優秀作品(7)
熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野
荒木 正健
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2011年 9月23日更新
『イエスの遺伝子』(教育学部)
(1)この本を選んだ理由を書いて下さい。
講義を受けるにつれ、遺伝子に対する関心が高まってきたのでこの本を選びました。
(2)この本で著者が一番伝えたい事は何だと思いますか?
科学の進歩は人類に大きな利益をもたらすが、それと同時に様々なリスクが生じるのも事実。開発した技術のもたらす利益とリスクを十分に考えた上で使用していかなければならないという事ではないかと思います。
(3)この本を読んで感じた事、考えた事を書いて下さい。
この小説は私にとって実に衝撃的だった。小説にしてはあまりにもリアルだし、とても考えさせられる内容だった。
死人までも蘇らせる事ができる治癒能力を一部の人間が手にしてしまうこと、それはやはりその一部の人間が神に値する存在になるということとイコールになってしまうと思う。エゼキエルが言ったように、全ての人間が生きられるようになってしまえば、食料は足りなくなり、住む所も限られ、戦争が起き、人類が破滅の道を歩むこともあり得る。そのような状態になることを防ぐために、トムは治癒能力を持つ者を厳選したようだが、果たしてそれは、本当に解決策となったのだろうか。目の前の患者の生死を左右する能力を持つということは、その人物がどちらか選択しなければならないということであり、善人であれば、おそらく患者を見殺しにすることはできないはずだ。そうなれば、例え能力を持つ者が少数であったとしても、自然界の秩序はくずれ、予言は的中してしまうのではないだろうか。
私は、人間は本来死を受け止める強さを持っていると思う。いずれは死ぬということが命を授かった者の定めだからだ。命に終わりがあると分っているから、私達は健康であることに感謝の念を抱き、毎日を精一杯生きていこうと思える。簡単に死人をまでも蘇らせる能力を誰かが所有してしまうことによって、そういった自然の摂理が崩れるのは、とても恐ろしいことだと思う。
そうは言っても、やはり自分の大事な人が死に直面した場合、世界の秩序のことを考える人はまずいないわけで、なんとしても助けたいと思うのは当然のことだ。だから、もしも小説上に出てきたように、どんな病気も治してしまう遺伝子が開発されてしまったら、人類はそれを手放すことはできないだろう。
結論、私はこのような素晴らしく、恐ろしい技術をどのように扱ったらよいのか分らない。しかしこの本を読んだことで、科学の進歩は確かに私達の生活を豊かにするが、その使用法には充分な注意が必要だということが身にしみて分った。今後もいろいろな本を読んで、考えを深めていきたいと思う。考え続けることが、このような技術を持つことに対する責任だと思う。
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*****2008年度・優秀作品*****
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