2008年度 レポート第8回 回答集
熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2009年10月29日更新
2008年度 最前線の生命科学C レポ−ト第8回(2008年11月13日実施)回答集
[テーマ]遺伝子検査ビジネスについて
[ 回答 ](全36人)
・私は、将来的に遺伝子を検査し、それをビジネスとして行っていく、ということはあって良いと思いますが、現段階で存在するような詐欺まがいの遺伝子検査ビジネスは、許されるものではないと思います。
遺伝子の構造と病気との関係の全容は、まだまだ解明されてはおらず、今も研究中であるのに、消費者の遺伝子に関する無知を利用して、お金を儲けようとする行為は非常に悪どいと言えます。
そもそも遺伝子の情報というのはとても大切な個人情報です。この情報が漏れたら、その人が大きな損害を被ることも十分考えられるでしょう。
ですから、このようなビジネス行っていくのであれば、まず第一に遺伝子構造のより正確な解明、そして確かな検査技術の普及、また、一般的な人たちの遺伝子に正しい遺伝子の知識を教えるような教育や、個人情報である遺伝子の扱い方などをきっちりと定めた法律の制定、が少なくとも必要であると考えられます。
詐欺のような遺伝子検査を行う企業にはとても腹が立ちますが、このような土台ができあがり、正しく安全な遺伝子検査ビジネスが普及すれば、人々の健康の向上につながるのではないかと思います。 (医学部)
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私も日経サイエンスに紹介してあるアメリカの例は明らかに詐欺だと思いますし、日本で同様な事が行われていないか検査する必要があると思います。 (コメントby 荒木)
・今までのテーマの中で一番関心を持ちました。国や医療機関に先駆けて、民間の企業が遺伝子を金儲けに利用しようとしていると初めて知りました。個人のDNA情報の悪用を防ぐために法で規制することが急務だと思われます。
外国人の指紋登録が問題となりましたが、DNAを登録しろと国から命令されたとき、国民はどう反応するでしょうか。指紋と違ってオーダーメイド医療などのメリットもありますが、指紋と同じように国が国民を管理する道具ともなり得ます。
既に格差が問題となっている今の日本社会ですが、これがDNAレベルで進んでいく可能性を考えると恐ろしいですね。 (医学部)
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『DNAを登録しろと国から命令されたとき、国民はどう反応する』かというのは、非常に重要な問題ですね。遺伝子に関する正しい知識が普及しないまま、そういう制度だけが先行する可能性も無いとは言えません。 (コメントby 荒木)
・遺伝子検査ビジネスは金の成る木ではありますが、最も重要な個人情報である遺伝子の管理体制が不十分な現状では自粛する必要があると思います。遺伝子を検査して効果が期待できるものはまだまだ実験段階にあるわけで、すぐに実用化できるわけではありません。そのような事実や検査の知識を知らない一般人が、インターネットで知り得た遺伝子検査サイトを利用すると、騙される可能性も高くなるわけです。遺伝子検査は利潤を追求する個人企業(製薬会社と結びつきやすい)に任せるのではなく、政府機関が慎重に行う方が現状では好ましいと思います。 (医学部)
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良く書けていると思います。 (コメントby 荒木)
・遺伝子検査ビジネスは高度な技術を要するものであり人類にとっても未だ完全なものとはなってはいないが、非常に貴重なものとなるかもしれない。しかし、高度で貴重な技術となるものほどリスクも大きくなってくるものである。そのようなときに必要になってくるものがその事柄に対する己の知識であると思う。遺伝子検査ビジネスは単に己の遺伝子を理解できるという風に考えれば、実に有効的なものに見えてくるだろう。しかし、この技術は生物としての領域を超しているているものという生命倫理の観点や検査を行った己の体の情報というものが悪用されるかもしれないという個人情報の観点などのリスクが伴っているということを忘れてはいけないと思われる。そのようなリスクを取り除くためにもその事柄に対しての知識をもつことが非常に重要ではないだろうか? 知識をもつことで初めてそのことに対して触れることのできる権利が与えられるものだと思う。 (薬学部)
