2008年度 発生再生医学理論

熊本大学
生命資源研究・支援センター
バイオ情報分野 准教授
荒木 正健
熊本市本荘2−2−1
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2008年 8月 7日


シラバス(授業計画)

科目分類:医学教育部 博士課程・理論 グループ1、授業科目B7 発生再生医学理論
時間割コード:20080、開講時期:平成20年6月12日〜9月25日、
曜日:金曜日、時限:6限 (19:40~21:10)、選択/必修:選択、単位数:2、
教室:基礎セミナー室 (基礎医学研究棟1階)

〔授業形態〕: 講義。
〔科目主任教員〕
 西中村 隆一 (細胞識別学)
〔分担教員〕
 児玉  公道 (形態構築学)
 荒木  正健 (遺伝子実験学)
 中潟  直己 (資源開発学)
 横内  裕二 (パターン形成学)
 粂   昭苑 (幹細胞制御学)

〔授業の目標〕
 発生医学は、発生学的視点に基づいて疾患の病態解明と治療法の確立を目指す学問であるが、その手法や考え方は、もはやどの領域を研究する際にも必須となっている。発生再生医学理論では、特にその技術的側面に重点をおいて、基礎的知識を理解することを目標とする。発生・再生医学研究者育成コースの受講者にとっては特論等の理解の基盤となるよう、他コースの受講者にとっては発生工学的手法の理解と利用に必要不可欠な知識の獲得を目指す。

〔授業の内容〕
 遺伝子改変技術の根本を十分に解説した上で、これらの技術を使って、各臓器の発生の分子機構がどのように解かれてきたのかの実例を講義する。さらにその知識を用いた臓器再生にむけた試みも紹介する。具体的には以下のことを理解することを目標とする。
(1)近年話題となっているES細胞、iPS細胞等の幹細胞樹立法と臨床応用の可能性、及び問題点。
(2)生殖工学、すなわち体外受精、胚や精子の凍結、胚移植、顕微授精、核移植等の技術とその応用。
(3) トランスジェニックマウス、ノックアウトマウス作製法とその意義。
(4)遺伝子トラップ法を含む網羅的遺伝子改変マウス計画の現状とそのリソースの利用法。
(5) Cre-loxPシステムを用いた遺伝子改変法の応用例。
(6) 個体発生、系統発生からみた各組織、臓器の形態学。
(7)初期発生における軸形成及びパターニング。
(8)肝臓、膵臓など内胚葉臓器の発生の分子機構と損傷からの再生。
(9) 腎臓等中胚葉臓器の発生の分子機構と誘導法。
 これらの技術論と応用への展望について、初歩的レベルから最新の研究成果までをわかりやすく講義する。受講者に毎回授業への評価を簡単に書いてもらい、改善を図りたい。

キーワード
 ES細胞、iPS細胞、幹細胞、生殖工学、ノックアウトマウス、トランスジェニックマウス、遺伝子トラップ法、Cre-loxP、個体発生、系統発生、初期発生、パターン形成、肝臓発生、膵臓発生、腎臓発生。

テキスト:特に指定はせず、講義のポイントをまとめたプリントを配布する。

参考書
・Essential Developmental Biology, 2nd edition, by Slack JMW.,Blackwell Publishing, 2005. 邦訳:エッセンシャル発生生物学 改訂第2版 (大隅典子訳、羊土社、2007年)
・Manipulating the Mouse Embryo: A Laboratory Manual, 3rd edition, by Nagy A., Gertsenstein M., Vintersten K., Behringer R., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2002.
・Human Embryology, 3rd edition, by Larsen WJ., Churchill Livingstone, 2001.

評価の基準と方法
 講義への出席状況、講義中の質疑応答や、講義終了後に提示されるテーマに関す るレポート等により、【授業の目標】に掲げた事項についての理解度を評価する。

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