レポート第13回 集計結果
熊本大学・遺伝子実験施設
熊本市本荘2ー2ー1
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2000年10月14日
生命科学G レポ−ト 第13回・問題(2)・回答集
2000年 2月 2日実施
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遺伝子治療の研究をどのように思いますか?
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(A)肯定的な意見
- 遺伝によって起こる病気が治療できるのは素晴らしいと思う。重病に生まれついた人々を治すことができる。
- 倫理観についての教育が高まれば、遺伝子治療の研究はやっても良いと思われる。人が人として幸せに成れることを目指して欲しい。ただ遺伝子治療がお金や圧力を持つ人だけに限られた、閉ざされた世界になって欲しくない。
- これからももっと研究を進めていくべきだと思う。確かに、これまでの常識等を打ち破るほどの技術で地球の生態系すら変化させうる研究は、使いようによっては恐ろしい技術だけれど、だからこそもっと研究を重ねて、人間や他の生物も含めた地球環境の改善に役立てるべきだと思う。
- 遺伝子治療の研究によって、癌や糖尿病などの治療や予防がいずれ可能になると思われる。その結果遺伝子治療は私たちにより快適な生活を与えてくれるので、とても良いと思う。
- もっと研究が進めば医学の発展に更なる飛躍を遂げられると思った。 しかし遺伝子にまで人の手が加わることに 多少抵抗が有るが、私たちにより快適な生活を与えてくれるので、医学界の人がこの研究を危険だという理由で断念することなく、人類のためになる研究を行って欲しい。
- 今まで不治とされていた病気が治せるようになるので、どんどん進めていくべきだと思う。ただそれによって簡単に遺伝子を 操作できるようになることは問題だと思うので、遺伝子治療の研究以外のところ、例えば法制度を整備するとか、倫理面での検討を繰り返すとか、そういった面でのサポートが今後ますます重要になると思う。
- 遺伝子による治療の研究が、進めば、もっと簡単に治療をすることが出来ると思う。ただ、染色体に正常な遺伝子を組み込む際、細心の注意が必要とされるだろうと思います。こういった問題点を解決し、遺伝子治療がうまく広まっていけば、医療面でかなりの進歩が出来ると思います。
- とても有効だと思う。個人に適した、またリスクが少ない治療が実現すると思う。但し、遺伝子技術が治療などに使われる事は大賛成だが、濫用されるのが怖い。
(B)否定的な意見
- 遺伝子の治療まで可能には成らない方がいいと思う。いずれ細胞は古くなり、人間も老いていくのに、遺伝子レベルで好きに交換・改善出来たりすると、そのうち死にたくない人はずっと生きられ、遺伝子治療を受けたくない人だけ死んでいくようなことになり世の中どうにかなってしまうだろう。(反対意見)
- 遺伝子治療でしか治療出来ないとゆう病気も有るだろうから、存在を否定することは出来ないであろうが、やはり何か遺伝子と聞くと知識のない人には、分かりにくいし、ある意味不安要素と成りえると思う。
- 正常な健康的な人間を誕生させることは、良いことだと思うけど、やはり、倫理的・道徳的なことを考えるとあまり賛成できない。遺伝子レベルまで人間が介入することは、あまりにも非人間的な事だと思う。研究による進化は止めどなく続くであろうが、これ以上の介入は行き過ぎではないか。
- 遺伝子治療が発達してどんな病気も治らせてしまうようになったらどうなるのだろう?人口が増えて食料不足になる前に何かすると思うが、その時に、生き残る人間として優秀な遺伝子を持っている人を選んだりして……。人間の中の遺伝子なのに、遺伝子に振り回されそうだ。
(C)慎重に進めるべきという意見
