アクティブボード・1月

熊本大学・遺伝子実験施設
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2002年 1月 7日 更新


アクティブボード・2002年1月

研究発表を行った学会;第24回日本分子生物学会年会
2001年12月9日〜12日(横浜)
タイトル;hRad18ノックアウト細胞を用いた複製後修復機構の解明
発表者;立石 智
   (発生医学研究センター 器官形成部門 組織制御分野)
Abstract;
 大腸菌、酵母、ヒトなどの細胞は、DNA傷害を修復できない場合でもDNA複製を可能にする機構により生命活動を維持している。この機構を損傷トレランスという。損傷トレランスは、損傷乗り越え複製、組換え修復などで構成され、RAD6およびRAD18を中心とするRAD6エピスタシス遺伝子群が重要な機能を果たしている。我々はヒトRAD18遺伝子(hRAD18)を単離し、その機能を明らかにしてきた。その結果、hRad18蛋白は、ユビキチン結合酵素であるRad6蛋白と細胞内で結合し何らかのタンパクをユビキチン化することにより、DNA傷害などにより停止した複製フォークの再開を促進していることを提唱した。
 これを検証するため、マウスRad18遺伝子を破壊したES細胞を調製した。これを用いて種々のDNA損傷に対する生存率を測定すると野生型ES細胞と比較して高い感受性を示した。DNA損傷後のDNA複製鎖長を測定すると野生型ES細胞と比較して短くなっていたことから、複製後修復が欠損していることがわかった。


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