質問2

こんな質問をいただきました。

夏休みの宿題で、遺伝子の研究をしているのですが、疑問になったことがあるので、できるだけ詳しく教えていただきたいです。最近問題になっている遺伝子組み換えなど、遺伝子を操作することによる危険性を教えていただきたいのです。遺伝子に関する問題なども、教えていただければうれしいです。お返事をお待ちしております。
質問者: ヨンチさん 13歳(女)

※この質問へは、本人へe-mailで回答しました。実際には、ヨンチさんと複数の質問のやり取りがあり、回答が多岐に渡りました。ここでは、「遺伝子を操作することによる危険性」に対しての回答を、一部編集して紹介します。


「遺伝子を操作することによる危険性」については、まず第1に「生物多様性に対する悪影響」が挙げられます。自然界にはいろんな生物がいますが、そのことを「生物の多様性」と言います。たとえ人間にとって害虫と思われている生物であっても、その生物を食べて生きている生物にとっては必要な存在です。自然界では、様々な生物が複雑に影響しあって生きているのです。


ところが近年、生物の生息環境の悪化によって生態系の破壊が進み、野生生物の種の絶滅が過去にない速さで進行しています。そこで、「生物の多様性を守ろう!」と言って世界中の人々が話し合い、1992年に「生物多様性条約(*1)」が作られました。

さらにバイオテクノロジーの発展とともに、遺伝子組換え生物が自然界に悪影響を及ぼすのではないか、と心配されるようになりました。これまで自然界に存在しなかった遺伝子組換え生物が現れる事によって、他の生物の存在が脅かされるような事態は避けなければなりません。そこで、生物多様性条約に基づいて、「カルタヘナ議定書(*2)」が2000年に作られました。このカルタヘナ議定書では、遺伝子組換え生物が生物の多様性の保全に及ぼす可能性のある悪影響を防止するためのルールが決められています。現在、多くの国がカルタヘナ議定書を締結しています。日本も2003年にカルタヘナ議定書を締結し、2004年には 「カルタヘナ法(*3)」という法律を制定しました。日本では、法律の下で遺伝子組換え生物が厳重に管理されているのです。

この他の危険性としては、「生物兵器の開発」、「新人類の誕生」なども挙げられるでしょう。よくSF映画のテーマになったりしますが、どちらも現実には研究する事を固く禁止されています。

*1)生物多様性条約
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/jyoyaku/bio.html (外務省のサイト)

*2)カルタヘナ議定書(生物の多様性に関する条約のバイオセーフティーに関するカルタヘナ議定書)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/jyoyaku/cartagena.html (外務省のサイト)

*3)カルタヘナ法(遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律)
http://www.lifescience.mext.go.jp/bioethics/cartagena.html  (文部科学省のサイト)

 

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