ゲストハウス vol.1 崎村奈央さん

崎村さんは、とても元気でパワフルな人物です。しゃべり出したら止まらない!・・・どうやら講師は天職のごたるね(天職のようですね)。現在は、生物学の講師として高校へ、予備校へと九州を忙しく駆け回っています。
崎村さんとは以前から交流があり、今でも頻繁にやりとりしています。私たちは、教育現場でDNA教育(*1)を実施するお手伝いとして、遺伝子組換え実験キット(*2)を提供していますが、崎村さんは、数年前から、この実験キットを利用して高校でDNA教育に取り組んでいます。そこで今日は、崎村さんに高校でのDNA教育を中心にお話を伺います。

 

 

[注釈]

(*1) DNA教育
DNA・遺伝子の役割や仕組みを学び、応用技術や倫理問題など総合的に考える教育のことを表す言葉として、本ホームページ上で用いています。
(*2) 遺伝子組換え実験キット
大腸菌にクラゲの緑色蛍光タンパク質遺伝子を導入して、「光る大腸菌」を作製することができる教育キット。「光る」という形質を通して、DNA・遺伝子の役割や仕組みを学びます。


こんにちは。今日は、崎村さんの一面を紹介するということになりまして。えー、崎村さんとは大学生のときからのお付き合いですね。その頃から積極的で、とても元気な印象でした。


私は、理学部で生物を学んでいましたが、私が大学2年生から3年生の間、GTC施設で実験補助のアルバイトをしたのがGTC施設との関わりの始まりです。遺伝子の勉強をしたくて大学に進学したので、とてもよい経験をしました。大学では授業で理論を学んでも、すぐ実験するわけではないので、その内容を確認することはできません。でも、アルバイトでは先生から学んだことをその場で即実験して内容を確認できたので、大きな糧となりました。またスタッフの方々がとても親切で、楽しく勉強できました。とても感謝しています。今、私は講師として高校や予備校で生物を教えていますが、今でもGTC施設で学んだことを授業に生かしています。


高校と予備校で教えているとは、相変わらずパワフルです!ところで高校では、数年 前からDNA教育に取り組まれていますが、そのことについて教えて下さい。


こちらで提供している遺伝子組換えキットを使って、「遺伝子組換え実験」を取り入れています。遺伝子組換え実験を始めたきっかけは、GTC施設から勧められたからですが、生徒たちに遺伝子について考えるよい機会になると思ってはじめました。 学校の授業では、目に見えないDNAの構造や遺伝子の形質発現の仕組みなどを学びます。目に見えない世界のためイメージをつかみにくく、その魅力をなかなか実感できないと思いますが、この実験を行うと授業の内容が「大腸菌が光る」という目に見える結果になります。また遺伝子組換え作物など実生活でも遺伝子操作と関わる場面があります。そのときに、「何となく気持ち悪いから」と勝手な先入観で「良くないもの」 と決めるのではなく、その背景に何があるのか、どのようにしてつくられるのかを実験を通して学ぶことで、客観的に物事を判断できるようにすることを目的にしています。


生徒達にとっては貴重な機会ですよね。それにしても実験って時間がかかりますが、授業中に行っているんですか?授業は時間が限られていると思うけど・・・

 


夏休みの課外期間の放課後を利用して、希望者を募り行っています。約20名の生徒が対象です。解説を含めて3日かけます。希望者が多いときは、二回行います。


みんな時間を割いて参加しているんですね。DNAに興味があるということがよく分かります。これから様々なことを学んで吸収していく生徒さんたち。それだけに、DNA教育には注意を払った点がたくさんあるのでは・・・。特に注意を払った点は?


この教育の目的をあいまいにしないことです。特に、生徒たちが遺伝子組換え実験の目的を「オモシロ生物をつくる」と勘違いしないようにすることです。私は実験前に2時間ほど解説をします。遺伝子組換え技術を学ぶべき理由、その操作方法、大腸菌における形質発現の仕組み(オペロン説)、遺伝子組換え作物が作られる理由などです。実験自体はそれほど難しくないですが、その背景にあるものはとても深いものです。授業の直後では、とても難しく感じている生徒もいるようですが、実際に実験結果を見て、解説の内容とつながると感動も大きいようです。


「百聞は一見に如かず!」ですね。他に、生徒達に変化はあったのでしょうか?

 


実験前は遺伝子に対してあいまいな知識やイメージを持っている生徒が多いですが、実験後、レポートの感想を読んでみると、具体例を出して様々な意見を書いている人が多いです。遺伝子組換えの背景や利点・問題点を知ることで、様々な方向から“遺伝子組換え”を考えることができるようになると思います。


う〜ん、なるほど。なんだか私も崎村さんの授業を受けてみたくなりました。今日はありがとうございました。最後にDNA教育に関してコメントがありましたらお願いします。


何か1つの話題をテーマにして深く考えるのはよい機会だと思います。DNAは様々なメディアでよく見かける言葉であり、生徒たちに興味を持たせるためにはよい話題です。このDNA教育をきっかけにして、様々な話題について多方向から客観的に物事を判断できるようになって欲しいと思っています。