- がんやアルツハイマーなど、これまで基本的には不治の病と思われていた病気の治療に効果があるのなら、研究にはとても希望が持てる。しかし潜在しているリスクの大きさは決して楽観できない、慎重に慎重を重ねて欲しい。
- 子孫に悪影響が出ないように発達させていくならばよいと思う。安全性が不確実なまま研究を進めるのならば、これほど危険な事はないと思う。「倫理的な問題が…」と言われているようだが、(正直、私も引っ掛かる部分は多い)倫理観は時代とともに変化しやすく、そのうちに当たり前に思える時期が来ると思う。良いか悪いかは 別として。
- 安全性や技術的、倫理的な問題があるため、それらの問題を良く考慮したうえで研究が進められるのが望ましい。
- 生命に多大な利益をもたらすが、遺伝子差別の原因ともなりかねない治療なので慎重にすべきだ。科学の進歩に生命に対するモラルの議論がついていっていないと思うので今後良く話し合うべきだと思う。
- 遺伝子性の病気を持つ人にとっては、まさに確実に病気を治療できるし、今現在治療法のない病気などにとっても、遠回りな治療をせずに病気が治るのならばそれはとても喜ばしいことだと思う。しかし、その方法に欠点がないとは言えないし、遺伝子自体を治療するとゆうことに抵抗が有る。遺伝子を扱うことは将来重大な発見や成功をもたらす可能性も高いだろうけど、その研究の過程に問題がないとは言えないと思う。
- 患者自身又は、正常な遺伝子を培養して再び患者に戻す事で癌などの病気が治療出来るようになったのだから、研究するのは良いと思う。しかし、倫理的問題について、良く話し合う必要は有る。例えば、生殖細胞に対して行うことは禁止するなど(優秀な頭脳の遺伝子が発見されたとしても、それを売買したり、導入したりすることを規制又は禁止するなど)、研究に対する制限も必要なのではないか。
- まだ新しい研究内容なので、どうしても長期的影響が懸念されます。しかし、今までも、新薬の開発・利用等、何か新しい事が導入される際には、十分な検査等が行われ、今の医療が有るのだから。どうか慎重に、このまま研究を続け、人類に、そして地球全体に貢献して欲しい。安全な医療発展が科学界を上り詰めた人類の義務だと思います。
- 遺伝子治療は、良いことだと思う。今まで治療が出来成った病気が治せるようになることは人類が生きていくためには大切だと思います。しかし、遺伝子診断により問題点が現われことには、やはり不安が有る。
- 遺伝子治療によって、そうしなければ助からないような難病から救うことが出来るという点については、良いことであるし、遺伝子治療に伴う副作用なども研究によって改善されていくと思うので、ある程度の一定の範囲で正しく遺伝子治療を行うことについては反対しない。しかし、人間の倫理観の問題では、遺伝子の乱用によって、人間の「デザイン化」や、ある一定の価値だけを重要視したある意味人間観の崩壊につながる事態にならないとも限らない。どこまでの範囲で遺伝子を用いることが出来るのかが重要なことだと思う。ガイドラインが発表されたことは良いことであると感じた。
- 遺伝病は先天性のもであり、特にダウン症などについては遺伝子治療はかなりの効果が期待されると思う。しかし、その躍進的な技術の裏側にある多くの犠牲を考慮する必要が大いにある。人類の生態系そのものにメスを入れる行為であり、それによる破壊がきっと生じる。研究することは結構だが、最大の注意と慎重さを要する行為だと思う。
- 冬休みのレポートでも少し触れましたが、遺伝子治療の中でもは体細胞遺伝子治療は1代限りのことなので研究を進めるべきだと思いますが、生殖細胞の遺伝子治療は神の領域に踏み込む恐れがあるので十分な議論が必要だと思います。
- 今までの技術では治らなかったものが、治るようになるかもしれないという可能性に大きく期待しています。これでより多くの人類が救われるのなら人類にとって希望となるでしょう。しかし、これが一部の人のものになると考えたらぞっとします。この技術の使用のためにとてつもないお金を払わなければならないとしたら、病にかかった本人も周囲の人も本当に救われたとは思えません。また、整形や頭を良くするなど様々な今までにない珍診療に、本当にやっていいのかと混乱が生じることも有ると思います。ですから、社会のルールがきっちりと固まったうえで人類のためにこの技術が使えるように、じっくり研究して欲しいと思います。