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『知識をもつことで初めてそのことに対して触れることのできる権利が与えられる』という考え方は、正しいのかも知れませんが、少しエリート意識が混ざっている気もします。う〜ん。難しいですね。 (コメントby 荒木)
・遺伝子検査がネット上ではビジネス化されはじめていることを初めて知った。ゲノム科学の発展が進んでいる現代では確かに、個人に利益のあるサービスができ得るはずである。しかしまだ私たちの生活にゲノム科学はなじみが薄い。遺伝子についての知識も、多くの人にとって曖昧であり、サービスが有益か無益かなどを判断する基準も持てないはずである。マスメディアにより遺伝子検査ビジネスの問題点や利点などが十分に報じられた上で、個人がサービスを正しく判断し選択できるようになることが一番重要であるように思う。 (薬学部)
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立派なレポートだと思います。 (コメントby 荒木)
・人間の塩基配列の99.9%が他人と同じで、残りの0.1%が「多型」といって個人個人異なることを知った。しかしその0.1%が数百塩基に1ヶ所、ヒトゲノム全体ならば千万ヶ所もあると考えると驚いた。塩基はまだまだいろいろな組み合わせが考えられるのでいろいろな生物の生息の可能性が考えられるのではないか。ワーファリンが米国人では10〜15mg投与されるのに対し、日本人には1〜10mgということにも驚いた。人種は見た目の違いや身体能力や文化だけでなく、意外にたくさん遺伝子的なものから異なっているんだなぁ。薬の副作用や食品の成分は、体の弱い人や別の病気を患っている人にとってはとても影響すると思うので、オーダーメイド医療は今後、開発不可欠な重要な分野になるだろう。 (教育学部)
・遺伝子検査があまりいい風に活用されていないのが残念でしかたない。オーダーメムド医療のために遺伝子検査が行われるのはおおいに賛成であるが、あまり正確でない方法で遺伝子検査をして高価なサプリメントを販売しているのはもちろん反対だ。だから、さっさと正確性に欠けているビジネスを禁止する法律をつくるべきだと思った。 (医学部)
・悪徳な遺伝子検査ビジネスに騙されないためにも、遺伝医学の十分な知識を持たずに安易に利用してはいけないと思った。 (薬学部)
・私は遺伝子検査ビジネスをやること自体は良いことだと思う。遺伝子検査を行うことで様々なことがわかり、病気などにかかりにくくすることができるなら、それはすばらしいことである。しかし、遺伝子検査を悪用するビジネスだけは絶対にしてはいけない。遺伝子による情報は正確、という考えから多くの人が遺伝子検査の結果は正確であると考えるだろう。それだけに遺伝子検査ビジネスは悪用しやすいビジネスである。だからこそ、遺伝子を扱う人はきちんとしたモラルをもって、正確な情報を利用者に提供すべきである。きちんとした情報を提供できるならば、遺伝子検査ビジネスは非常に良いビジネスであると思う。 (工学部)
・遺伝子検査の結果に基づいて個々の患者に合わせた食事内容や運動プログラムを推奨しようというのが遺伝子検査ビジネスの本来の目的である。しかし、オーダーメイド医療が完全には実現されていない今、このビジネスはまだ実現できる段階ではない。したがって、この検査ビジネスが現在行われていること自体に疑問を呈する。
また、これとは別に問題となるのは、このビジネスに乗っかった悪徳な企業の存在である。不当に高価なサプリメントを売りつけようとしている企業もあると聞いている。これらの悪徳企業のせいで遺伝子検査に対する負のイメージがはびこり、オーダーメイド医療の実現が遅れることはゆゆしき事態である。遺伝子検査の標準化を進め、妥当な検査ビジネスのみが普及できるように対策を立てなければならない。 (医学部)
・遺伝子検査ビジネスは今のところ確立されていないということで,出回ってることはよくないことと思う。しかし,遺伝子検査という点において,解析に成功すれば多くの病気の原因追究や予防に役立つはずである。研究者が苦労していることはわかるが,科学技術発展のためにも解析に成功することを期待したい。 (薬学部)
・私としては遺伝子検査ビジネスが真っ当な商売として定着することは人々のQOLの向上につながると思う。一方で詐欺まがいの遺伝子検査ビジネスが横行したあげく、消費者が遺伝子検査という技術自体に胡散臭さを感じるようになってしまい、真に遺伝子検査を必要とする人が技術の恩恵を受けられなくなってしまう恐れがあるとも思う。それでは技術の発達に尽力した人たちがあまりにも可哀そうだ。発達した技術を殺してしまうことは、その技術の更なる発展を阻害し、その先で救われるはずだった人々を苦しめることにもなるだろう。
