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遺伝子組換え生物等規制法について・Part16 

*GTC On Line News No.707 (2006年5月24日)で配信した内容です*

=== 遺伝子組換え生物等規制法について・Part16 ===
〜〜〜 「病原性」の解釈について 〜〜〜
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規制法について・Part13(GTCNewsNo.683)〜〜〜遺伝子改変マウスについて 〜〜〜 の続編です。

マウスを含めた動物の実験分類はクラス1です。基本的に、組換え動物の場合は、核酸供与体の実験分類に関係なく宿主の実験分類だけで拡散防止措置の区分が決まりますので、P1Aレベルになります。しかしながら、例外規定があり、二種省令第五条の中に、『供与核酸が哺乳動物等に対する病原性又は伝達性に関係し、かつ、その特性により宿主の哺乳動物等に対する病原性を著しく高めることが科学的知見に照らし推定される遺伝子組換え生物は、P2Aレベルの拡散防止措置とする』と記載されています。この例外規定がとても判り難いということで、文部科学省が「病原性」についての解釈をホームページで公開しています。

二種省令における「病原性」等の考え方について(平成16年12月16日)

この中で、供与核酸が既知の生物活性を有しており、その産物が危害を生じさせる可能性のある状況において、その発現レベルと併せて評価すべきものとして、次のようなものが挙げられています。

トキシン、サイトカイン、ホルモン、発現調節因子、病原性に関わる因子又はエ ンハンサー、腫瘍形成因子、抗生物質耐性因子、アレルゲン

これでは、マウスで表現型が現れたトランスジーン全てが該当するのでは??? 何らかの表現型を示すトランスジェニックマウスは、全てP2Aレベルになる??? そんなことはありません。先程の文書の冒頭に、病原性という言葉の定義が書いてあります。

***「病原性」とは、病原体が病気を引き起こす性質又はその程度を意味する。* **

この中の『病原体』という言葉がポイントになります。

次に書かれている「供与核酸が、哺乳動物等に対する遺伝子組換え生物の病原性に関係するかどうか」という文章において、「哺乳動物」等に対する『遺伝子組換え生物』の病原性と書いてありますので、『遺伝子組換え生物』が『病原体』であるかどうかが問題になります。もし、ある遺伝子を発現するトランスジェニックマウスが、ヒトや他のマウスに対して『病原体』として振る舞うと予想される場合は、P2Aレベルになります。しかしながら、現実には『マウス』がヒトやマウスに感染し、病気を起こす原因になるとは考えられませんので、P1Aレベルということになります。

つまり、マウスを、バイオハザードという映画に出てくるゾンビの様な『病原体』に変えてしまう遺伝子(供与核酸)があれば、上記例外規定が適用され、P2Aレベルの拡散防止措置が必要になります。

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