1999年度 教養科目
I 自然と情報  生命科学G
−−夢の技術PCR−−

熊本大学・遺伝子実験施設
  助教授  荒木 正健
熊本市本荘2−2−1
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2000年 5月 2日更新


冬休みの課題レポート・1999

 冬休みの間にどれか1冊読んで、レポ−ト(別紙書式)を提出して下さい。このレポ−トに関しては、下記基準に従い、私の独断で5段階評価(5点〜1点)します。

5;発想がユニ−クで、その問題を議論する場合に大変参考になる。
4;論理的思考を行い、人を説得する力がある。
3;素直に感想を述べ、自分で感じた事、考えた事がきちんと書いてある。
2;自分では何も考えていない。
1;本当に読んだかどうか怪しい。

 通常のレポ−トを各1点とし、このレポ−トの点数と合わせて総合評価します。期末試験は行いません。
 提出期限;2000年 2月 2日(講義・最終回)

1)『ゲノムを読む −−−人間を知るために−−−』
  松原謙一・中村桂子 共著、
  紀伊国屋書店、228ペ−ジ、1,800円 [1996年2月]
 「ヒトゲノムプロジェクト」がどのようなもので、今どこまで進んでいるか、今後どのような方向に進むかを、世界的なプロジェクトの中心人物が示した本です。また、ヒトはどのようにしてヒトになり、他の生き物とどのような関係にあるのかを、ゲノムに注目して考えた本です。

2)『考える遺伝学』
  山村研一 著、
  南山堂、180ペ−ジ、1,854円 [1997年2月]
 遺伝学の教科書。単なる事実の羅列を避け、事実の発見に至った思考過程や経緯に重点を置いてまとめてあります。例えば、遺伝暗号表を誰がどうやって解読したかなど。文系の方には少し難しいかも知れません。

3)『動き出した遺伝子医療 −−−差し迫った倫理的問題−−−』
  松田一郎 著、
  裳華房、113ペ−ジ、1,400円 [1999年5月]
 「遺伝子、それはもはや、単なる分子生物学の専門用語ではなく、人類を含めた生物系全体の存続を問う現代思想のキ−ワ−ドになった。」 遺伝子診断及び遺伝子治療について、専門家以外の人に語りかけた本。

4)『あなたのなかのDNA −−−必ずわかる遺伝子の話−−−』
  中村桂子 著、
  早川書房、231ペ−ジ、485円 [1994年3月]
及び
  『食卓の上のDNA −−−暮らしと遺伝子の話−−−』
  中村桂子 著、
  早川書房、248ペ−ジ、560円 [1999年8月]
 文庫本ですので、2冊セットとします。文系の人でも読みやすいように、「かな子ちゃん」と言う女子大生との会話形式で遺伝子について基本的なところから説明したのが1冊目です。2冊目は、1児のおかあさんになった「かな子ちゃん」に、「遺伝子組換え作物」や「クローン」など、最近の話題について解説しています。ページ数は結構ありますが、分かりやすいと思いますので、是非2冊とも読んで下さい。

5)『不自然な収穫』
  インゲボルグ・ボ−エンズ 著、 関 裕子 訳、
  光文社、319ペ−ジ、1,700円 [1999年7月]
 「これまでに登場した技術とは異なって、バイオテクノロジ−は人間に自然を凌駕する力を与えた。未知の世界にさらに足を踏み出す前に、多くの重要な問題を検討する必要がある。」  遺伝子組換え食品を中心に、今アメリカの農場で、食卓で、何が起きているかを教えてくれる本です。

6)『イエスの遺伝子』
  マイケル・コ−ディ 著、内田昌之 訳、
  徳間書店、510ペ−ジ、1800円 [1998年3月]
 SF。遺伝子スリラ−。たったひとつの体細胞から人間の遺伝子すべてを解読できる装置“ジ−ンスコ−プ”の発明から始まる新しい世界。遺伝子工学とキリスト教。ベンチャ−企業と秘密結社。大変「面白い」小説ですが、いろいろ考えさせられることも多いと思います。

7)『死の病原体 プリオン』
  リチャ−ド・ロ−ズ 著、桃井健司・網屋慎哉 共訳、
  草思社、286ペ−ジ、1900円 [1998年7月]
 ノンフィクション。現在の医学・生物学の常識では理解できない驚異の病原体プリオン。1997年度のノ−ベル生理医学賞を受賞したスタンリ−・プルシナ−など、狂牛病で一躍有名になった各種感染性スポンジ状脳症の研究者へのインタビュ−に基づくドキュメンタリ−です。牛肉だけの問題ではなく、ベジタリアンでさえ安全ではありません。現在、静かに進行しつつある人類の危機を警告する本。

8)『五体不満足』
  乙武洋匡(おとたけひろただ) 著、
  講談社、270ペ−ジ、1600円 [1998年10月]
 両手両足を欠損して生まれてきた早稲田大学政経学部生の自伝です。「障害は不便だが不幸ではない。」この講義の内容から少しずれるかも知れませんが、「遺伝子診断」や「出生前診断」について考えさせられる本です。今年度は、既にベストセラーになってしまいましたので、もう読んだことがある人は別の本を選んで下さい。

9)『薬害エイズ 終わらない悲劇』
  櫻井よしこ 著、
  ダイヤモンド社、181ペ−ジ、1000円 [1999年9月]
 「薬害エイズの教訓から学び、これ以上の薬害を起こさせない地平線に私たちは到達しただろうか。そのことについて考えるとき、絶望にも似た怒りを感じざるを得ない。」 エイズ患者への偏見を持っている人は、是非この本を読んでみて下さい。同じ悲劇は、誰の身にも起きる可能性があります。あなたにも。


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