それでは、遺伝子検査ビジネスが胡散臭いものでなくなるためにどうすればよいかということだが、私は日本人類遺伝学会の提言が至極まともなものだと思う。早急に4つの提言が受け入れられ、詐欺まがいの商法がなくなることを祈る。 (医学部)
・このような遺伝子検査ビジネスは使い方を誤ってしまうと完全なる個人情報の流出となってしまいます。プライバシーが重要視される世の中なので正しい使い方で使われる事が大事であると思います。使ってはいけない薬や量が分かってしまうので犯罪に使われる可能性だって否定出来ません。科学の発展と犯罪はある意味隣り合わせであると私は思います。 (工学部)
・遺伝子検査ビジネスは、個々に合わせた食事内容などを推奨できるようになる、素晴らしい試みだと思う。しかし、利益を追求して、こんなにも不正行為がなされているなんて知らなかった。これでは、遺伝子検査ビジネスに対する不信感などが高まり、良い部分が隠されてしまうと思う。様々な面で、私たちが不利益になるような不正行為は本当にやめてほしい。 (薬学部)
・遺伝子検査ビジネスに関して、私たちがどうしたらだまされないかを考えたほうがいいと思いました。ビジネスとして世に出回っている以上、私たちはそれを真実なのか、それとも違うのかを自分たち自身で判断しなければなりません。マスコミや業者の情報に流されず、ちゃんと自分で見極められる力を養いたいと思います。 (薬学部)
・私は遺伝子検査ビジネスには、明確な基準が必要だと思いました。栄養遺伝検査は医学的根拠が少ないなどといった問題も多数あると思います。しかし、将来、栄養遺伝検査の精度が上がった時にどこまでが医療行為なのか明確に定めていなければならないと思いました。 (薬学部)
・遺伝子検査でその人にあった薬や治療を行うことができるようになればいいのにと思っていたのですが、今回の講義で出てきたある会社の遺伝子検査による悪徳商法のようなことが実際に起こっていると考えると、遺伝子検査も信用できるものだけではないと思わざるをえません。 (工学部)
・私は基本的には賛成です。遺伝子検査をすることによってペンレッド症候群など様々な病気に効果があるからです。しかし,授業でもあったように間違った使い方をされる事も多いと思うので,とても注意をする必要があると思います。 (文学部)
・この商法は立派な詐欺行為だ。足利事件の時もDNA鑑定がきちんと行われていなかったがDNA鑑定の結果は無実の菅家さんを有罪とする大きな要因となってしまった。一般的に、DNAや遺伝子前提の話は、疑われることなく鵜呑みにされる傾向があると思う。それだけ信憑性がある技術だからだ。よって、この分野に携わる人はきちんと責任をもって正しく鑑定し、確かな情報のみを伝える努力をしてもらいたい。今回のように最先端の科学を利用して詐欺を行うなどもってのほかだ。消費者側もこのような商法が存在するということを心にとめて、気をつけなければならないと思う。 (教育学部)
・現在では遺伝子検査はまだ研究段階で、オーダーメイド医療の実用化にはまだ程遠い。それにも関らず、遺伝子検査ビジネスが行われている。中には「遺伝子検査」という言葉を利用し患者をだましているようなものもある。このままでは、遺伝子検査そのものの信頼がなくなってしまう。遺伝子検査技術による、オーダーメイド医療は、いずれは多くの患者にとって大きな助けとなると私は思う。だからこそ、遺伝子検査ビジネスに対してもっと法的規制などを行って、もっと厳しく取り締まるべきだと思う。 (工学部)
・遺伝子検査のおかげで患者の一人一人に合った医療ができるようになったら、それはすごいことだと思います。しかし、消費者の不安を煽ってサプリメントを売り付ける詐欺まがいの行為などが続けられると、ちゃんとした検査で得られた結果に患者さんは信頼できなくなるのではないかと思います。 (教育学部)
・私は遺伝子検査ビジネスは必要ないと思います。遺伝子検査は画期的なことなので人々が注目するのを利用して、確実でもないのにビジネスにするのは間違っていると思います。 (教育学部)
・私は初めこの事を聞いたとき民間で簡単に遺伝子検査できれのかと驚きましたが、話を聞くとどこまできちんと検査しているのかもわからずその結果もあたりさわりのないものではないかと感じました。 (工学部)
・私は遺伝子検査ビジネスには反対です。仮に検査が実施されたとして、複雑な遺伝子検査の結果を適切かつ正確に消費者に伝えられるのか、そこに疑問が残るからです。加えて遺伝学的知識を持ち合わせていない消費者が大半を占めるので、そこに付け込んだ良心的でないビジネスが氾濫してしまうのでは、という危惧もあります。遺伝子検査をビジネスとして成り立たせるには、国を挙げてしっかりとした体制作り、法整備を行う必要があると思います。 (工学部)
