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PCRって何?
ここではPCRについて少し詳しく解説します。
Q:PCRとは?
A:PCRとはPolymerase Chane Reactionの略で、ごく微量のDNAを無限に増やせる夢の技術です。この技術によってDNAの中から特定の塩基配列を選んで、それをすばやく大量に複製することができます。
現在では遺伝子診断や少量のヒトDNA試料から大量のDNAを得たい時などに広く使われています。
Q:PCRの原理は?
A:PCRには目的の遺伝子を含む2本鎖DNA、その両端の部分に相補的なプライマ−と呼ぶDNA断片2種,DNAポリメラーゼを含む反応溶液が使われます。
プライマーはDNAの合成を開始する分子でDNAポリメラーゼはDNAを合成する酵素です。
この反応溶液を専用の機械にかけるとDNAが合成されます。
機械では次のような反応が行われています。
1)2本鎖DNAの解離
PCRは2本鎖DNAをもとに開始されます。短時間熱処理をすることでその2本鎖DNAを解離させます。
2)解離した一本鎖DNAとプライマー分子の相補的な会合
プライマー分子を過剰に加えてから温度を下げると各プライマーはDNA鎖の相補的な部分に会合します。この相補的な会合をアニーリングといいます。
3)プライマー断片からのDNA鎖の伸長
DNAポリメラーゼ
の働きにより、各々のプライマーからDNAの合成が開始されます。
図に示すと下の図のようになります。
そして1)〜3)を何回も繰り返すと、合成されたDNAが鋳型となり、数サイクルの内にもとのDNAプライマーからもう一方のプライマーにはさまれた領域が大量に作り出されることになります。ちなみに2回目のPCRを図で示すと下図のようになります。
通常1周期は2分程度で、その度に目的のDNA量は倍に増えます。従って20周期、約40分ほどでDNAが2の20乗分子(およそ100万分子)に増幅することができます。