(D)目的によって違うという意見
- 遺伝子治療には良い面も、悪い面も両方があるだろう、目的の取られ方が問題となるのでは。
- 病気を治すなどの治療の研究はこれからもやっていかねばならないと思う。しかし、悪用というか、例えばクローンのようなものは治療目的ではなく、遺伝子を操作することが目的であるのでそれはどうかなと思う。人間の尊厳が失われるようなことが有ってはならないと思う。
- その用途が人間としての秩序を守る範囲内であれば行ってよいと思う。現代科学の進むべき道は、その道徳を守ったうえで行う必要が有り、遺伝子を商品化している現在の利益目的社会では、考える必要が有るのではないだろうか。
- 体細胞遺伝子治療に関しては、まだ危険性が有ると思うので、もっと安全性も高めて進めて欲しいけど、生殖系列遺伝子治療は、禁止されて当然だと思う。
- これまで不可能であった難病の治療を可能にするという目的を持つことに関しては大変良いことだと思う。特に三大成人病の一つ癌細胞を自滅させる研究は、多くの人の生命が救われることになるので期待できると思う。しかし、遺伝子をむやみやたらに操作することは、やがて、人類が進化し、それに伴ってあらたな病気が生まれるということも考えられるので、そうならないように気を使うべきだと思う。
(E)その他
- 壊れた遺伝子をいじらずに、正常な遺伝子をランダムに入れるという説明が最後にあったが、どこに入るのか分らないような適当な治療だったということにとても驚いた。これからの時代には必ず必要になってくると思うので、焦らず、ちゃんと研究をして欲しい。
- 悪くなった遺伝子を直接良い遺伝子にするのではなく、良い遺伝子を増やして発病を妨げるかもいれないが、いずれ、発病するだろうし、良い遺伝子を自分たちの思った場所に増やせないというところが、個々の問題だと思う。癌やエイズなどの難病に治療効果があることはとても良いことだと思う。生殖細胞に対して行うことを禁止したことは正解だと思う。
- 遺伝子治療は、良いと思う。でも、自分のお腹の子供の病気について知って堕ろすのはいけないと思う。いつかお腹の中の子供も治療できるように出来たらいいと思う。
- 遺伝子情報とゆうものすごい情報、生まれる前のヒトの情報が分り、それをある程度修正可能なのだから、どう思うと聞かれると、もうただ単にすごい研究だという他はない。
- 遺伝子は、人間の体や精神の全ての基礎をなすものなので、研究が進めば今まで治せなかった病気なども治せるようになるから研究が進めばいいと思う。しかし、その反面、遺伝子組み換えなどで悪用されるようなことが有るととても恐ろしい事だと思う。
- 専門的なことはあまり分らないけど、遺伝子治療の際に必要なメンタル的な面の方の世話も必要ではないかと思います。その遺伝子治療を受けることが、その人にとって本当に良いことなのかという部分が有ります。レポートにも書いたけど、個人の尊厳を守らなければならないと思います。
- 研究が進んで自由にDNAの書き込みが出来るようになると、遺伝子のカスタマイズや、遺伝子ではない部分のDNAに電子マネーの情報を書き込んだりする時代が来るのでしょうか?期待とともに恐怖も感じてしまいます。研究が進むと同時にそれを利用する人間の心の方も進まなければならないと思いました。
- それ自体素晴らしい研究だと思う。これからの人類の発展につながるのではないだろうか。ただその技術が失敗だったら恐ろしいと思う。思わぬ副作用が有るかもしれない。薬害エイズみたいに問題にならないで欲しい。
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