・遺伝子検査ビジネスはあんまりあてにならないし、健康を気にしすぎて食べたいものが食べられなかったり、やりたいことができなかったりするのは生きがいが減ることになると思うのであまり良くないと思います。ただ、もっと詳しくわかるようになったら本当に不健康な人の生活を改善させるのには役立てられたらいいと思います。 (教育学部)
・反対。僕は今回の授業を受けて遺伝子検査ビジネスはあいまいであまり信用できないと思いました。しかもあまり知られていないことをいいことにサプリメントの値段を余計に上げているなんて驚きました。コンビニで安いサプリメントを買いたいと思いました。 (工学部)
・このような遺伝子検査は、一企業が手を出すべきものでは無いと思います。授業で述べられた通り利益を追求するあまり,当り障りの無い返答を返すだけに終わる確立が高いからです。このような検査は、国の許可を持った機関が行なうべきです。その上なるべくなら、受ける人と検査結果を告げる人の間にクッションを置かないのが一番だと思います。 (工学部)
・遺伝子検査についての講義を聞いて、海外でこんなことをして儲ける人がいるなんて卑怯だなぁと思った。
遺伝子の分野について一生懸命努力している人へ対して失礼だ。一般の人にもっと情報を提供する場を与える必要があると感じた。 (薬学部)
・私は,遺伝子検査ビジネスについてはとてもいいものだと思う。文明の発達を良い方向に利用できていると思う。これからもどんどん発展していき,もっとすごい遺伝子検査が行われるようになっていってほしいと思う。 (工学部)
・技術が発達して、たくさんの人がその技術によって救われるようになることは素晴らしいことだと思う。ただ、人の不安を煽って不正な利益を得ようとする人がいたら許せない。 (工学部)
・遺伝子検査を行うことは悪いことだとは思わない。自分が将来遺伝病にかかるかどうか知りたい人もいると思うので。ただ遺伝子検査を行うのは医療機関だけにしておくべきだと思う。遺伝子検査をビジネスにしてしまうと、授業で教えていただいたように嘘の情報を提示して商売に走ったりとあまりいいことがないように思うからである。それに知りたい人ばかりではないと思うので、やはり将来的に遺伝子検査を始めるにしても、医療機関だけが行うようにするべきだと思う。 (工学部)
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私も『遺伝子検査を行うのは医療機関だけにしておくべきだ』という意見に賛成です。
(コメントby 荒木)
・今こんなビジネスが広がっていることを知らなかったので、いい加減なものには気を付けようと思いました。資料では犬や猫のものには騙されなかったと書いてあるのし、当たり障りのない答えが帰ってくるので取り締まるのは難しいと思いました。でももっと医療が発達して本当に自分にあう薬とかがわかるようになってほしいと思いました。 (工学部)
・本当に遺伝子ビジネスによって自分に適したビタミン剤や薬などが分かるならば素晴らしいが、遺伝子は、目に見えないため遺伝子商法などの問題も出てくる。病院など「信用性」のある場所での検査は信頼してもよいと思うが、遺伝子商法であるか、そうでないかを見極めるのは、個人にとって非常に困難なことだと言えると考える。 (教育学部)
・私はまだ遺伝子のことが世間に知られていないのに遺伝子検査をするのは危険だと思います。信頼できる機関ならともかく一般の企業に頼むのは詐欺にあったりする原因になるだけだと思います。 (工学部)
・遺伝子検査ビジネスについてですが、日経サイエンスのあの記事を見る限りは全く当てにならないと感じました。ある遺伝子が、病気を引き起こすだけでなく、その人の体質にまでかかわってくるのかという研究が進められているということなので、せめてその研究が実るまでは手を出すべきではないと思います。またそのサービスの消費者は、DNAという自分の持つ最高の個人情報を人にさらすということになります。その情報が漏れたとしたら、さまざまなところで悪用されるかも知れません。
ある遺伝子がその人の体質にどのような影響を与えるか、そしてその人の個人情報の保護がしっかりとなされるか、これらが確立するまでは、遺伝子検査ビジネスは行うべきではないです。 (薬学部)
・私は現在の遺伝子検査ビジネスには反対です。まだ現状では、遺伝子の人体への影響に対する研究が不十分だと感じるからです。また、明確なルールがないために利益に先走った企業が出ていることも理由の一つです。ですが、一方で遺伝子検査ビジネスは大きな将来性を持っています。だから、将来しっかりしたルールができて、その中で多くの人達のために貢献してくれることを期待しています。 (工学部)
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