく分からない0人・全く分からない3人]
2)プライマ−と呼ばれる短い1本鎖DNAは、温度を55℃に下げると、変性して1本鎖になった鋳型の相補的な部分に結合(アニ−リング)します。増幅したい部分の外側(両端)にセンスプライマ−とアンチセンスプライマ−を設定します。ここは理解できますか?
[よく分かる13人・少し分かる11人・よく分からない4人・全く分からない0人]
3)温度72℃の条件で、DNAポリメラ−ゼは、2本の1本鎖DNAを鋳型として、それぞれ5’→3’の方向へ新しいDNA鎖を合成していきます。その結果、プライマ−の位置から始まる部分的2本鎖DNAが2本出来ます。ここは理解できますか?
[よく分かる15人・少し分かる9人・よく分からない4人・全く分からない0人]
4)再び94℃に加熱すると、2本鎖DNA2本は1本鎖DNA4本になります。ここは理解できますか?
[よく分かる18人・少し分かる7人・よく分からない3人・全く分からない0人]
5)さらに55℃、72℃と温度を変化させると、1サイクル目に合成された鎖が鋳型になった場合は、センスプライマ−からアンチセンスプライマ−までの長さだけ、新たな鎖が合成されます。つまり、2サイクル目に新たに合成された鎖の中には、目的とするDNA断片が出来たことになります。ここは理解 できますか?
[よく分かる11人・少し分かる9人・よく分からない7人・全く分からない0人・無記入1人]
6)このサイクルをN回繰り返すと2N倍に増幅されることになります。つまり、2サイクルで4倍、3サイクルで8倍、10サイクルで約千倍、20サイクルで約百万倍に増えます。ここは理解できますか?
[よく分かる20人・少し分かる7人・よく分からない1人・全く分からない0人]
7)あなたは、この講義で、PCRの原理を理解できたと思いますか?
[理解できた10人・少し判った様な気がする17人・よく判らない1人・全く判らない0人]
8)PCR法の普及によって、ごく微量のDNAからもDNA増幅が可能になったので、従来は考えられなかった「生物遺体」からDNA試料を得て解析できる様になりました。このような試料をその古さにかかわらず「古代DNA(ancient DNA)」と呼びます。さて、もしあなたが生物学者(あるいは、考古学者、人類学者、天文学者、文学者、経済学者、・・・)だったら、PCR技術を用いて何を解析したいですか?
・昔の人間のDNAを解析して調べたい。 (工学部)
・ニホンオオカミのDNAを調べたい。 (工学部)
・深海に住む生物のDNAを調べてみたい。 (生涯学習)
・保存状態の良いマンモスなど、DNAを調べて、進化の歴史を調べたい。 (医学部)
・恐竜の化石などを調べて、小型の恐竜を復活させてみたい。 (工学部)
・PCR技術を用いてDNAの解析を行うなら、やはり既に絶滅した生物のDNAを解析したいと思います。どうせなら恐竜などを調べてみたいですが、化石になってしまってもDNAはとれるのでしょうか? (工学部)
・琥珀の中で固まっている蚊を見つけ、その蚊が吸った血の持ち主がどんな生物であるかどうかを解析したい。 (工学部)
・犯罪捜査で行われるDNA鑑定はPCR法を用いているのだなあと思った。また、してはいけない事だと思うけれど、絶滅してしまった動物をよみがえらせてみたい。 (医学部)
・もし可能であるならば、絶滅したと言われる生物のDNAを解析して、どの時代まで生き続け、そして絶滅してしまった要因は何なのかを調べてみたいなと思います。生物の絶滅には、おそらく環境の変化が大きく関わっているのではないかと思うため、その環境問題の解析にもつなげられれば、と思います。 (医学部)
・恐竜のDNAの解析。琥珀の虫の体内の血とかで恐竜の血液がある可能性があるとか聞いたことがあるので、それからDNAを解析して、恐竜のクローンとか見てみたいです。 (医学部)
・エジプトのミイラ(ツタンカーメン等)を解析してみたいと思いました。 (医学部)
・恐竜のDNA 。 (工学部)
・ニホンオオカミ。 (教育学部)
・人類についてまだ分かっていない部分を解析したい。 (工学部)
・今まで生きた中で功績を残した人々のDNAをPCRを使って調べて、他の人々とほとんど変わらないのかを知りたい。 (工学部)
・恐竜などの人間が誕生する前の生物の色などを知りたい。 (工学部)
・いわゆるブラックマンデーの時、かかわった重要な人物の遺伝子から読めるもの。共通の因子は何かあるのか? (生涯学習)
・マンモスと象のDNAの配列の違いとか…。実際に、PCR法で今日生涯学習の方が質問されたような事をすぐに答えられないので、PCR法はわかっておりません。けれど、今は知らないことが多すぎるので概要と一通り理解したあとで、どうしてそうなるかを考えようと思います。 (医学部)
・天文学者だったら、宇宙からの隕石に付着しているかもしれない生物の遺伝情報。経済学者、文学者だったら、日本人のDNA。生物学者だったら、放射線のあて方によるDNAの変化。考古学者だったら、ゴキブリのDNAの変化。 (医学部)
・DNAが進化とともにどのようにかわっていったのか、ということ。 (医学部)
・人間の各臓器から細胞を採取したり、ES細胞を用いて、移植のための臓器を作るために、DNA試料を解析したいと思います。 (医学部)
・古代DNAを解析し、現代の生物を比較したりして、生物の進化の道などを解析したい。また、絶滅してしまった動物などのDNAを解析し、バイオテクノロジーによって何かの生物にそのDNAを組み込めば、新たな環境に適応できるようになったり、医療に役に立つかもしれない。 (大腸菌でインスリンを増やすみたいに…。) (理学部)
・アインシュタインの頭脳のしくみ、恐竜の体のしくみ(あの大きな体を支えていた骨や筋肉はすごく頑丈だと思う。)、火星には昔生物が存在していた可能性があると聞いたことがあるので、もし、その化石の断片などが見つかったら、どんな生物か知りたい。 (工学部)
・アインシュタインのDNA。どうしてあんなに頭が良かったのか、普通の人のDNAとどういった所が違ったのか調べてみたい。 (工学部)
・イカの先祖のDNAが知りたい。 (工学部)
・古代生物を解析したい。 (工学部)
・歴史上のDNAを解析してみたい。 (工学部)
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