アクティブボード・4月

熊本大学・遺伝子実験施設
熊本市本荘2−2−1
Tel : (096) 373-6501, FAX : (096)373-6502
2002年 4月 3日 更新


アクティブボード・2002年 4月

研究発表を行った学会;第31回日本免疫学会学術集会
2001年12月11日〜13日(大阪)
タイトル;HLA-ClassI/テトラマーを用いたEBV特異的及びHCMV特異的CD8T細胞の解析
発表者;松田 智子 氏
   (エイズ学研究センター ウイルス制御分野)
Abstract;
 ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、EBウイルス(EBV)に対する細胞傷害性T細胞(CTL)を、HLAクラスIテトラマーを用いてフローサイトメトリーで検出する方法を確立し、健康人末梢血中のこれらのウイルス特異的なCTLの量的、質的解析を行った。
 HLA-A*02及び、-A*1101を持った健康人の末梢血より分離したCD8陽性細胞を、抗CD28、抗CD45RA、抗perforin抗体及び、HCMV(NLVPMVATV)EBV(IVTDFSVIK,AVFDRKSDAK)由来のペプチドを用いて作製したHLA-A*0201,-A*1101のテトラマーを使って、それぞれのウイルス特異的CD8+T細胞の量的、質的解析をフローサイトメトリ-で行った。その結果、検討に用いた50-60%の健康人末梢血より、2種のEBV特異的CD8+T細胞が検出された。同様に、HCMV特異的CD8+T細胞は、61%の健康人で検出された。テトラマー陽性CD8+T細胞のCD28とCD45RAの発現を解析した結果、HCMV特異的CD8+T細胞では、CD28-CD45RA+が、EBV特異的CD8+T細胞ではCD28+CD45RA-が多い結果がみられた。抗perforin抗体を用いてperforinの発現を解析したところ、HCMV特異的CD8+T細胞では、高い発現が、EBV特異的CD8+T細胞では低い発現が認められた。
 以上の結果から、健康人では、EBV特異的及び、HCNV特異的CD8+T細胞が存在し、前者はメモリーT細胞であり、後者はエフェクターT細胞であることが明らかになった。


  アクティブボード
熊本大学・遺伝子実験施設; E-mail:www@gtc.gtca.kumamoto-u.ac.jp